『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』ゲイリー・オールドマン&ジョー・ライト監督のインタビュー到着

ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男

本年度アカデミー賞(R)2部門受賞作。ゲイリー・オールドマン主演映画『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』のブルーレイ+DVDセットが10月11日(木)にいよいよリリースとなる。この度、本作のリリースを記念してウィンストン・チャーチル役ゲイリー・オールドマン&ジョー・ライト監督のインタビューが到着した。

目次

「チャーチルになる特殊メイクに耐えられるか、実は不安だった」
ゲイリー自身の述べる最大の業績とは?

――今回のような姿形を変えて役を演じるのは久しぶりですが、この役は慎重に選んだのですか?
ゲイリー・オールドマン(以下、ゲイリー):私が今まで演じてきた役はすべて依頼を受けた仕事ばかりです。チャーチルのような役はそうそうあるものではありません。計画的に自分で仕事を作ることはあまりしません。ですから、来年どんなことをしているのか見当もつきません。ほとんどの時間は失業状態なんです(笑)。

――この映画は責任あるリーダーシップを追求する作品として考え出したのですか?
それとも、あくまでもチャーチルの1つの物語としてでしょうか?

ジョー・ライト(以下、ジョー):僕が考え出したことは脚本家のアンソニー・マクカーテンが当初構想したものとは明らからに違います。僕は責任や疑念、それから障害を乗り越えるための疑念の活かし方を描き出そうと考えました。それは王様と女王が出てくるおとぎ話の中にあるようなことなんです。でも、主人公が王様や女王であることにはまったく関心がありません。人としてどんな人なのかということに関心があるんです。ある意味でチャーチルも同じです。首相やアイコンというよりは人としての方に関心がありました。

――製作中にドナルド・トランプの名前が何度も話題に出ましたか?
ゲイリー:いえ、まったくありません。
ジョー:僕らがこの映画の製作を始めたのが2016年1月でしたので、英国EU離脱もトランプのこともまだ起きていませんでした。ヨーロッパでの一連の選挙や民族主義の台頭もありませんでした。製作過程の中でそういった出来事が起きるようになり、脚本を開発している時には、僕らの政治的見解を映画に込めたくなりました。実際にそうしようとしたんです。チャーチルがEUについて初めて言及した人物のひとりだったことに僕は興味を持ち、チャーチルの先見の明には驚きました。そこで、飛行機に乗っているチャーチルが窓の外を眺めながら発する「もう限界だ。我々は欧州連合を組まなくてはならない」というようなセリフを付け足しました。ですが、そうすると僕ら製作者の姿が映画から透けて見えてきて、映画から意識が離れてしまったんです。当初から意識していたことは、ある特定の時期に特定の敵と戦っている特定の人物について詳細に描くことでした。そして、観客を尊重して、観客自身で答えを見つけてもらうことです。フィルムメイカーとして望んでいる一番の事は、僕らの映画が観客に問題を提起して議論を進めることです。

――ゲイリー、今回の役は今までで一番難しかったと話していますが、どうしてですか?
ゲイリー:無事に終えることができましたが、当初懸念していたことはスタミナでした。というのも、チャーチルはほぼすべてのシーンに出ていて、シーンの原動力になっていたからです。主演を務めたのは『裏切りのサーカス』以来です。その時は、撮影に入ると休みなく毎日ずっと働いていました。脇役をしていたり、休日があったり、飛び飛びで撮影に参加したりする場合などは、気持ちを鼓舞するのは簡単です。今回の作品では、毎日仕事をしていました。誰よりも約4時間前に現場に入って、特殊メイクなどのプロセスを踏んでいたんです。家に帰っていたのは現場に入ってから18時間後でした。それから夕食をとり、息抜きをして、シャワーを浴びていましたね。ベッドに横になるのは相当遅くなってからです。それよりひどい時もあります。不満を言っているのではなくて、自分のことを心配していただけです。「自分の肌はこのメイクに耐えられるだろうか?」といったようなことを考えていました。

