NHK大河ドラマ「龍馬伝」、『ハゲタカ』、『るろうに剣心』シリーズ、『3月のライオン』等、日本映画界に新たな挑戦をし続けている大友啓史監督の最新作であり最高傑作の呼び声も高い『影裏』が2020年2月14日(金)公開となる。
そして1月30日(木)、本作の完成披露試写会が開催され、主演の綾野剛、松田龍平、大友啓史監督が登壇した。
『影裏』完成披露試写会 概要
日時:1月30日(木) 18:30~19:00 ※上映前イベント
登壇者(※敬称略):綾野剛、松田龍平、大友啓史監督
会場:新宿バルト9 スクリーン9
2月の公開を前に開催された完成披露試写会に、主演・今野秋一役の綾野剛、共演の日浅典博役の松田龍平、メガホンを取った大友啓史監督が登壇。「皆さんこんばんは。すごいですね、これだけ沢山の方々が来てくださってとても嬉しいです。本当に大切に作った作品なので、ようやく皆さんに届けることができて感動しています。短い時間ですが、豊かな時間になればと思っています。よろしくお願い致します。」(綾野)、「こんばんは。今日はありがとうございます。撮影から時間が経ちましたが、こうやって皆さんに観て頂けて、とても嬉しいです。楽しんで帰ってください。」(松田)、「ご来場いただき、本当にありがとうございます。綾野君も仰っていましたが、手塩にかけて育てた大事な作品です。皆さんに真っ先にご覧いただけることを光栄に思っています。宜しくお願い致します。」(大友)とそれぞれ挨拶をし、会場は盛大な拍手に包まれた。
本作の原作「影裏」は芥川賞を受賞した小説で、受賞前に原作と出逢い魅了された大友監督渾身の1本だが、「シンプルに言うとこの小説は、説明が少ないながらも優麗な文章で、行間が豊かで、その行間から読み取れる登場人物たちの感情の埋蔵量がもの凄いんです。この渦巻いている感情を丁寧に切り取っていけば映画になるだろうと思って、動き出しました。」と自ら映画化を熱望した理由を明かした。監督の熱烈なオファーにより出演が実現した綾野は「大友さんとまたご一緒できることが、素直に嬉しかったです。そして大友さんの地元が舞台の、大切にされている原作をお預かりして、映画化するという事が光栄でした。龍平君としっかり共演するのも初めてだったので、楽しみが溢れていたことを覚えています。」と喜びを語った。また松田も「『ハゲタカ』以来、大友さんとお仕事をするのが本当に空いていたので、ずっと一緒にやりたいなと思っていました。このタイミングでご一緒出来たことに意味があるなと思うし、実りのある豊かな撮影でした。」と当時を振り返った。大友監督は「とにかくこの2人と一緒に仕事がしたかったし、原作を読んでいる最中に二人の顔が浮かんできたんです。もう他の人では考えられなくなりました。綾野君、松田君じゃなければ撮っていなかったと思います。」と2人に対する熱い想いを吐露した。
今回の役作りについて2人が尋ねられると綾野は「全編盛岡で撮影ができたということが最大の役作りになりました。現場に行って、その土地、環境、協力してくださる盛岡の皆さんと共に創作していく作業は映画の醍醐味だと思いますし、ワンチームだなという姿勢を最後まで駆け抜けるためにやり続けていたような気がします。この映画は個の力を発揮するよりも、集団の力を紡いでいくほうがが大切だなと思っていて、映画を観ていただければチームが結実していたことが伝わると思います。」と撮影に臨んだ模様。松田は「準備というと、方言と釣りですかね。セリフは書かれていないけど2人で何かをしているというシーンが結構多かったんですが、ぱっとアドリブが浮かんでも、方言に変換できずに言えないことが多々あったんです。なので前もって言いたいことを準備して胸に閉まっておいたり、いざ出そうとすると忘れたりと大変でしたが、方言は温かくて、自分でも言いながらほっこりしていました。」と、撮影時の苦労を明かした。大友監督は何か2人に演技指導したかと問われると、「特にないんです。無事に現場へ2人がきてくれさえすれば、場の空気とキャッチボールをしながら、感じながら演じてくれるんです。キャスティングの時点で、この2人を観察して撮れば何かかが産まれると思っていて、この2人のドキュメンタリーを撮ろうという気持ちでした。逃さず観察して記録していく。当たり前のことを当たり前にやっていくだけでした。」と絶賛。本作がいかに自然な表情を捉えていたかが分かる。綾野は「美術部などスタッフの方々が、僕たちがお芝居をするステージを、ただ佇んでいるだけでも成立する環境として作ってくれたのが大きかったです。」と感謝を伝えた。
