一人の新聞記者の姿を通して、報道メディアは権力にどう対峙するのかを問いかける衝撃作『新聞記者』の製作が決定、2019年の公開を予定している。
第86回キネマ旬報ベストテンで日本映画第1位を獲得した『かぞくのくに』(12/ヤン・ヨンヒ監督)、菅田将暉とヤン・イクチュンという日韓の演技派二人が激突し、数多くの映画賞を受賞した『あゝ、荒野(前/後編)』(17/岸善幸監督)など日本映画の境界を揺るがす問題作を世に問い続けている河村光庸プロデューサー(株式会社スターサンズ)。その最新作のテーマは、「国家権力と報道メディア」。望月衣塑子(東京新聞記者)のベストセラー「新聞記者」(17/角川新書)を“原案”に、政権がひた隠そうとする権力中枢の闇に迫ろうとする女性記者と、理想に燃え公務員の道を選んだある若手エリート官僚との対峙・葛藤を描いたオリジナルストーリー作である。
主演は『サニー永遠の仲間たち』(11)や『怪しい彼女』(14)など抜群の演技力で知られる韓国の若手トップ女優シム・ウンギョンと、『娼年』『孤狼の血』(18)などで新境地を開き、人気実力ともに日本映画トップを走る松坂桃李。監督は、山田孝之プロデュース映画『デイアンドナイト』の公開が2019年1月26日に控える若手最注目映像作家藤井道人。フェイクニュースが社会を揺さぶり、報道の価値が厳しく問われる平成から新年号に変わるメディアの激動期。「たった今。」リアルに人びとに襲いかかる、さまざまな社会問題にダイレクトにリンクする、今までの日本映画になかった全く新しい社会派エンタテインメントが誕生する。
河村光庸プロデューサー コメント
昨今、世界的な潮流として、権力者や集団の指導者は同調圧力を使い「個」を分断、対立を促し、孤立化を煽る傾向にあります。そのような状況下、官邸に“不都合な質問”を発し続ける東京新聞・望月さんの登場は、正に「個」が集団に立ち向かう姿を日本中の報道メディアに見せつけたのです。映画『新聞記者』は、そんな望月さんの姿にインスパイアされ企画した映画です。従って本作は、一個人の新聞記者を美化・礼賛する内容ではなく、報道メディアに関わる全ての人たちにエールを送る映画でもあり、政治サスペンスとしても楽しめるエンタテインメントです。
物語で、真相を追う女性記者はあえて、複数のバックグラウンドを持つキャラクターという捻った役の設定にしています。ともすれば内向きになりがちな日本の報道メディアに複眼的な視点を持ち込むため、これは必然的な成り行きでした。演じるのは、韓国映画界でもトップクラスの演技力に定評があるシム・ウンギョンさんです。複数のアイデンティティと苦悩や葛藤を持つ役柄を言語を超えて表現できるのは彼女以外のキャスティングは思い付きませんでした。
この記者に対峙する若手エリート官僚は、国を動かす正義と個人が信じる正義の“二つの正義”の間で葛藤します。この非常に繊細な心を表現する役には、類い稀なる演技力が必要とされ、これを演じてもらうのは幅広い役柄にリアリティを与えることに定評がある松坂桃李さんしかいないと思いました。
作品タイトル:『新聞記者』
2019年劇場公開予定