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映画『本心』完成披露試写会にキャスト・監督登壇 池松壮亮「これは同時代を生きる私たち自身の物語」

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映画『本心』の完成披露試写会に、主演の池松壮亮をはじめ、三吉彩花、水上恒司、妻夫木聡、田中裕子、石井裕也監督が登壇した。

原作は、平野啓一郎の同名小説。主人公の朔也(池松壮亮)は、母・秋子(田中裕子)と二人でつつましい生活を送るごく普通の青年。しかしある日、「大事な話があるの」と言い残して急逝した母・秋子が、実は“自由死”を選んでいたことを知ってしまう。幸せそうに見えた母がなぜ自ら死を望んだのか。母の本心を探るため、朔也は不安を抱えながらも、AIに集約させ人格を形成するVF(ヴァーチャル・フィギュア)を利用し、仮想空間に母を“蘇らせる”選択をする。

原作を読んだ池松が「今やるべき作品」「これは自分の話だ」と感じ、全幅の信頼を寄せる石井監督に自ら企画を持ち込んだ本作。池松は、満員御礼の会場に向けて「これだけの素晴らしいキャスト、そして監督とここに立てる事を光栄に思います」と挨拶。そして、原作との出会いについて「人と対面で会うのも難しいコロナの時期に原作に出会いました。コロナは書かれていないけれど、アフターコロナについての全てが書かれているような気がして、強いインパクトを受けました。これは同時代を生きる私たち自身の物語だと感じました」と回想した。

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そんな池松から原作小説を勧められたという石井監督は、「AIと対面する人の心が人類近々の問題であり、今最も考えなければいけないテーマが小説として見事に書かれていた。これは映画監督として立ち向かわなければいけないものだと思ったし、それに目を付けた池松君はさすがだと思った」と心を動かされたことを明かした。

三吉が演じたのは、朔也の母・秋子と生前親しく、ひょんなことから朔也と同居することになる三好彩花役。自身の名前と役名の読み方が一緒であることから、客席がどよめくと「そうですよね、私もそういう気持ちでいます」と照れ笑い。

脚本を読んだときの印象については、「何が楽しくて何がしんどいのか彷徨っていた時期に読んだので、運命を感じざるを得なかった。こんな運命的な出会いはほぼないだろうと思うくらいの御縁を感じました。女優としても自分自身としても今必要な映画だと思いました」と語った。

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水上は、朔也の幼なじみで、朔也に自身と同じリアル・アバターの仕事を紹介する岸谷役を演じた。自身の役柄については「ヒールに分類される役で、ひたすら朔也の邪魔をする。まるでゾンビのようにまとわりついて粘着質があって。その一方で軽やかな岸谷を目指しました」と紹介。

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AI技術を駆使して仮想空間上に会話もできるように再現されたヴァーチャル・フィギュアの開発者・野崎役の妻夫木は、本作が久々の石井組参戦。また、池松とは、石井監督が手掛けた2014年公開の映画『ぼくたちの家族』と『バンクーバーの朝日』以来、約10年ぶりの共演となる。

妻夫木は「家に帰って来た安心感があった」と石井組にしみじみ。そして池松については「役と同化するくらい突き進む人」といい、「その手綱を石井監督がコントロールする様を目の当たりにして凄いなと思った。どのように人物を見つめてどのようにお客さんに見せるか。強力な説得力を与える画になっている」とコンビネーションを称賛していた。

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また、朔也の母・秋子と秋子のヴァーチャル・フィギュアを演じた田中は、池松との共演について「池松さんとはセリフ以外ほとんど何も話していません。話したい気持ちはあるけれど、何を話していいのかわからない。目が合っても…ぎこちないです」と明かすと、池松もうなづきながら微笑み、会場の笑いを誘った。

AIをテーマにした本作の撮影中、奇しくも生成AIの規制に関する問題でハリウッドでは大規模なストライキが発生していた。そんな時期での撮影を振り返り、池松は「目の前に突きつけられている問題に対して問題意識を持った俳優がそれぞれのパートでその役に責任を取っている姿は見ていて神々しく、美しく映っていました。キャストそれぞれがベストのお芝居をしています」と胸を張った。

また、本作のタイトルにちなみ「最近、実は“本心”を言えなかった、隠しちゃった」というエピソードを問われると、池松は韓国でサムゲタンを食べようとしたそうだが「韓国で一番有名なお店に連れ行ってもらったけれど、僕が食べたかったのはサムゲタンじゃなかった。名前を間違えていた。そもそも鶏でもなかった」と料理名を勘違い。「でも違うとは言えなくて…。これが食べたかったと言いました」と苦笑い。

