アカデミー賞(R)作品賞受賞『スポットライト 世紀のスクープ』製作陣×マイケル・キートン主演『ワース 命の値段』(2月23日(木・祝)公開)より、新場面写真と著名人コメントが到着した。
9.11同時多発テロの発生直後、約7000人ものテロ被害者と遺族に補償金を分配する大事業に挑んだ弁護士チームがいた。究極の難題「”命の値段”をどうやって算出するのか?」と向き合った、感動の実話。サンダンス映画祭でお披露目されるや、オバマ元米大統領夫妻が創設した製作会社ハイヤー・グラウンド・プロダクションズがいちはやく配給権を獲得したことも話題となった骨太の社会派エンターテインメントだ。
これまで、『バットマン』『バードマン』『スパイダーマン』などのアメコミ・ヒーロー系譜の作品で知られながらも、前述の『スポットライト』や『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』、『シカゴ7裁判』など社会派作品にも積極的に取り組んできたキートン。本作では主演だけでなく、プロデューサーとしても参加した。自身が演じた実在モデルで、原作となった回想録「What is life worth?」の著者であるケネス・ファインバーグ弁護士と面会し、意気投合したことで一気に実現へ向かったという。「私たちは皆、9.11同時多発テロが起こったあの日、自分がどこにいたかを覚えていますし、あの事件が国や世界に与えた影響も覚えています。この脚本は本当によくできていたので、私は俳優としてだけでなく、プロデューサーとしても参加したいと思いました。この話を伝えることは重要です。」と語っている。計算機のようだったファインバーグが遺族の声に耳を傾けて変わっていく姿を真摯に演じきったキートンに、海外メディアからは「キートン、最高の演技!―Times」といった絶賛が寄せられている。
また国内でも、「不謹慎ながら、しびれてしまった。」と率直なコメントを寄せた田原総一朗(ジャーナリスト)をはじめ、「人の命に値段はない。そんな「常識」は9.11の被害者には適用されないのか。」という望月衣塑子(東京新聞記者)や、「もう一つの9.11だ。」という柳澤秀夫(ジャーナリスト)ら、報道の第一線で活躍する面々や、森永卓郎(経済アナリスト)、斎藤幸平(経済思想家)、風間直樹(『週刊東洋経済』編集長)など経済の専門家、木村草太(憲法学者)、三輪記子(弁護士)など法曹界からも、熱いコメントが寄せられた。コメント全ては公式サイトに掲載されている(以下にもご紹介)。
コメント一覧(敬称略、順不同)
人の命に値段などつけられる筈がない。
この、あまりにも難しい問題に唸らざるを得ない。
そこに自ら立ち向かっていく主人公に
不謹慎ながら、しびれてしまった。
田原総一朗(ジャーナリスト)
経済学は、人々を一律に数字で取り扱おうとする。この映画は、その罪深さを告発している。人間はひとり一人異なる人生の背景を持っている。カネを超えて、その背景に迫る主人公の姿に、魂を揺さぶられた。
森永卓郎(経済アナリスト)
もう一つの9.11だ。テロとの戦いの舞台裏でこんなことが起きていたのか!知らなかった自分を恥じた。命の計算式からはアメリカ社会の素顔が垣間見えてくる。一人の弁護士の葛藤を通して「我々にとって何が大切なのか?」重い命題を突き付けられた。
柳澤秀夫(ジャーナリスト)
人の命に値段はない。そんな「常識」は9.11の被害者には適用されないのか。遺族の言葉と涙が、ケン・ファインバーグ弁護士率いる弁護団を動かす。遺族が望んだのは金ではなく、愛する人を失った痛みや悲しみを共有する場だったのでは
望月衣塑子(東京新聞記者)
調停のプロによる独自の計算式、ルールが完璧でないから正しい補償金額を出せないのではない。ときに前に進むよりも、いや、前に進むためにこそ、公正さ、道義的正しさの追求が欠かせない現実をクリアに描き出した。
風間直樹(『週刊東洋経済』編集長)
法は正義のためにある。個人の尊厳が守られ、個人が尊重されないところに、正義はない。個人の尊厳が守られない法、個人が尊重されない法ならば、誰も従わない。良き法律家に必要なのは、他者の尊厳を守り、尊重する姿勢だ。
木村草太(憲法学者)
生命の価値は誰もが同じはずだが、交通事故の死亡慰謝料には差がつけられる。「公正(フェア)な補償額はどのように決めるのか」という倫理的な難問が、見事なエンタテインメントになった。
橘玲(作家)
「人間の可能性」について一縷の望みを持ち続けている人にこそ、見てほしい。
正義とは?公平とは?命の値段とは?答えの出ない問題に答えを出そうとするとき、
共感と対話こそがカギになるということを、この映画が教えてくれる。
山口周(独立研究者・著作家・パブリックスピーカー)