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――役を自分のものにするために、世間が持っているチャーチルのイメージを払拭する必要がありましたか?
ゲイリー:あなたが話題にしている世間のイメージというのはある特定のものです。チャーチルは宣伝のうまい人でした。自己宣伝がうまく、当時はブランディングというものがありませんでしたが、ブランディングのセンスを理解していたと思います。彼はホンブルグハットやスカーフやビクトリア朝の服を蝶ネクタイと懐中時計と共に身につけていました。また、演劇やプレゼンテーションの感覚を持ち合わせていました。存在感を大きく見せたい気持ちがあったのでしょう。ジェスチャーを交えながら、オペラ俳優のように振舞っているんです。チャーチルには役者のような貫禄があります。彼の真実の姿を見つけるためにそういった面をすべて演じきりながらも、私たちは彼の人間としての側面を見たかったのです。それが私たちの作りたかった映画であり、議論したことなのです。公人としてのチャーチルが映っている映像には定番のものがあります。その中にはとても示唆に富む映像があるんです。政見放送の始まる直前の姿から映像は始まり、カチンコが彼の目の前に掲げられると、公人としての表情が現れ、リズムある演説をするんです。チャーチルが普段の声で隣にいる人物と話している姿を少しでも見れば、全く違う人物だと思うでしょう。

――チャーチルの「血と苦労と涙と汗」という言葉は生きる上での素晴らしい信条ですが、あなたにとっての座右の銘はありますか?
ゲイリー:息子が3人と9歳になる義理の息子が私にはいます。3人の息子は天才ではありませんが、本当に優しい子たちなんです。ある人に「このあいだの夜、おたくの息子のチャーリーに会ったんだけど、チャーリーは本当に優しいよね」と言われると、とても誇らしく思います。それが私の最大の業績だと思います。世界は優しい人がもっと必要なんです。天才は十分にいます。優しい人がもっといてほしい。私は優しい人になることが一番誇りに思います。そうしようと思ってもいます。誰かの気持ちを傷つけることなく、きちんとした男になれるように努力していますし、血と苦労と涙と汗をもって社会に貢献しようと努力しています。それが自身で最高のことなのです。

――この役をかなり面白くしているように見えますが、楽しみましたか?
ゲイリー:チャーチルにはユーモアのセンスがとてもあったんですよね?
ジョー:僕たちと同じように、チャーチルはユーモアを防衛手段として、そして人生での困難を切り抜ける手段として利用しました。私が調べた中で1番面白かったことは、エリザベス・レイトン(チャーチルの秘書)を始めとするいろんな人の話を読んでみると、誰もがチャーチルは目の奥で常に笑っていると描写しているのを見つけたことです。いかなる時でも、突然冗談を言ったり、笑い出したりして、その姿は愉快で元気づけるものでした。そして、僕らは楽しんでもらえる映画を作りたかったんです。退屈な歴史の授業をするつもりはありませんでした。チャーチルから学ぶことはあると思いますが、それを唐突に押し付けることはできません。そこで僕らは前半にユーモアをたくさん持ってきて、後半はポリティカル・スリラーのように展開しようとしました。それが僕らの目標でした。

――あなたの演技や演じてきた多くのキャラクターはとても生き生きとしていますね。
ゲイリー:『レオン』(1994)で演じた役を思い出してみてください。あの役は漫画っぽく、大げさで、ボンド映画(『007』シリーズ)の悪役みたいなものでした。『レオン』の撮影で、部下が近寄ってくると私はその部下に「全員呼んでこい!」と言い、部下は「全員ですか?」と聞き返すシーンがありました。あるテイクで私は録音部のもとに行き、「次のテイクでは大声を出すから、そのつもりでいて。リュック(・ベッソン監督)を笑わせたいんだ」と一言伝えました。悪ふざけですよ。 それで、そのテイクに挑んで、振り返りざまに「全員だ!」と大声で言いました。みんな笑うのを堪えていましたが、私だけはくすくす笑ってしまいました。

