【レポート】『BAD LANDS バッド・ランズ』原田眞人監督&原田遊人プロデューサーが日本外国特派員協会での会見に登壇

BAD LANDS バッド・ランズ

安藤サクラ主演、山田涼介(Hey! Say! JUMP)共演の映画『BAD LANDS バッド・ランズ』(9月29日(金)公開)の上映会および記者会見が日本外国特派員協会で行われ、原田眞人監督と、本作のプロデューサー・編集を担当した原田遊人が登壇した。

第151回直木賞を受賞した『破門』や、『後妻業』などで人間を突き動かす欲望を描いてきた黒川博行が、高齢者をターゲットにした特殊詐欺に着目し、加害者側であるその仕掛け人を中心に、生活保護の不正受給を斡旋し巻き上げる貧困ビジネス、闇バイト、それらの犯行を取り締まろうとする刑事たちとの攻防を書き上げたクライムノベル『勁草』(読み方:けいそう)を原作とした本作。

なぜこの題材を選んだのかという質問に対して原田眞人監督は「小説が出た2015年にすぐ読みました。その時、特殊詐欺がちょっとしたニュースになり始めたころで、道具屋や名簿屋など、それらの犯罪グループの分業的なプロセスがすごく面白かったんです」と原作小説を読んだ最初の印象を告白。

原作では男性である主人公を“ネリ”という女性に変更したことについて質問が及ぶと「最初に読みながら、これは女性を主人公にした方が絶対に成功するなと思いました。僕が敬愛するハワード・ホークスの『ヒズ・ガール・フライデー』も元々は男性二人の物語だったのをケーリー・グラントとロザリンド・ラッセルに変えています。だから性転換に関しては昔から割と自然に自分の中にインプットされていました」と話した。

さらに、“原田監督作品に安藤サクラが出演するのが意外だと感じた”という外国人記者から主人公“ネリ”のキャスティングの理由を問われると「今回は当初、大阪弁のキャラクターと言うことで関西地域出身の役者をキャスティングしようとしていました。スケジュールの都合などでキャスティングが難航していた時に、名前が挙がったのが安藤さんでした。安藤さんのことは元々良い役者だなと思っていましたし、彼女はNHKのドラマで関西弁の演技に挑戦していたという点もあり、安藤さんを検討することになりました」とキャスティング秘話を明かした上で、続けて「実際に彼女にお会いすると非常に魅力的な方でしたし、すぐに大ファンになりました。撮影でもいつも準備万端の状態で、心血注いで取り組んでくれました。山田さんもそうでしたが、大阪弁の先生をつけて勉強をして非常に流暢なセリフを披露してくれたので、監督としては非常に楽でした」と撮影時のエピソードを振り返った。

キャスト陣のセリフ回しについて原田監督が絶賛のコメントを寄せたことで、続いて原田遊人には「原田監督作品における特徴的な“早いペースのセリフ”について、編集する際に監督からの指示などはあったのか?」という質問が寄せられた。原田遊人は「まず、監督がせっかちですからね(笑)」と冗談交じりに応えると会場にも笑いが沸き起こる。そして「原田組のリハーサルで一つ特徴的なのは、最初に顔あわせをするときからほぼ全てのキャストを集めて台本を読むんです。1回目は普通に読んで、2回目はとにかく早く読んでその差をつけてみるというやり方をするので、撮影が始まる頃には役者もだいぶセリフのテンポが速くなっているはずです。情報量は確かに多いのですが、編集として特別なことをしているわけではありません。基本的には監督が望むようなテンポで編集していますし、アドリブも結構多いですがなるべく生かすようにしています」と本作の編集に関して、監督の要望を細やかに汲み取り作品を仕上げていったことを明かした。

また原田監督は1973年のテレンス・マリックの映画『Badlands』(邦題:地獄の逃避行)を見て非常に影響を受けたそうで、「いつかこのタイトルを使いたいなと思っていました」と語る。満を持してこのタイトルで撮影された本作だが「でも実際にこの作品を作っている毎日は楽しくて、『天国の日々』でした。テレンス・マリックの別の作品ですね」と晴れやかな表情で笑い、充実した制作期間を振り返る様子には会場からは改めて拍手があがった。

ストーリー
<持たざる者>が<持つ者>から生きる糧を掠め取り生き延びてきたこの地で、特殊詐欺に加担するネリと弟・ジョー。
二人はある夜、思いがけず“億を超える大金”を手にしてしまう。
金を引き出す…ただそれだけだったはずの2人に迫る様々な巨悪。
果たして、ネリとジョーはこの<危険な地>から逃れられるのか。

作品タイトル:『BAD LANDS バッド・ランズ』
出演:安藤サクラ 山田涼介
生瀬勝久 吉原光夫 大場泰正 淵上泰史 縄田カノン 前田航基
鴨鈴女 山村憲之介 田原靖子 山田蟲男 伊藤公一 福重友 齋賀正和 杉林健生 永島知洋
サリngROCK 天童よしみ / 江口のりこ / 宇崎竜童
監督・脚本・プロデュース:原田眞人
原作:黒川博行『勁草』(徳間文庫刊)
製作:村松秀信 ウィリアム・アイアトン 勝股英夫 藤島ジュリーK.
エグゼクティブ・プロデューサー:柳迫成彦 上木則安 企画・プロデュース:鍋島寿夫 プロデューサー:小杉宝 小笠原宏之 原田遊人 プロダクション統括:吉田尚剛 秋本つばさ
音楽:土屋玲子 ラインプロデューサー:大日方教史 撮影:北信康 照明:柴田雄大 美術:金勝浩一 録音:鶴巻仁 編集:原田遊人 装飾:KEN 衣装:宮本まさ江
ヘアメイクディレクション:酒井啓介 ヘアメイク:塩谷英里 スタントコーディネーター:中村健人 Bカメラ撮影:堂前徹之 VFXスーパーバイザー:オダイッセイ
整音:矢野正人 音響効果:柴﨑憲治 スクリプター:川野恵美 キャスティング:石垣光代 助監督:土肥拓郎 制作担当:伊藤栄
「BAD LANDS」製作委員会:東映 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント エイベックス・ピクチャーズ ジェイ・ストーム
制作協力:スカイホーク アミューズメントメディア総合学院
制作プロダクション:AMGエンタテインメント つばさプロジェクト
2023年/143分/カラー/シネスコ/5.1ch
配給:東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

公式サイト:https://bad-lands-movie.jp/
公式Twitter:@bad_lands_movie
公式Instagram:@bad_lands_movie #映画バッドランズ
コピーライト:(C)2023「BAD LANDS」製作委員会

9月29日(金)全国ロードショー

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