映画『市子』の公開記念舞台挨拶に、主人公・市子役の杉咲花と恋人役の若葉竜也、そして戸田彬弘監督が登壇した。
映画『市子』公開記念舞台挨拶 概要
日時:12月9日(土) 11:35~12:00
登壇者(敬称略):杉咲花、若葉竜也、戸田彬弘監督
場所:テアトル新宿
抗えない過酷な宿命を背負ったひとりの女性・川辺市子の切なくも壮絶な人生を描いた本作。市子を演じた杉咲は、本作が映画単独初主演作でもあり、「嬉しい、その言葉しかないです」と封切りに感慨無量の表情を浮かべた。
そんな杉咲は、公開初日に行われた戸田監督登壇のティーチインにもお忍びで参加したといい、「パンフレットを沢山の方が買ってくださって、監督のサインをもらうために列をなしているところを見て言葉にできない幸福に包まれました」と明かした。これに戸田監督は「サインが終わって杉咲さんがいることに気付きました。並んでいた方もきっと気付いていなかったです(笑)。それくらい存在を消していましたね」と杉咲の馴染みぶりに驚いていた。
公開後の周囲の反響について、杉咲は「市子を実在している人物と捉えてもらえていることが嬉しかったです。そのような感想を多くいただきました」と手応え十分。市子と3年一緒に暮らした恋人・長谷川義則役の若葉も「地元の友達や映画関係者から『杉咲花ほんとヤバい!』という言葉を沢山いただいて。この作品が注目されているんだなと思いました」と好リアクションにひと安心。戸田監督は「俳優が魅力的に見えて評価されているのは監督としても嬉しいです」と喜びを噛みしめていた。
また戸田監督は、プロポーズのシーンに触れて「杉咲さんの感情の吐露は本番で目撃した奇跡的シーン」と見どころに挙げると、杉咲も「本番になった時に初めて長谷川(若葉)くんの顔を見て、こんな眼差しで自分を見つめている人がいるんだと胸がいっぱいになって、自分の想像を超えたものが沸き上がってきました」と若葉に感謝。
その若葉は「撮影したのがインして間もない時期で緊張していました。その緊張とプロポーズの緊張が相まって、体の状態としても嘘がなかったと思います」と舞台裏を明かした。
そして舞台挨拶終了間際、杉咲と若葉に向け、映画の公開を記念して戸田監督からサプライズで手紙が読み上げられた。
オファーの際に杉咲には手紙をしたためたという戸田監督は、「若葉くんには手紙を渡せていなかったので、今更ですが書かせて頂きました」と照れ笑いしつつ、「実はこの映画で監督人生を終えても良いと思っていましたが、若葉くんの映画を愛している姿を見て、ああ、こんな素敵な俳優さんが居るならまだまだ映画を続けたいなと思いました。いつかまた一緒に映画を創りたいです。それが僕の目標になりました」とメッセージ。
これを受け取った若葉は「助演男優賞を受賞したのかと思いました。手紙をもらっていなかったことを根に持っていたので嬉しいです」とおどけながら感激していた。
一方、主演の杉咲に対して戸田監督は「杉咲さんが市子を引き受けてくださったから、この映画はここまで大きくなれたのだと確信しています」と感謝を述べながら、衝撃の事実を打ち明けた。それは「これまでも何度も取材で記事になってしまった杉咲さんへのオファーの手紙ですが、実はあの手紙を僕は書いていません」というもの。
驚く杉咲を横目に、戸田監督は「僕の手書きではないという意味です。というのも僕は字が下手なので、字の綺麗な知人に代筆して頂いたんです。でも気持ちと言葉は本物。この手紙は正真正銘僕が書いています」と明かし、会場はあたたかな笑いに包まれた。
一方、サプライズの手紙があると言われた時点で、若葉から「泣いてるじゃん!」と突っ込まれるほど感極まっていた杉咲は「誰かハンカチをください!」と大粒の涙を流しながら、戸田監督からのオファーの手紙が代筆だったという事実に、「達筆な方だと思っていたけれど、まさか代筆だとは思わず…」と泣き笑い。そして、「作品に対する熱量や一緒に関わる人たちを信じて映画を作ろうとする姿勢に影響を受けるものがあって、嬉しかったです」と戸田監督との出会いに感謝していた。
大感動の舞台挨拶も終了の時間に。杉咲は涙をこらえつつ、「この映画『市子』はまたいつかと簡単に願えるくらいすぐには生まれない作品だと思っています。手前味噌かもしれませんが、自分はそう信じてやみません。素晴らしい製作陣の方々が集まって映画を作れたことを幸せに思っていますし、最高の経験になったと思っています。『市子』に関わる全ての時間が楽しすぎて、そのすべてを愛しています」と言葉を振り絞り、「この舞台挨拶が終わるのが寂しいです」と本作への愛着を最後まで口にしていた。
ストーリー
川辺市子(杉咲花)は、3年間一緒に暮らしてきた恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に、忽然と姿を消す。途方に暮れる長谷川の元に訪れたのは、市子を探しているという刑事・後藤(宇野祥平)。後藤は、長谷川の目の前に市子の写真を差し出し「この女性は誰なのでしょうか。」と尋ねる。市子の行方を追って、昔の友人や幼馴染、高校時代の同級生…と、これまで彼女と関わりがあった人々から証言を得ていく長谷川は、かつての市子が違う名前を名乗っていたことを知る。そんな中、長谷川は市子が置いていったカバンの底から一枚の写真を発見し、その裏に書かれた住所を訪ねることに。捜索を続けるうちに長谷川は、彼女が生きてきた壮絶な過去と真実を知ることになる。
作品タイトル:『市子』
出演:杉咲 花 若葉竜也 森永悠希 倉 悠貴 中田青渚 石川瑠華 大浦千佳 渡辺大知 宇野祥平 中村ゆり
監督:戸田彬弘
原作:戯曲「川辺市子のために」(戸田彬弘)
脚本:上村奈帆 戸田彬弘
音楽:茂野雅道
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト:https://happinet-phantom.com/ichiko-movie/
公式X:@movie_ichiko
コピーライト:(C)2023 映画「市子」製作委員会
全国公開中
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