第96回アカデミー賞(R)国際長編映画賞ノルウェー代表となったドキュメンタリー映画『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』(9月20日(金)公開)の本編冒頭映像が公開され、あわせて著名人コメントが到着した。
息を呑むような美しい大自然に囲まれたノルウェー西部の山岳地帯「オルデダーレン」。本作は地球上でも有数の壮大なフィヨルドを誇るこの渓谷に暮らす老夫婦の姿を、その娘でありドキュメンタリー作家のマルグレート・オリン(『もしも建物が話せたら』など)が一年をかけて密着。大地に根を下ろし、シンプルで豊かに生きる両親の姿から、娘は人生の意味や生と死について学んでいくことになる。生きるとは、老いるとは何か――厳しくも美しいノルウェーの四季と共に生きる家族の姿を通して、人生を探求する感動のドキュメンタリーだ。
冬、大きな湖の一面が硬く凍り、その上に雪が積もる中をヨルゲンがストックを手に静かに歩いている姿を上から捉える場面で映画は幕を開ける。風でかすかに揺れていた湖の水面やがて完全に凍り、表面はまるで鏡であるかのように、向こうの山や空を見事に反射する中を佇むヨルゲン。そして、氷河の中にある氷の青い洞窟の外観から静寂の中へとカメラはゆっくりと進んでいく。映像の静けさの中で、オリン監督のナレーションにより、父への思いや「周りを見てごらん。急ぐと見るのを忘れてしまうよ」といった、映画の起源をなすヨルゲンが監督に告げた印象的な言葉などが語られている。
オリン監督は、気候変動の影響で近年はこの湖が毎年必ずしも凍る訳ではないと説明。そんな中で「このシーンのように完全に凍って鏡のようになることはあまりなくて、この時は息を呑むほどの美しさでした」と振り返る。さらに、「このショットが撮れた時、これが映画のオープニングになるとすぐに確信しました」と明かし「このシーンは色んなレイヤーを持っていて、これが何についての映画なのかも語ってくれると思います」と、この場面をオープニングとした意図を明かす。
また、映像後半で捉える青い洞窟の中で監督が目にした光景は、彼女が映画監督として最も鮮烈な体験だったという。ここでの経験を「宇宙が見えたような気がしました。この氷の中には動物や人の顔、この地球が経験してきたことの全てがこの中に保存され、記録されている気がしたんです」と振り返る。
コメントは、巨匠ヴィム・ヴェンダースとならんで本作の製作総指揮を務めるリヴ・ウルマン、プロスキーヤー / 冒険家の三浦雄一郎、俳優の小林聡美、放送作家 / 脚本家の小山薫堂、ゲームクリエイターの小島秀夫、北欧ジャーナリストの森百合子、俳優の古舘寛治の7名から到着した。
コメント(順不同/敬称略)
この映画は私の人生を変えてくれました。
――リヴ・ウルマン(俳優 / 『仮面/ペルソナ』『鏡の中の女』)
荘厳な大自然の写真集のページをめくるような作品。
水と氷、風と光、土と緑が奏でる地球の音楽が溢れて、
なんだか豊かで大きな旅をしてきた気持ちになる。
心に刻まれる記憶がこの映像であれば人生はなんと素晴らしいことであろう。
――三浦雄一郎(プロスキーヤー / 冒険家)
私たちは、こんなにも美しく厳しい地球に生まれた、小さな生きものだった。
――小林聡美(俳優)
悠久の自然から一瞬の時を借りて、人間は生きている。
もし人間が自然に敵うものがあるとすれば、
それは愛しかない。
――小山薫堂(放送作家 / 脚本家)
「私たちの初恋の相手は自然だった」――ドキュメンタリーはこのモノグラムから始まる。壮大なフィヨルドの四季を俯瞰するカメラ。大自然と生態系が重奏するアンビエント。現地をガイドする老夫婦達との見事なコントラスト。それらは、詩的に調和した特別な人生讃歌だ。初めて見る絶景を散策しながら、過酷に生きる家族の歴史にも優しく歩み寄る。
ノルウェーのノールフィヨルドの神々しい“地球の歌”には、誰もが恋をするに違いない。
そして、初恋は、映画館で味わって欲しい。
――小島秀夫(ゲームクリエイター)
ノルウェー西部の美しくも厳しい自然に生きる人だけが見ることのできる
ご褒美のような景色を、スクリーン越しに体験できる幸せ!
「人間も自然の一部である」。
言い古されてきたこの言葉が、鮮烈に頭によみがえりました。
――森百合子(北欧ジャーナリスト)
この映画は大きなスクリーンでこそ観るべきだ。都会に暮らす我々が存在すら忘れているこの地球本来のとんでもなく美しい姿を観ない理由はない。そしてその価値と共に生活する人々もいるのだ。人生が選び取るものならば、さて我々は何を選び取るのか?
――古舘寛治(俳優)
ストーリー
ノルウェーの人里離れた山間部。厳しくも美しい自然に囲まれた場所で、年老いたひと組の夫婦が暮らしている。作家となった娘が二人の姿をカメラに収めようと帰郷した。84歳となった父親はこの国で最も美しい渓谷と呼ばれる場所に娘を案内しながら、自分の生い立ち、最愛の妻への想い、そしてこの土地で自然と共に生きてきた何世代にも渡る人々の人生について静かに語り始めるのだった。
『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』
出演:ヨルゲン・ミクローエン、マグンヒルド・ミクローエン
監督:マルグレート・オリン『もしも建物が話せたら』
製作総指揮:リヴ・ウルマン『仮面/ペルソナ』、ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』『ベルリン・天使の詩』
2023年 / ノルウェー / ノルウェー語 / 94分 / シネスコ / カラー / 5.1ch / G / 英題:Songs of Earth / 原題:Fedrelandet / 日本語字幕:岩辺いずみ / 後援:駐日ノルウェー大使館
配給:トランスフォーマー
(C)2023 Speranza Film AS
公式サイト:https://www.transformer.co.jp/m/songofearth/
公式X:@songofearth_jp
9月20日(金)TOHOシネマズ シャンテ、シネマート新宿ほか全国公開
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