架空のロックバンド「スパイナル・タップ」の全米ツアーに密着し、当時隆盛を極めていたハード・ロック/ヘヴィ・メタル文化や音楽を風刺した、カルト的人気を誇るロック・モキュメンタリー『スパイナル・タップ』が、6月16日(土)より新宿武蔵野館 他 全国順次公開となる。
本作は、あの名作『スタンド・バイ・ミー』(86)のロブ・ライナー監督が1984年に手がけた初監督作であり、モキュメンタリーというジャンルにおいては『食人族』(80)と共に草分け的存在として知られ、ロック映画というくくりにおいては映画史上に残る金字塔的作品。今回公開された本編映像は、『スパイナル・タップ』で最も有名な珍事件をとらえたものだ。
ナイジェルが紙ナプキンに描いたデザインをもとに、ステージセット用に18フィートのストーンヘンジの製作を発注したつもりが、出来上がったものは18インチの小さなストーンヘンジ(!)。やむなくその小さなストーンヘンジをライブで使用したが、ライブ中に小さな妖精がストーンヘンジの周りで珍妙なダンスを踊り、ステージ上がなんともシュールな空気に包まれてしまう。ライブ冒頭で明らかに小さすぎるストーンヘンジが天井からするすると降りてくる瞬間は爆笑必至だ。
実は今回解禁されたシーンには後日譚がある。本作の公開後、実際にバンドとして活動を始めたスパイナル・タップは、1992年のロイヤル・アルバート・ホールで再結成コンサートを行ったのだが、今度はストーンヘンジが大きすぎて会場に入らなかったのだ。また、音楽ライターの山﨑智之氏によると、ブラック・サバスも1983年のツアーでストーンヘンジを使用しようとしたが、こちらも大きすぎて会場に搬入できなかったのだそうだ。
「カルト・ムービー・トップ50」(エンターテインメント・ウィークリー誌03年発表)、「歴代ロック映画トップ10」(Mojo誌05年発表)、「ロックンロール映画オールタイムベスト100」(BLENDER誌05年発表)で第1位を飾りながらも、日本ではなぜか今まで劇場未公開だった本作。もともと16ミリフィルムで撮影されており、ビデオやDVDで楽しんでいたファンが多いはずだが、この度の上映では字幕を改正したリマスター版での上映。新たに生まれ変わり、再起をかけた『スパイナル・タップ』の変化に期待して頂きたい。
ストーリー
「スパイナル・タップ」は60年代にデビューし、かつて一世を風靡したイギリスの人気ロックバンド。ビートルズ・スタイル、フラワーチルドレン、…時代とともに音楽性も変化させてきた彼ら。そして時は80年代、最先端であるハードロック・スタイルを武器に現在に至っている。そんななか、アルバム「Smell the Glove」のリリースが決定、大々的な全米ツアーを行うことになった!彼らの大ファンである映画監督マーティ・ディ・ベルギーは、ツアーに密着を決意。映し出されるのは、結成秘話からメンバーたちの苦悩、歴代ドラマーの怪死、トラブルから感動のステージまで、次々と明かされるファン必見のエピソードの数々。伝説のロック・ドキュメンタリー『スパイナル・タップ』がここに誕生する――!!
作品タイトル:『スパイナル・タップ』
出演:ロブ・ライナー、マイケル・マッキーン、クリストファー・ゲスト
監督:ロブ・ライナー
製作:カレン・マーフィ
1984年/アメリカ/83分/ビスタ/
原題:THIS IS SPINAL TAP
提供:キングレコード
配給:アンプラグド
公式サイト:http://spinaltap.jp
コピーライト:(c)1984 STUDIOCANAL All Rights Reserved.
6月16日(土)より新宿武蔵野館他全国ロードショー