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映画上映終了後、スクリーンに映し出されたチャン監督は「今日はお越しくださりありがとうございます。映画の成り立ちを話したいと思います」と挨拶。
月永さんから「小説のどういうところに惹かれて映画化を決めたのでしょうか?」と尋ねられた監督は、「自分はケナとは年齢、世代など置かれた状況は異なるが、韓国社会での生きづらさを同じように思っている人がいると感じたのが第一印象でした。韓国では小学校から大学卒業、就職、結婚、子供を持つか持たないか。すべて激しく競争させられる。それらは簡単にみえますが違います。自分はもっと違う夢物語を描きたかった」と思いを吐露。
小説ではケナはオーストラリアに向かうが、映画ではニュージーランドに変更した違いに関しては「プロデューサーに勧められてニュージーランドを訪れたのですが、韓国の反対の位置にあり物理的にとても遠い分、より事情を抱えている(韓国)人が多かった印象を持ちました。ケナが求めた南の国でもありますし(笑)」と語った。
続いて、月永さんから「監督の過去作品を拝見しても俳優たちがとてもリアルで自然な会話を交わすことにいつも感動していてドキッとするセリフが出てくるのが監督らしさだと思っています。会話場面はどのように作られ、俳優にはどのように演出しているのでしょう?」という質問が。
それを受けて、監督は「会話のシーンにある程度時間をかけることで、その人物の心情が描けると考えています。この映画は食事をしながら話すシーンが多いですが、そこにもキャラクターの心情がわかるように心がけて撮影しました。また役者への演出では、カット後に“演技しながらどのような気持ち、気分でいたか”をよく聞きます。その時に自分が感じた気持ちと一致している時にOKを出すようにしています」と明かした。
また、ケナがニュージーランドでかけがえのない友人となるジェインに「幸せ?」と聞いて笑い合うシーンについて、監督は「大抵の作品では海外で出会った男女は恋人同士になりますが、私はそうしたくなかった。ふたりをよき友達として支え合う存在にしたかった。そんなふたりのなにげないニュアンスを表したシーンです。一見なんでもないシーンに注目してくださって、ありがとうございます」と感激。
そして、小説とは異なるラストについては「僕は基本的に決めずに動く人が好きなので、ケナにもいつも新しい可能性を求める人にしたかった」と明かした。
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本作の公開にあわせて、劇場初公開作を含む過去4作の特集上映「映画監督チャン・ゴンジェ 時の記憶と物語の狭間で」も決まり、来日も決定しているチャン・ゴンジェ監督。この日は最後に「よい機会がありまして、『ケナは韓国が嫌いで』だけでなく僕の過去の作品も日本のみなさんに観ていただけることになりました。ご興味お持ちいただけましたらぜひチェックしてみてください。お気をつけてお帰りください」と平日の夜にも関わらず集まった観客たちに感謝を述べた。
チャン・ゴンジェ監督来日情報
①日程:3月7日(金)18:00の回上映後
会場:ヒューマントラストシネマ有楽町
(東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町イトシア・イトシアプラザ4F)
②日程:3月8日(土)12:30の回上映後
会場:シネ・リーブル池袋
(東京都豊島区西池袋1-11-1 ルミネ池袋8F)
③日程:3月8日(土)14:50の回上映後
会場:新宿武蔵野館
(東京都新宿区新宿3-27-10 武蔵野ビル3F)
④日程:3月9日(日)13:00の回上映後
会場:テアトル梅田
(大阪市北区大淀中1-1-88 梅田スカイビルタワーイースト3・4F)
⑤日程:3月9日(日)15:50の回上映後
会場:京都シネマ
(京都市下京区烏丸四条下ル水銀屋町620 四条烏丸下る西側 COCON烏丸3階)
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ストーリー
ソウル郊外で両親と妹と共に暮らす28歳のケナ(コ・アソン)。大学を卒業後、金融会社に就職し、毎日片道2時間かけてソウル市内の会社に通勤している。大学時代から長く付き合っている恋人のジミョン(キム・ウギョム)は、外国に行きたいと言うケナに反対し、「自分が就職したら支える」と伝えるが、そんなジミョンにケナは苛立ちを隠せない。だが、ケナの母は、裕福な家庭で育ったジミョンとの結婚を待ち望んでいた。一方、ケナが家族と暮らす小さな団地は老朽化が進み、再開発が予定されていたが、母は転居先の家の購入費用もケナに頼ろうとしていた。
ソウルの寒すぎる冬、地獄のような通勤、恋人との不透明な未来、仲は良いけれど古い価値観を持つ家族との日々――。ここでは幸せになれないと思ったケナは、ニュージーランドへの移住を決意する。
『ケナは韓国が嫌いで』
出演:コ・アソン チュ・ジョンヒョク キム・ウギョム イ・サンヒ オ・ミンエ パク・スンヒョン
監督・脚本:チャン・ゴンジェ
2024年/韓国/韓国語・英語/107分/カラー/原題:한국이 싫어서/日本語字幕:本田恵子
配給:アニモプロデュース
(C) 2024 NK CONTENTS AND MOCUSHURA INC. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:https://animoproduce.co.jp/bihk/
公式X:@bihk_film
2025年3月7日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国公開
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