――『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』は非常に民族主義的な映画ですか?
ジョー:僕はそう思いません。この映画がイギリスだけについてのことか、もしくは人間性についてのことかと捉えるかどうかで変わってくると思います。僕は人間性についての映画だと捉えています。人間性をとても気に入っていて、偏見や憎しみが高まってくるのを抑えられる人間の能力がとても気に入っています。僕にとって、それがこの映画のすべてです。僕が観客にどうやって知的に考え、どこに共感するのかを教えるのではありません。僕の仕事はある疑問を提起して、観客が自分で答えを導き出せるようにすることです。

ストーリー
1940 年、第二次世界大戦初期。ナチス・ドイツの勢力が拡大し、フランスは陥落間近、イギリスにも侵略の脅威が迫っていた。連合軍がダンケルクの海岸で窮地に追い込まれるなか、ヨーロッパの運命は、新たに就任したばかりの英国首相ウィンストン・チャーチルの手に委ねられた。度重なる失策から“政界一の嫌われ者”であったチャーチルは、政敵たちに追いつめられながら、ヨーロッパのみならず世界にとって究極の選択を迫られる。ヒトラーに屈するのか、あるいは闘うのか…。

商品情報

『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 ブルーレイ+DVD セット』
GNXF-2369/¥3,990(税別)/カラー/本編:125分/特典映像約13分/16:9 ビスタサイズ

<ブルーレイ>
音声:
①英語 ドルビーアトモス
②日本語 5.1chドルビーデジタル
③英語(音声解説):2.0ch ドルビーデジタル
字幕:①日本語 ②英語

<DVD>
音声:
①英語 5.1ch ドルビーデジタル
②日本語 5.1chドルビーデジタル
③英語(音声解説):2.0ch ドルビーデジタル
字幕:①日本語 ②英語

【特典】 <ブルーレイ、DVD共通>
■製作への思い
■ゲイリー・オールドマンの完璧な変身
■監督 ジョー・ライトによる本編音声解説

『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 ブルーレイ+DVD セット』
10 月11 日(木)リリース
レンタルブルーレイ&DVD 同日レンタル開始

※発売日・仕様・特典は都合により予告なく変更する場合がございます。

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キャスト
ウィンストン・チャーチル :ゲイリー・オールドマン(『レオン』『裏切りのサーカス』『ダークナイト ライジング』)
クレメンティーン・チャーチル :クリスティン・スコット・トーマス(『イングリッシュ・ペイシェント』『トゥームレイダー ファースト・ミッション』)
エリザベス・レイトン :リリー・ジェームズ(『シンデレラ』『ベイビー・ドライバー』『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』「ダウントン・アビー」)
ハリファックス子爵 :スティーヴン・ディレイン(「ゲーム・オブ・スローンズ」)
ネヴィル・チェンバレン :ロナルド・ピックアップ(『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』)
国王ジョージ6世 :ベン・メンデルソーン(『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』『レディ・プレイヤー1』)

スタッフ
監督 :ジョー・ライト(『プライドと偏見』『つぐない』)
脚本・製作 :アンソニー・マクカーテン(『博士と彼女のセオリー』)
プロデューサー :ティム・ビーヴァン(『裏切りのサーカス』『ベイビー・ドライバー』)他
撮影 :ブリュノ・デルボネル(『アメリ』『ハリー・ポッターと謎のプリンス』)
プロダクションデザイナー :サラ・グリーンウッド(『つぐない』『美女と野獣』)
衣装 :ジャクリーン・デュラン(『アンナ・カレーニナ』『美女と野獣』)
音楽 :ダリオ・マリアネッリ(『プライドと偏見』『つぐない』)
特殊メイク、ヘア&メイクデザイン(ゲイリー・オールドマン):辻一弘(『グリンチ』『PLANET OF THE APES/猿の惑星』) 他
原題:DARKEST HOUR
製作:2017年 イギリス

発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
公式サイト:http://www.nbcuni.co.jp/movie/sp/churchill-movie/
コピーライト:(C) 2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

2018年10月11日(木)発売

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