直木賞作家・白石一文による同名小説を原作とした映画『火口のふたり』が8月23日(金)より全国公開となる。本作は、主演に『きみの鳥はうたえる』、『アルキメデスの大戦』など数々の話題作に出演している柄本佑と、『彼女の人生は間違いじゃない』で大胆な演技を披露し、現在OA中のTBSドラマ「凪のお暇」にも出演している瀧内公美を迎え、日本映画界を代表する脚本家・荒井晴彦の監督第3作目となる、男と女の不確実な愛を描いた<R18>衝撃作。
そして先日8月6日(火)、完成披露試写会が開催され、主演の柄本佑、瀧内公美、荒井晴彦監督が舞台挨拶に登壇。撮影エピソードや恋愛観についてのトークを繰り広げた。
『火口のふたり』完成披露試写会
◆日程:8月6日(火)
◆登壇者(敬称略):柄本佑、瀧内公美、荒井晴彦監督
◆場所:神楽座
イベントレポート
出演者が賢治と直子のふたりだけというのが魅力のひとつで、映画ならではの演出や表現を色濃く感じることができる本作。出演者をふたりに限定した意図について監督は「予算がなかったからです」と一刀両断のアンサーで会場を沸かせつつも、「原作自体もふたりの物語。直子の結婚相手も出てきますが姿は出てこない。原作もそうなんです。だから賢治と直子のふたり以外は出さないようにしようと考えました」と説明。荒井監督の脚本について、柄本は「登場するのがふたりだけということもあり、洗練された物語の面白さを感じました。原作を読まずにまず脚本から読んだのですが、永原賢治という男の“身体の言い分に従う”という決断に面白さを感じました」。瀧内は、「絡みのシーンも『ここでキスをする』や『このセリフの間で手を回す』など事細かく脚本に書いてあり、指示書のような脚本でした。ある意味それが演出のようで、挑戦しがいのある脚本でした」。緻密な動きとカメラワークで成り立つ本作だが、「原作に書いてあるから」と荒井監督。柄本は「荒井さんの書いたセリフだと思いながら読んでいましたが、原作読んでみたらセリフが小説のままだったので、『えー』とは思ったのですが、小説のセリフ全てを載せられるわけではないので、あれは荒井監督のテクニックですね。セリフの抽出の仕方が荒井さんだからこそのもの!」。それに対し、荒井監督も「どこを捨ててどこを拾うかで個性が出ます。そうやっているうちにあたかも自分のようにしてしまいます(笑)」と、脚本術を披露しながら笑いを誘った。撮影について瀧内は「絡みのシーンは動きがアクションのように難しかったのですが、柄本さんが上手くエスコートしてくれました。」と、撮影中に柄本に助けられたエピソードを披露。柄本も「ふたりの関係性をお芝居の中で作り上げていく中で、瀧内さんの男らしくどしっと構えていてくれる姿に安心感がありました」と瀧内の度胸の強さを称賛。現在公開中の『アルキメデスの大戦』で主演の菅田将暉とのバディが話題の柄本だが、「バディ感は、こちらが断然上!」と語り、瀧内も「こっちは裸になってますからね」と信頼関係で固く結ばれたバディであることを強調した。
印象的だったことについて、「監督は、絡みのシーンと食事のシーンだけはものすごく厳しかったです」と瀧内。「バクバク食べろ」と荒井監督に指示されたふたりだが、アクアパッツァが食べにくく、なかなか箸が進まなかったという和やかな撮影エピソードを披露した。荒井監督も「飯の時と裸の時だけだな、俺が仕事したのは(笑)」と冗談交じりに場を和ませていた。