数字に置き換えられるはずのない悲しみに心を揺さぶられたのなら、映画の「その後」にも思いを巡らせたい。米国の「報復攻撃」や侵攻の犠牲となり、何ら支えを受けられずにいる、アフガニスタンやイラクの人々の命にも。
安田菜津紀(認定NPO法人Dialogue for People副代表/フォトジャーナリスト)
航空業界と富豪しか救うつもりのない政府、頭でっかちの弁護士、翻弄される犠牲者の家族。これを「美談」にするのが、アメリカの民主主義だ。
斎藤幸平(経済思想家)
100人近い被害者遺族を演じる俳優たち、その全員が素晴らしい。
悲しみとやるせなさ、不条理を抱えた存在。
命の価値がどう違うのか、問い直してしまう。
突きつけられてしまう。
私たちは、この映画を通して何百もの命と出会ってしまうのだ。
瀬々敬久(映画監督)
この映画は喪失、悲しみ、苦悩、怒り、を容赦なく映し出す。
しかし同時にそれらを受容し諦めず前進する人たちの、つまり私たちの物語でもある。
三輪記子(弁護士)
誠実とは何か。信頼とは何か。
煩悶する姿に答えを探し続けた。
答えなんてないのでは、という疑いを持ちながら。
武田砂鉄(ライター)
一人一人の、一つ一つの命に向き合うことで、それが次々と繋がりあって僕達の社会を作っていくことがわかる。その営みにこそ”価値”がある。
ダースレイダー(ラッパー)
ルールや公平性という一見“正義”の前に、私たちは一番大切なことを忘れがちだ。目の前にいる人たちが希望を持てないルールや公平性には何の意味もないことを、この映画は改めて伝えてくれる。
浜田敬子(ジャーナリスト)
9・11テロにこんな物語があったことに驚き、弁護士の苦悩に胸を突かれ、彼らが向き合う遺族たちの癒せぬ思いに涙した。悲しみに寄り添うことで、人はどれだけ救われるのか。これはお金の話ではない、魂の物語だ。
松原耕二(ニュースキャスター)
熟慮の末に契約書を破り捨てる勇気を持つ者だけが時代を切り開く。それが弁護士であろうと、なかろうと。
水野祐(法律家・弁護士)
「命に値段をつける」という
ヒリヒリした現場に居合わせた気持ちになった。
資本家の身勝手に忖度する交渉は人々を分断する刃。
必要なのは絶望の淵にいる人々の状況を自分ごとと考える愛だ。
道を拓くにはそれ以外ない、と再認識した。
永田町の住人こそ本作を観るべき。
山本太郎(れいわ新選組代表・参議院議員)
我々は法の目から見ると利益を産み出す機械でしかないのか。その機械の価値は産み出す利益で決まる。しかし人の命に貴賤はあってはならないはず。これは海の向こうの話ではない。日本でも同じ問題がある。あなたのお命、いかほど?
菊地幸夫(弁護士)
20年以上経つ今でも、あの日、あの時、あの瞬間の「記憶」が消えることはない。
この事実に基づく物語もまた、9・11のもう一つの「記憶」として、私の心に深く刻まれることになるだろう。
大城慶吾(月刊『Wedge』編集長)
知らなかった9.11テロのその後。
命の価値を巡って対立する国家の論理と個人の思い。
その狭間で苦悩する弁護士たち。
自分ならどうするか…思わず考えてしまった。
白か黒かではなくどの色のグレイを選ぶのか?
村尾信尚(関西学院大学 教授)
ストーリー
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ発生後まもなく、政府が被害者と遺族を救済するための補償基金プログラムを立ち上げる。特別管理人を任されたのは、弁護士ケン・ファインバーグ。調停のプロを自認するファインバーグは、独自の計算式に則って個々人の補償金額を算出する方針を打ち出すが、さまざまな事情を抱える被害者遺族の喪失感や悲しみに接するうちに、いくつもの矛盾にぶち当たる。約7000人の対象者のうち80%の賛同を得ることを目標とするチームの作業は停滞する一方、プログラム反対派の活動は勢いづいていく。期限が刻一刻と迫るなか、苦境に立たされたファインバーグが下した大きな決断とは……。
作品タイトル:『ワース 命の値段』
出演:マイケル・キートン、スタンリー・トゥッチ、エイミー・ライアン
監督:サラ・コランジェロ
脚本:マックス・ボレンスタイン
2019年/アメリカ/英語/118分/シネスコ/カラー/5.1ch/原題:WORTH/日本語字幕:髙内朝子
提供:ギャガ、ロングライド
配給:ロングライド
公式サイト:longride.jp/worth/
公式Twitter:@WORTH_MOVIE
コピーライト:(C) 2020 WILW Holdings LLC. All Rights Reserved.
2月23日(木・祝)、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
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