第91回アカデミー賞にてついに作品賞、助演男優賞、脚本賞、計3部門を受賞し、今、最も話題の映画『グリーンブック』。クチコミ、レビューの評価の高さも注目され、3月1日(金)に公開されると初日から4日間で28万人動員、興収3.8億円の満員御礼となり、20億円も視野に入る大ヒットとなっている。さらに、来週からは250館拡大が決定した。
1962年、差別が色濃い時代、黒人用旅行ガイドブック<グリーンブック>を頼りにツアーへ旅立った、ガサツで無教養だけれど人間的魅力に溢れるトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)とインテリな黒人天才ピアニスト、ドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)。異なる世界に住むおじさん2人の壮大なズレに笑いつつも、胸を熱くし、最後には爽快な感動を呼ぶ実話に基づくロードムービー。
そんな話題の本作でメガホンを取ったピーター・ファレリー監督が初来日し、3月5日(火)に記者会見を行った。アカデミー賞直後の会見ということで、オスカー受賞監督に質問するため多くのマスコミ、映画評論家で満席の会場からの拍手で迎えられた監督は、「作品を作っている時には、まさかこういうことになるとは思っていませんでした。日本に来ることができて本当に嬉しいです」と挨拶。
2(金)の夜に到着し、5(火)に帰国するという短い来日ながら、「日本に来て主に美味しいご飯を食べています。昨夜は青山の牛彩で人生で最高のステーキを食べました」と、日本のグルメを満喫している様子。会場からの質疑応答で「本作が評価されている理由」を尋ねられ「この作品の強みは、希望が感じられるところだと自負しています。お互いに会話をして、お互いを知ることで共通点を見出すことができた。そしてそれが、トニーとドクターの実話で、二人が生涯の友になったという希望が響いたのだと思います」と自身の作品について見解を述べた。
続いて、これまで『メリーに首ったけ』『愛しのローズマリー』などコメディを手がけてきた監督ということで、本作のテイストが違う点、変化について質問されると、「今までもアカデミー協会の人たちは親切でしたが、受賞してさらに親切にしてもらっています(笑)」と会場を笑わせつつ、「確かに今までとは違うタイプの作品ですが、違う物を作りたいと思ったわけではなく、この作品を作りたいという心に従いました。一人の人間として成長し続けたいと考えているので変化があったと思ってもらえることは嬉しいです。コメディも好きですが、いつかドラマを作りたいと考えていました。『グリーンブック』と出会いは本当に偶然で、ストーリーを耳にして絶対に作らなければと思いました」と答えた。
また、60年代という差別が激しい時代が舞台であるにも関わらず、表現がソフトであるという点については「おっしゃる通り、当時のアメリカ南部ではより激しい、恐ろしいこと、殺されてしまう方もいました。しかし、今回の二人の旅ではそこまでのこと起きなかった。実際のトニーとドクターの身に起きたことという考え方で、あえて誇張はしませんでした。南部はもっとひどかったというご意見は頂いていますが、二人の経験を描きたい、という気持ちからこのように描きました」と真摯に回答。そして、多様性が注目された今年のアカデミー賞については「アフリカ系アメリカ人による作り手、テーマの作品が多く、素晴らしい年でした。『クレイジーリッチ』が絡むなど、アカデミーの窓が開いた感じがしました。アフリカ系アメリカ人、アジア系による作品が増えていくことで、ポジティブになると思います」とアカデミー賞を振り返った。
質疑応答が終了するとゲストとして、ドラマ「アシガール」「今日から俺は!!」等で人気急上昇中の俳優、伊藤健太郎が登場。伊藤はアカデミー授賞式前から『グリーンブック』の作品賞と、マハーシャラ・アリの助演男優賞受賞を予測していたほど本作の大ファンということで、ファレリー監督に会うため駆けつけた。
受賞を的中させたことについて、「とても素敵な作品で、アリも素敵な俳優なので、単純に直感です。友達にもずっと『グリーンブック』がいい、と言っていました。だから受賞はなんの不思議ではないです。監督が隣にいらっしゃってめちゃくちゃ嬉しいです!」と本作への愛を語った。
そして車好きの伊藤から「ブルーの車が印象的ですが、他の車の候補はありましたか?」という質問に対して、「今回の車は実際に二人が乗った車と同じ型のキャデラックを使っています。ただ本物の色は黒。今回はモノクロタッチの色彩設計をしたので、色味を入れるためにグリーンにしました」と、本作でトニーとドクターの次に登場していると言っても過言ではない車の秘密を明かした。
また最近、伊藤がコメディドラマに出演していたということで、「コメディがやるのも見るのも好きなのですが、コメディを撮る上で気をつけている部分はありますか?」と尋ねると、「コメディを作るときはジョークやネタから考えることはない。観客より前に自分が好きなキャラを作ることが大事。そして観客が好きになってくれればジョークも楽しんでくれる。いい例は『メリーに首ったけ』のヘアジェルのシーンですね」と、過去の代表先を挙げて説明した。すると今後は監督から伊藤に「日本アカデミー賞で、あっという間にスーパースターになったんですよね?どんな気分ですか?僕は伊藤さんの歳にはナイトクラブでアルバイトをしていました」と逆質問。
「自分でもびっくりして、追いついていないです」と照れる伊藤は、司会者からハリウッド進出について問われ、「いつか行ってみたいというのは、役者として目標ではあります。いつか機会があればぜひ、と思っています」と夢を語り、監督に「ハリウッドで活躍するには何が大切必要ですか?」と聞くと「伊藤さんはどこにいても素晴らしいお仕事をされると思いますが、まずは行くことが大事。いつか一緒に仕事がしたいですね」と未来の伊藤に出演オファー!
まさかの展開に伊藤は「この言葉を忘れずに日本で頑張って、いつかハリウッドで“忘れてませんよね”と伝えたいです」と照れ笑いだった。
最後に監督が「希望を感じていただきたい。世界中が厳しい時代になっていて、アメリカでも人種問題など色々あります。でも、いつだって希望はあると信じていますし、話すことで希望は生まれるんだと思います。そんなことクサいんじゃない、と思われるかもしれませんが、話すことから始めなければ何も生まれない。それがこの映画のメッセージです」と語り、記者会見は終了した。
イベント概要
『グリーンブック』アカデミー賞受賞記念 監督来日緊急会見
日時:3月5日(火)10:00~10:40
場所:ザ・リッツ・カールトン東京 パークビュールーム(港区赤坂9-7-1東京ミッドタウン1F)
登壇者:ピーター・ファレリ―監督 伊藤健太郎
ストーリー
1962年、差別が色濃く残る南部でコンサートツアーを計画する黒人の天才ピアニスト、ドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)は、粗野で無教養のイタリア系、トニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)を用心棒兼運転手として雇うことに。黒人用旅行ガイド<グリーンブック>を頼りに正反対のふたりは旅を始めるのだが・・・。
作品タイトル:『グリーンブック』
監督:ピーター・ファレリー『メリーに首ったけ』『愛しのローズマリー』
出演:ヴィゴ・モーテンセン『イースタン・プロミス』『はじまりへの旅』(アカデミー賞主演男優賞ノミネート)
マハーシャラ・アリ『ムーンライト』(アカデミー賞助演男優賞受賞)
リンダ・カーデリーニ『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』
提供:ギャガ、カルチュア・パブリッシャーズ
原題:GREEN BOOK/2018年/アメリカ/130分
字幕翻訳:戸田奈津子
配給:GAGA
公式サイト:gaga.ne.jp/greenbook
コピーライト:(c) 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.
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