三吉は「最近1週間前の記憶が飛んだりして、寝たら忘れてしまう体質になった。なので本心も覚えていないくらい。特にこれと言ったエピソードはないです」と恐縮。水上は「本心を隠し切れないです、僕は!本心は隠そうと思っても隠せないですね」とコメント。また、ヤモリ好きという田中は、飼っている野良猫がヤモリを狩ってしまうことを強く叱れない、というエピソードを明かした。

一方、妻夫木は「40を超えたら覚えられなくなった」と加齢からくる記憶力の減退を明かす流れで、「今四十肩。これを大っぴらにすると…やはり歳だなと思われる。でも40を超えたらケガをしますよ。気を付けてくださいね、皆さん!」と注意喚起していた。

また「共演者に今だからこそ聞きたい本心」を尋ねられた池松は「みんなわからなかったですね、本心が」と笑いながらも「優れた俳優の本心は見えないと思う。三吉さんもプロフェッショナルにスッとされているけれど何を考えいるのかわからない。水上君もピエロに見えてくるけれど軸はブレない。田中さんに至っては本心なんかわからない」とコメントし、会場を笑いで包んだ。

最後に石井監督は「AIやヴァーチャル・フィギュアというまったく新しいエモーションを表現できた映画であり、人間がずっと大切にしてきた普遍的な感情や心が未だかつてない形で浮き彫りになっている作品です。ここにいる俳優たちが役というものに真摯に向き合った時に神々しいものが生まれ、それがお客さんの心にも届くのではないかと思います」とコメント。

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また、主演の池松も「堅苦しい映画でも難しい映画でもないです。今私たちの周りにある世界の共通トピックが入った物語です。時代の波に飲み込まれ、迷子になった青年とそれを取り巻く登場人物たちがいかにして生きているか、何を求めて生きているのか。そんな作品になっています。皆さんにとっていい時間になればと思っています」と語った。

なお、本イベントでは劇中で登場する職業“リアル・アバター”にちなみ、水上が、リアル・アバターとして登壇者と客席の様子を撮影する試みも行うなど、劇中さながらの演出も行われた。

映画『本心』は11月8日(金)より全国ロードショー。

ストーリー
工場で働く青年・朔也(池松壮亮)は、同居する母(田中裕子)から仕事中に電話が入り「帰ったら大切な話をしたい」と告げられる。帰宅を急ぐ朔也は、途中に豪雨で氾濫する川べりに母が立っているのを目撃。助けようと飛び込むも重傷を負い、1年もの間昏睡状態に陥ってしまう――。目が覚めたとき母は亡くなっていて、生前“自由死”選択していたと聞かされる。また、ロボット化の波で勤務先は閉鎖。朔也は、唯一の家族を失くし、激変した世界に戸惑いながらも幼なじみの岸谷(水上恒司)の紹介で「リアル・アバター」の仕事を始める。カメラが搭載されたゴーグルを装着し、リアル(現実)のアバター(分身)として依頼主の代わりに行動する業務を通して、人々が胸の内に秘めた願いや時には理不尽な悪意に晒され、人の心の奥深さとわからなさを日々体感してゆく。そんななか、仮想空間上に任意の“人間”を作る「VF(ヴァーチャル・フィギュア)」という技術を知る朔也。いつまでも整理のつかない「母は何を伝えたかったのか?どうして死を望んでいたのか?」を解消したい気持ちから、なけなしの貯金を費やして開発者の野崎(妻夫木聡)に「母を作ってほしい」と依頼する。野崎の「本物以上のお母様を作れます」という言葉に一抹の不安をおぼえた朔也は「自分が知らない母の一面があったのではないか?」と、手掛かりを求めて、母の親友だったという三好(三吉彩花)に接触。彼女が台風被害で避難所生活中だと知り、「ウチに来ませんか」と手を差し伸べる。かくして、朔也と三好、VFの母という奇妙な共同生活がスタートする。その過程で朔也が知る、母の本心とは。そして「人に触れられない」苦悩を抱える三好を縛る過去、彼女だけが知る母の秘密とは。その先に浮かび上がるのは、時代が進んでも完全には理解できない人の心の本質そのものだった――。

『本心』
出演:池松壮亮 三吉彩花 水上恒司 仲野太賀 / 田中 泯 綾野 剛 / 妻夫木 聡 田中裕子
原作:平野啓一郎「本心」(文春文庫 / コルク)
監督・脚本:石井裕也
音楽:Inyoung Park 河野丈洋
制作プロダクション:RIKIプロジェクト
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2024 映画『本心』製作委員会

公式サイト:https://happinet-phantom.com/honshin/
公式X:@honshin_movie

11月8日(金)より全国ロードショー

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