本作の『影裏』というタイトルに絡めて、“実際の裏側は違っていた”というトークテーマに移り、大友監督は「裏表があるという事ではないんですが、撮影前に俳優と会うと、映像で見ているのと全然違うイメージを受けるんです。電波や映画での一面はあくまでイメージで、1人1人と話していくと全然違うものを発見できる。仕事をする前は、なるべく本人と色々な話をして自分が何を感じるか、相手が何を感じているのかを知ることが大事です。俳優と話していくと触発されることが沢山あるし、どちらが裏か表かは分からないけど、今まで表に出ているイメージとは違った、裏側を撮りたいという気持ちが沸いてきますね。」と俳優に対するこだわりを語った。
松田は「僕の話はくだらないんですけど、この間スーパーに行って美味しそうなイチゴを買ったんです。お皿に盛って食べようと思ったら、パックの下に詰まっていたイチゴが全部、野いちごみたいなサイズで。ショックを受けながらも、『まあそうだよな、安かったし…』って思ったんですけど、食べてみると小さいイチゴの方が美味しかったんです!」とイチゴパックの影裏を満足げに明かすと、会場からは温かい笑い声と拍手が沸き起こった。綾野は「龍平は一見、朴訥としていて掴みどころのない印象なのに、実はチャーミングで可愛らしい人ですよね!」と松田に対する影裏を述べた。
さらに、もうすぐ2月3日の節分ということで、豆まきを実施。日本では大豆をまく地域がほとんどだが、岩手や東北地方ではなんと落花生をまく風習が。会場に集まった観客の幸福と、本作の大ヒットを願って登壇者が落花生をまき、観客と一同「鬼は外、福は内!」の声が響き渡った。
最後にこれから映画を鑑賞する人に向けて、「この映画は、色々な世代の方、それぞれによって抱く感想が多様になるかと思います。この映画はそんな皆さんの感想を頂いて、初めて完成します。皆さんに観ていただいて、色々な感想をいただいて、共犯になっていただきたいです。是非、この映画を可愛がってください。宜しくお願い致します。」(大友)、「今日はありがとうございました。『影裏』というタイトルがどういう意味を持つのか、僕も未だに考えるんですが、色々な感情が残る重厚な人間ドラマになっています。是非、映画館でご覧ください。」(松田)、「本日はありがとうございます。これだけの方にこの作品が抱きしめられていることを考えると、胸が熱くなる思いです。本作は2009年から2014年を描いており、その中には愛おしいこと友情、青春、胸が締め付けられるような苦しいこともこの映画にはしっかり映っています。今年は2020年、オリンピックイヤーですが、僕たちは忘れてはいけない記憶があると思っていて、その記憶をもう一度改めて想像し直したいです。想像は許されるその先に、この作品を紡いでいき、皆様の中で残り続けるように引き継いでいきたいです。2020年以降も生きるこれからの若者や、希望のある子供たちに向けて、日本全体が受け止めていきながら、影裏ではないその先の、影裏を産む光を照らしていけるような、作品になればいいと思っています。」(綾野)とそれぞれメッセージを贈り、盛大に盛り上がったイベントは惜しまれつつ幕を閉じました。
イントロダクション
原作は、沼田真佑氏による第157回芥川賞受賞作である同名小説。大友監督が惚れ込み、自ら映画化へと動いたその情熱に応え、日本映画界を代表するキャストが集結。主人公・今野を演じるのは、『そこのみにて光輝く』『怒り』『日本で一番悪い奴ら』などで、数々の映画賞に輝き、映画・ドラマ・音楽と様々な分野で躍進し続ける俳優・綾野剛。今野と強い絆で結ばれながらも突然姿を消す謎の男・日浅には、『御法度』で鮮烈なデビューを飾り、以後、エンタテイメント作品から作家性の高い作品まで話題作に出演、強烈な印象を残し続ける俳優・松田龍平。加えて、國村隼、筒井真理子、中村倫也、永島暎子、安田顕など、錚錚たる実力派キャストが脇を固める。
ストーリー
今野は、転勤で移り住んだ岩手で日浅に出会う。慣れない地でただ一人心を許せる存在の日浅だったが、ある日、突然姿を消してしまう。日浅を探し始めた今野は、彼の父に捜索願を出すことを頼むが、何故か断られてしまう。そして見えてきたのは、これまで自分が見てきた彼とは全く違う別の顔。ともに時を過ごしたあの男の“本当”とは?
作品タイトル:『影裏』
出演:綾野剛 筒井真理子 中村倫也 平埜生成 / 國村隼 / 永島暎子 安田顕 松田龍平
監督:大友啓史
脚本:澤井香織
音楽:大友良英
配給:ソニー・ミュージックエンタテインメント 配給協力:アニプレックス
公式サイト:https://eiri-movie.com/
公式Twitter:@eiri_movie
公式Facebook:@eiri_movie
コピーライト:(C) 2020「影裏」製作委員会
2020年2月14日(金) 全国ロードショー
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