“身体の言い分”という言葉が表すように、セックスシーンひとつひとつにも、登場人物の感情が身体で表現されているように感じられる本作。そんなふたりの関係性の構築について、「盆踊りのシーンの撮影から始まり、その次に本作で登場する賢治と直子が付き合っていた頃のアルバムの写真を撮りました。」と話す柄本に、「その時の時間がすごく良かった」と瀧内。「過激な写真なのですが、本作のスチールを担当した写真家の野村佐紀子さんがその空気を作ってくださり、過去と何年後かに再会して始まる本作のように、撮影もアルバムの写真を撮影してその一ヶ月後くらいに本編の撮影に入ったので、青春時代のふたりを疑似体験できました」と撮影を振り返った。瀧内も「絡みのシーンも多く緊張もしましたが、カメラマンの川上さんが絶対に綺麗に撮りますと約束してくださり、スタッフ全員が空気を作っている現場でした」と有意義な時間を過ごせたことを振り返った。
また、観終わった後に「結婚前に昔の恋人に会いたくなるのってあるよね」「恋愛と結婚、求めるものが違うのは当然!」などと女子会的に盛り上がるということで女性に評判が良い本作。「結婚前に昔の恋人に会いたくなる気持ちは正直分からないですね」という柄本に対し、瀧内は「20歳くらいの知り合いの女の子も鑑賞後に『元彼に会いたくなった』と話しており、忘れられない恋愛の話で盛り上がったそうです。女子同士で話たくなる映画なんだなと思いました」と話す。本作は一度別れたふたりがもうもう一度再会する物語であるが、監督から「これは敗者復活戦に勝つ話。だから女性は気持ちいいのでは?」と鋭い見解で会場を笑わせた。
『火口のふたり』は8月23日(金)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー。
イントロダクション
直木賞作家・白石一文 初の映画化 身体の言い分に身を委ねる、男と女を描く<R18>衝撃作
原作は直木賞作家・白石一文氏による「火口のふたり」。2009年「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」で山本周五郎賞、2010年「ほかならぬ人へ」で直木賞を受賞し、絶大な支持を得る著者の初の映画化となる。主演を務めたのは、『きみの鳥はうたえる』などなど、様々な映画で鮮烈な印象を残し第一線で活躍し続ける実力派俳優・柄本佑と、『彼女の人生は間違いじゃない』での演技が評価され、活躍の場を広げている新鋭・瀧内公美。出演者はこの2人のみ。監督はキネマ旬報脚本賞に5度輝き、数々の作品で男と女のエロティシズムを表現してきた脚本家・荒井晴彦。抑えきれない衝動の深みにはまり、どうしても離れられないふたりの姿は「世界が終わるとき、誰と何をして過ごすか?」という究極の問いを、観る者へ突きつける。身体の言い分に身を委ねる男と女の不確実な愛を描いた<R18>衝撃作が誕生した。
ストーリー
十日後に結婚式を控えた直子は、故郷の秋田に帰省した昔の恋人・賢治と久しぶりの再会を果たす。新しい生活のため片づけていた荷物の中から直子が取り出した1冊のアルバム。
そこには一糸纏わぬふたりの姿が、モノクロームの写真に映し出されていた。
蘇ってくるのは、ただ欲望のままに生きていた青春の日々。
「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」
直子の婚約者が戻るまでの五日間。身体に刻まれた快楽の記憶と葛藤の果てに、ふたりが辿り着いた先は―。
作品タイトル:『火口のふたり』
出演:柄本 佑 瀧内公美
原作:白石一文「火口のふたり」(河出文庫刊)
脚本・監督:荒井晴彦
音楽:下田逸郎
製作:瀬井哲也 小西啓介 梅川治男
エグゼクティブプロデューサー:岡本東郎 森重 晃
プロデューサー:田辺隆史 行実 良
写真:野村佐紀子
絵:蜷川みほ
タイトル:町口 覚
レイティング:R18+
配給:ファントム・フィルム
公式サイト:kakounofutari-movie.jp
コピーライト:(C)2019「火口のふたり」製作委員会
8/23(金)より、新宿武蔵野館ほか全国公開
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