松竹映画100周年を記念し、原田マハによる同名小説を山田洋次監督が映画化、沢田研二と菅田将暉がダブル主演を務める『キネマの神様』が8月6日(金)に公開される。
この度、完成報告会見が実施され、菅田将暉、永野芽郁、野田洋次郎、寺島しのぶ、小林稔侍、宮本信子、山田洋次監督が登壇した。
本作は1950年~60年代の日本映画の黄金期と現代を舞台に、“映画の神様”を信じ続けた主人公・ゴウが時代を超えて織り成す“夢”と“愛”と“奇跡”に満ちた感動の物語が描かれる。
志村けんさんの遺志を継いだ沢田研二とダブル主演を務め、撮影所の助監督として青春の日々を送る若き頃のゴウを演じた菅田将暉。彼は長期の撮影中断を経てついに完成を迎えることができた本作について「この1年、色んなことがありましたが思い出の詰まった作品になりました。」と並々ならない想いと喜びを明かす。
今回初めての山田組に挑戦した永野芽郁は撮影所近くの食堂・ふな喜の看板娘である淑子を演じているが「毎日緊張と勉強の連続で、今までになかった経験ができました。」と明かすと、すかさず山田監督から「本当に緊張していた?(笑)」と楽しいツッコミが入り、会場を沸かせた。
撮影所で映写部として働くテラシン演じる野田洋次郎は「山田監督はアイデアが豊富で、その場でスタッフも瞬発的に演出作業をしていた」と本作の撮影裏話を明かした。さらに、劇中にあるギターを弾くシーンも「3日前くらいに言われたんです」と、監督による突然のアイデアだった事を暴露すると、山田監督は「もっと前から言ってたんじゃない?(笑)」と笑いながら返答した。
一方、現代のテラシンを演じた小林とは“そっくり”だと試写を観た関係者の中では話題となっているが、小林稔侍も「嬉しいですね。野田さん演じるテラシンの演技を見た時に、(演技に対する)気持ちは僕と一緒だと思いました。」と野田の演技を絶賛。
夫婦となったゴウと淑子の娘・歩を演じた寺島しのぶは「(山田組への出演は)待ち望んでいた出来事だったので、何が何でも出たいという思いを伝えましたね。」と初の山田組となった印象を語る中、ゴウの妻となった現代の淑子を演じた宮本信子はなんと本作が50年ぶりの山田組となり、「50年は長いですよね。最初にお会いした当時はすごく怖かったのですが、本作で久しぶりお会いして長い年月が経ったのだと思いました。」と、それぞれの想いを語った。
100周年記念作品にふさわしい豪華なキャスト陣が集結しながらも長期の撮影中断など、あらゆる困難が降りかかった状況下でも前を向き、“奇跡”の積み重ねでついに完成を迎えた本作。山田監督は「本作は8月の上映になってしまいましたが、多くの方にこの作品を映画館で観ていただきたいです。」と語る。また、作品が完成するまでの長い道のりを振り返りながらも、これから映画界がコロナを乗り越えて、この『キネマの神様』が劇場映画復活へのバトンになってほしいという希望を込めた事を、映画人として熱を持って語っていた。
会見中には、“キネマの神様”がいることを信じて劇場公開に向け歩み始めた彼らの本作へかける情熱を映し出した【特別映像~完成までの物語~】も公開された。
登壇者コメント(敬称略)
▼山田洋次監督
Q.本作は企画が始動してから完成まで非常に長い道のりだったと思います。今、改めて振り返ってみていかがですか?
A.本読みをした後に主役(志村けんさん)がお亡くなりになってしまうという出来事は初めての経験で、その時のことを今でも思い出します。混乱してしまい、どうすればいいか不安にもなってしまいましたが、色々な考え方をして新たな魅力のある作品になったと思います。
Q.沢田研二さんが演じたゴウはとても素晴らしいと試写の感想で話題になっているそうですが、そういった声を聞いていかがですか?
