第37回東京国際映画祭でコンペティション部門正式招待作品に選出された『雨の中の慾情』のワールドプレミアが10月30日に行われ、舞台挨拶&ティーチインに成田凌、中村映里子、李杏が登壇した。
今年デビュー70周年を迎える漫画家・つげ義春による短編を片山慎三監督が映画化した本作は、二人の男と一人の女の切なくも激しい性愛と情愛が入り交じる、数奇なラブストーリー。
売れない漫画家・義男役を演じた成田は、小雨が降る曇天の天候とタイトルをかけ「“雨の中の慾情”日和にお越しいただきありがとうございます」と挨拶して場内の笑いを誘いつつ、衝撃的かつ独創的な本作の上映直後の雰囲気に「入ってきた時にお疲れムードを感じました(笑)。でも、最後には愛という形が見える作品になっていると思います」と、無事にワールドプレミアを迎えられたことを喜んだ。
妖艶でミステリアスな魅力を放つ美しい未亡人・福子を演じた中村は、「私にとっても特別で、かけがえのない作品になりました」と笑顔。
台湾から参加した、森田剛演じる伊守の妻・春美(シェンメイ)役の李杏は「この東京国際映画祭という場でワールドプレミアに出席できて嬉しいです」と明かした。
つげ義春の「雨の中の慾情」をベースに、「隣りの女」「池袋百点会」「夏の思いで」の要素を取り入れながら、片山監督が独創的な世界観を創出した本作。主演の成田は、最初にオファーを受けた時「生半可な気持ちではできないな…」と重圧を感じながらも、「こういう映画を作りたいと思っていました」と本作への熱い想いと覚悟を明かした。
また、中村は「片山監督は作品を経てどんどんパワーアップしていると思いますし、監督の作品なら絶対やりたい!と思っていました。原作やキャラクターのユニークさ、その世界観がすごく面白そうで、その世界に飛び込んでみたいと強く思ったんです」と、福子役に挑む上での当時の意気込みを思い返しコメント。
2017年に台湾でも公開された『岬の兄妹』が大好きだという李杏は、「当時、ご縁があって監督と知り合うことができて…今回のオファーは躊躇なくお受けいたしました」と本作出演に至ったエピソードを披露した。
また、後半には来場者からのQ&Aも実施。早速、「役を演じる上で監督からはどのような演出がありましたか?」といった質問が飛ぶと、成田は「まず言われたのは義男の走り方です。義男は肘を負けないで走ると思うんですよ、と言われて。義男は生活の中で、どういう人間なのかを表現する必要があると思っていました」と明かし、予告映像でも見ることができる独特なフォームで駆け抜ける義男の姿が完成した撮影秘話を告白。
中村は「私はとにかく明るく演じてほしいと言われていました。福子という人物をリアルに表現するというより、どちらかというと大げさというか、思いっきり演じてみよう、という気持ちでしたね。汗っかきという設定なので、いっぱいオイルをつけていたりもして…それがキャラクターの一つの印象的な部分にもつながったと思います」と具現化するのが至難の業だったという役作りについての裏側を明かした。
李杏は「瞬きのスピードを遅くしてほしい、と言われました。言われた事がない演出だったので面白かったです。いい経験でした」と片山監督が創出する世界を楽しみながら演じていたとコメントした。
続いて「自身の役柄とキャラクターが重なる部分はありますか?」という質問に対して、成田が「気が小さい所ですかね。こうなればいいな、と思うことはあるけど、そのための一歩が進んでいるのか、いないのか…あとできれば楽をしたいと思っている所です(笑)」と冗談を交えて明かすと、中村と李杏から笑みがこぼれた。
一方、妖艶なファムファタル(運命の女)のように見えて、儚げな未亡人の雰囲気もたたえており、かと思えば嫉妬に狂う激情家の一面も持つ、という福子を演じた中村は「衝動的、直感的というか…自分の思うままに、というのは重なるかなと思います」と役柄に通じる自身の意外な一面を告白していた。
多くの挙手が上がり、質問が飛び交う盛り上がりをみせたQ&Aだったが、最後に成田が「今日はご来場いただき本当にありがとうございました。愛情の溢れる現場で撮影し、エネルギッシュな作品に仕上がりました。僕にとっても大切な作品になっていますので、皆さんの心にも残ると嬉しいです」とメッセージを贈り、ワールドプレミアとなった舞台挨拶&ティーチインは幕を閉じた。
『雨の中の慾情』は11月29日(金)公開。
ストーリー
貧しい北町に住む売れない漫画家・義男(成田凌)。アパート経営の他に怪しい商売をしているらしい大家の尾弥次(竹中直人)から自称小説家の伊守(森田剛)とともに引っ越しの手伝いに駆り出され、離婚したばかりの福子(中村映里子)と出会う。艶めかしい魅力をたたえた福子に心奪われた義男だが、どうやら福子にはすでに付き合っている人がいるらしい。伊守は自作の小説を掲載するため、怪しげな出版社員とともに富める南町で流行っているPR誌を真似て北町のPR誌を企画する。その広告営業を手伝わされる義男。ほどなく、福子と伊守が義男の家に転がり込んできて、義男は福子への潰えぬ想いを抱えたたま、三人の奇妙な共同生活が始まる……。
『雨の中の慾情』
出演:成田凌 中村映里子 森田剛 足立智充 中西柚貴 松浦祐也 梁秩誠 李沐薰 伊島空 李杏 / 竹中直人
監督・脚本:片山慎三
原作:つげ義春「雨の中の慾情」
企画:中沢敏明 エグゼクティブプロデューサー:英田理志 中西一雄 プロデューサー:厨子健介 筒井史子 劉士華
コ・プロデューサー:後藤哲 李芃君 川端基夫(山形ロケ) 和田大輔(茨城ロケ) 脚本協力:大江崇允 音楽:髙位妃楊子 衣裳デザイン・扮装統括:柘植伊佐夫
撮影:池田直矢 照明:舘野秀樹 録音:秋元大輔 美術:磯貝さやか 装飾:折戸美由紀 小道具:佐藤桃子 編集:片岡葉寿紀 音響効果:井上奈津子
VFXスーパーバイザー:朝倉怜 衣裳デザイン補・スタイリスト:玉置博人 スタイリスト:橋本ゆか ヘアメイク:会川敦子
VFXプロデューサー:川瀬基之 音楽プロデューサー:安井輝 宣伝プロデューサー:小口心平 キャスティング:北田由利子 助監督:山口晋策
制作:セディックインターナショナル 日商賽奇客有限公司 井風國際娛樂有限公司
製作:映画『雨の中の慾情』製作委員会
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
(C)2024 「雨の中の慾情」製作委員会
公式サイト:https:/www.culture-pub.jp/amenonakanoyokujo/
公式X:@ame_yokujo
11月29日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
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