映画『スピリッツ・オブ・ジ・エア』(配給:アンプラグド)が、2月8日(土)より新宿シネマカリテ他全国順次公開となることが決定致し、ビジュアルもあわせて解禁となった。
『クロウ/飛翔伝説』(94)、『アイ、ロボット』(04)など近未来SF映画でその名の知られるエジプト出身の監督、アレックス・プロヤスのデビュー作にして最高傑作との呼声が高い『スピリッツ・オブ・ジ・エア』。初公開時オーストラリア・アカデミー賞の最優秀美術賞・最優秀衣装賞にノミネートされるなど本国では高い評価を得るも、プロヤスが無名だったからか、オーストラリア以外ではほとんど公開されなかった。
だが海外で本作を評価したのはなんと日本だった。1990年開催の第1回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映され、審査員特別賞を受賞。この際の審査員を務めたのは、ジョン・ヴォイト、アンジェリーナ・ジョリー、ジョゼ・ジョバンニ監督、相米慎二監督、根津甚八、竹中直人という錚々たる映画人たちである。翌年91年には正式に劇場公開され、当時の日本人映画ファンの多くが若きプロヤスの才能に驚嘆した。
その後VHSは発売されたものの、DVDやブルーレイ化はされず、長年に渡って観る事が難しい<失われた作品>として存在感を高めてきた。この度の公開は約30年ぶりであり、16mm撮影ながら2Kスキャンによるデジタル・リマスターでの鮮烈な映像で甦る。なおこの日本再公開をプロヤス監督本人とプロデューサーが最も喜んでおり、さらには今回の日本版ポスタービジュアルを大絶賛、「デザイナーに素晴らしい!と伝えてほしい」「ポスターを早く欲しい」という前のめりな連絡が来ているという。
本作の登場人物はたった3人で、「空を飛ぶこと」への憧れを持つ男を軸に、《絶望》と《希望》、《夢》と《現実》の寓話を幻想的に描き出した、驚くほど詩的な一篇である。
赤い砂漠と紺碧の空の間に林立する巨大な十字架とぽつんと佇む一軒家。そこに住む足の不自由な兄フェリックスはこの場所ではないどこかへ飛び立とうと、飛行機づくりに明け暮れている。一方、偏執的な気質を持つ妹ベティは死んだ父の墓を守ることに執着している。茫洋であるのに隔離された二人だけの世界に、スミスと名乗る奇妙な逃亡者が現れるが・・・。
今回、同時に解禁となったポスタービジュアルでは、恐ろしいほどに美しいオープニングシーンの一部が切り取られている。砂漠の真ん中でベティが真っ赤なドレスを纏って弦楽器を奏でるカットは、圧倒的な空虚さえ感じられる。「夢の着地点」とは一体何なのだろうか。
アレックス・プロヤスは本作の制作に4年半の月日を費やし、壮大なロマンの物語を完成させた。
公開当時、
――『スピリッツ・オブ・ジ・エア』は、目の前に立ちはだかる、時には馬鹿げているとさえ思えるような障害物と戦いながらも、夢を実現させようとする者たちの物語である。この映画に登場する人々は、エキセントリックで弱点も見せる。彼らのシチュエーションはしばしば滑稽であるが、それは実際に我々が経験している日常ほどではない。これは、ある意味での犠牲と失敗についての映画だ。それはただ、笑うしかすべのないものである。――
とコメントを残している。
ストーリー
果てしなく広がる荒野に一軒だけの小さな家に住む足の不自由なフェリックス。彼は手作りの飛行機によって空を飛ぶという妄想に取り憑かれ、いつかこの場所からの脱出を夢見ている。一方、偏執的な気質を持つ妹ベティは、この場所を一生離れてはいけないという父の遺言を忠実に守り、十字架に囲まれて暮らしている。そんな2人の生活の中に、ある日、スミスと名乗る逃亡者が現れる…。
作品タイトル:『スピリッツ・オブ・ジ・エア』
出演:マイケル・レイク、ザ・ノーム、ライズ・デイヴィス
監督・脚本:アレックス・プロヤス
製作:アレックス・プロヤス、アンドリュー・マックスフェイル
撮影:デヴィッド・ナウス
音楽:ピーター・ミラー
1988年/オーストラリア/96分/カラー/スタンダードサイズ
原題:SPIRITS OF THE AIR,GREMLINS OF THE CLOUDS
提供:キングレコード
配給:アンプラグド
公式サイト:spiritsoftheair.com
コピーライト:(c)1988 COMPANY BIZARRE PTY LTD.
2020年2月8日(土)新宿シネマカリテほか全国順次公開