初長編監督でオスカーに手をかけた!『ファーザー』フロリアン・ゼレール監督インタビュー映像&メイキング写真解禁

ファーザー

第93回アカデミー賞(R)で、アンソニー・ホプキンスの主演男優賞“史上最高齢”ノミネートを含む6部門(作品賞、主演男優賞、助演女優賞、脚色賞、編集賞、美術賞)でのノミネートを果たした映画『ファーザー』(5月14日(金)公開)より、フロリアン・ゼレール監督のインタビュー映像が到着した。

本作は、2012年パリでの初演で大成功を収めて以来、ロンドンのウエストエンドやニューヨークのブロートドウェイなど世界30か国以上で上演され、フランス最高位の演劇賞を始め各国の最も権威ある賞を獲得し、日本でも「Le Père 父」のタイトルで橋爪功が主役を務めた傑作舞台の映画化。この舞台のオリジナル戯曲を手掛け、「現代において最も心躍る劇作家」(タイムズ紙)と称されるゼレール監督が、初の長編映画の監督に挑んだ。

映画化しようと思ったきっかけは、母代わりとして育ててくれた祖母が15歳の時に認知症を患い、その辛い過程を経て、誰かを愛する時「愛だけでは足りない」と思い知らされ、この個人的な感情を舞台で表現したが、感情を多くの人たちで共有できる映画というものにしたかったからだというゼレール監督。映画化にあたり、主人公の〈ファーザー〉を、名優アンソニー・ホプキンスに演じてもらうため、フランス語の戯曲を英語に翻訳し、脚本をホプキンスへのあて書きへと変更。主人公の名前と年齢、誕生日などをホプキンスと同じ設定にしたという。

また、認知症というテーマについては、「認知症は現代において最も悲しい問題です。それに誰もが共感できる問題でもあります。誰だって自分自身を失ってしまうのは怖いでしょう」と自身の体験を交えて語っている。

そして、アンソニー・ホプキンスを主役に熱望した理由を「彼には深い認識があると思ったからです。老いと死に対する認識がね、老いを表現するのは勇気のいることです。アンソニー・ホプキンスのような活力にあふれた俳優が悲痛なプロセスを演じることに魅力を感じました」と明かした。

ファーザー

オリヴィア・コールマンの起用については、「主人公のアンソニーだけでなく彼の娘のストーリーでもあるため、力強い女優を求めていた。オリヴィア・コールマンは英国最高の女優だと思うので彼女の出演を望んでいました。アンソニー・ホプキンスとの共演もね。観客は彼女を通してストーリーを理解する、ストーリーの中心です。それに彼女はジレンマに陥っています。自分の人生を歩むべきかあるいは父の世話をするべきか、それが彼女の望む人生ではないとしても」と語った。

ファーザー
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他キャストについては、「映画にしては珍しくキャストは6人だけで、そのうちの何人かは複数の役を演じます。彼らを繰り返し違う役で登場させるのは戸惑いの感覚を表現するため、またそうすることで観客を戸惑わせることもできます」と、本作がかつてない映画体験ができることを予期させる秘密を明かした。

そして観客には「認知症の症状の一部を自分で経験しているような立場で自分事として見てほしい。ストーリーは迷路のようなもので観客はその中にいて出口を探さなければなりません」と誰もが直面する愛する家族とのジレンマについてメッセージを寄せた。

本作のエンディングについては、「アンソニーが母を求めて泣きますよね。これは避けようのない人生のプロセスなんです。つまり人は老いて衰えると子供に戻って親を求めるようになります。私にとってそれは受け入れがたいけれども美しくて力強い感情です」と思いを添えた。

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