カナダで開催中の第48回トロント国際映画祭にて、現地時間9月10日(日本時間9月11日)に、映画『大いなる不在』(2024年公開予定)のワールドプレミア上映が行われ、キャストの森山未來、藤竜也、原日出子、近浦啓監督が映画祭に参加した。
第48回トロント国際映画祭コンペティション部門《プラットフォーム》
ワールドプレミア上映
現地時間:9月10日(日)AM11:15~上映
(日本時間:9月11日(月)AM0:15~上映)
会場:TIFF Bell Lightbox Cinema 2
参加者(敬称略):近浦啓監督、森山未來、藤竜也、原日出子、山崎裕(撮影監督)
満員の観客が集まった会場で、キャストの森山、藤、原、近浦監督が観客と一緒に作品を鑑賞。上映が終わると、会場の観客は、来場したキャストと監督を万感の拍手で讃えた。
森山は、塚本晋也監督の『ほかげ』でベネチア国際映画祭へ参加した後、そのまま直行しトロント入りした。トロント国際映画祭への参加は、今回が初めて。ワールドプレミア上映を終えて森山は「今日はお越しいただいてありがとうございました。ここに来ることができ、光栄です。僕が演じたこのキャラクターは、劇中でも役者です。フィクション、虚構の世界に役者というアビリティを持ちながら彼の物語に入っていく、そういうフローを楽しんでいたような気もします」とコメント。
近浦監督の長編一作目である『コンプリシティ/優しい共犯』以来の国際映画祭への参加となった藤は、「陽二という役に、私自身が完全にハイジャックされていたので、役作りはとてもスムーズでした。難しかったことはほとんど覚えていません」とコメント。また「この映画を見るのは、今日で2回目となりますが、直美、I’m sorry.」と、劇中で彼の妻「直美」を演じた原に向かって、苦笑しながらお詫びする姿も見せた。
海外から高く評価される大島渚監督の『愛のコリーダ』などで主演し、海外でも人気の高い藤は、映画祭のポートレート撮影を担当した著名なフォトグラファーのノーマン・ウォンから、「私はあなたの長年のファンです」と撮影前に握手を求められるなど、国際的な知名度の高さを感じさせる局面が多くあった。
また、国際映画祭への参加自体が初めてとなった原は「今日はこのような素晴らしいフィルムフェスティバルにお招きいただき、本当にありがとうございます。撮影期間中に、同じような状況を私自身抱えていたこともあり、その気持ちをそのまま投影して、役を演じたというよりも直美を生きたというように感じています。皆さんの心に何か届けば嬉しいです」とコメントし、映画祭の雰囲気を楽しんだ。
デビュー作に続き、長編2作目も同映画祭での初披露となった近浦監督は、冒頭の挨拶で「温かく迎えていただき、ありがとうございます。光栄です。2018年に、観客の皆様の圧倒的なエネルギーに強く心を打たれ、また戻ってきたいと思いました。そして今、長編2作目を持って帰ってきて、他の9本の傑作と並びコンペティション部門にノミネートされました。これほど嬉しいことはありません」と挨拶し、感無量の様子だった。
米アカデミーの前哨戦として注目される本映画祭は、長らく非コンペティションの映画祭といわれていたが、2015年にコンペティション部門《プラットフォーム》を新設。本年は、第89回アカデミー作品賞を受賞した『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督が、審査員を務めることでも注目されている。
同映画祭のプログラミングディレクターのジョバンナ フルーヴィ氏は、「近浦啓は、この二作目の作品を経て、すぐに日本の次世代の巨匠の仲間入りをする作家であるという評価がされるだろう」と寄せ、大きな手応えを感じていた。
本作は、同部門にノミネートされた10作品の中から選出される「プラットフォーム・アワード」に加えて、すべての上映作品から選ばれる「観客賞」(ピープルズチョイス・アワード)の対象となっている。授賞式は、トロント現地時間9月17日(日)(日本時間9月18日(月))に行われる。また、その後は、9月22日(金)からスペインで開催されるサン・セバスティアン国際映画祭でもメイン・コンペティションにノミネートされ、ヨーロッパ初上映を迎える。
作品タイトル:『大いなる不在』
出演:森山未來、藤竜也、真木よう子、原日出子 ほか
監督・脚本:近浦啓
共同脚本:熊野桂太
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
特別協力:北九州フィルム・コミッション
製作:クレイテプス
コピーライト:(C) 2023 CREATPS
2024年公開予定
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