A.志村さんとの友情があったから、快く引き受けて下さいました。表には見せないけど、緊張していたと思います。菅田さんも沢田さんも二枚目だから共通点があって良かったと思いますし、彼(沢田研二)がダメな男・ゴウを鮮やかに演じてくれました。
Q.本作を楽しみに待っている方へのメッセージをお願いいたします。
A.映画人にとっての大きな課題は、このコロナの時代を通り過ぎてしまうと映画を配信で見る習慣がついてしまうのではないかということですね。ですが、そんなことはないと思っていて映画は消えないと思っていて、映画館の中で語り合い、拍手したり、楽しく見るものであり続けたいと思っています。
▼菅田将暉
Q.沢田研二さんが志村けんさんの遺志を継ぎ、ようやく作品が完成を迎えることができましたが、完成した映画を見ていかがでしたか?
A.沢田さんのゴウは、僕の演じているゴウよりもたくさん動き回っていて、パワフルで、チャーミングな、ダメ父親だけど色気のある魅力的なゴウだと思いました。
Q.撮影中は山田監督の映画への情熱や執念を実感された出来事はありましたか?
A.撮影のシステムが執念の塊のようでしたね。他の映画の現場とはまるで違う段取りになっていますし、時間の使い方も違いますし、山田監督が考え事をして1~2時間立っていることもありました。それだけスタッフのことも信頼していますし、山田監督がかける魔法の空気がすごいなと思いました。
Q.「映画館」という場所はどのような存在ですか?
A.今となっては職場みたいな変な緊張感もありますが、映画を観ているといつの間にか別の世界に行ってしまいます。
Q.本作を楽しみに待っている方へのメッセージをお願いいたします。
A.まさか山田洋次監督作品の真ん中に立たせていただけるとは思ってもいなく、本来であれば…という出来事がたくさんありましたが、「今、完成しました」ということを一番に伝えたいです。思い出の詰まった作品になりましたし、たくさんのメッセージが込められている映画になっていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
▼永野芽郁
Q.今回初めての山田組ということでしたが、撮影はいかがでしたか?
A.毎日緊張と勉強の連続ではあったのですが、現場に行った時のワンシーンにかける皆さんそれぞれの想いがこもっていて、今までに体験したことのない経験が多かったです。
Q.「映画館」という場所はどのような存在ですか?
A.初めて自分が出てる映画を観た時は不思議な気持ちで、「私はこの世界で頑張っていけるのか」と思った気持ちを今でも映画館に行った時は思い出します。不思議な存在です。
▼野田洋次郎
Q.丁度先日映画をご覧になったとのことですが、完成した『キネマの神様』をご覧になっていかがでしたか?
A.素晴らしかったです。僕が演じたテラシンの未来を小林稔侍さんに演じてもらったことに感動しています。あとは撮影中のことを思い出しました。山田監督はアイデアが豊富で、その場でスタッフも瞬発的に演出作業をしていた時に右往左往していた自分がスクリーンに映っているようでしたね。山田組に翻弄されました。
Q.「映画館」という場所はどのような存在ですか?
A.映画を観終わると、何百人の全く知らない人たちと同じ経験や冒険をしてその日を終えてくということが素敵だと思っている自分がいます。その日のことが人生に残っていること、偶然のことさえ奇跡だと思います。
▼寺島しのぶ
Q.今回山田組初参加となりますが、初めての山田組はいかがでしたか?
A.待ち望んでいた出来事だったので、お話しいただいた時は色々なことが重なっていた時期でしたけど何が何でも出たいという思いを伝えましたね。山田組と同じ空気を吸えるだけで毎日幸せでした。
▼小林稔侍
Q.本作で二人一役を演じた小林さんと野田さんが本当にそっくりだと話題ですが、映画をご覧になっていかがでしたか?
A.嬉しいですね。野田さんとの初対面は山田監督が開いてくださった食事会でしたが、お互い自己紹介をしただけで2時間くらい過ぎてしまいました。ですが、野田さんが演じるテラシンの演技を見た時に気持ちは僕と一緒だと思いましたね。
▼宮本信子
Q.今回、50年振りの山田組でしたが、久しぶりの山田組はいかがでしたか?
A.50年は長いですよね。最初にお会いした当時はすごく怖かったのですが、本作で久しぶりお会いして長い年月が経ったのだと思いました。本作のセットで雪を見た時に、「あ~、映画っていいな」って感動したことを覚えています。キャスティングしていただいてありがとうございました。
Q.「映画館」という場所はどのような存在ですか?
A.私にとって無くてはならないものです。「こういう違う世界を見せてくれるんだ」とワクワクしますね。楽しい、嬉しい、悲しい、と色んな表情ができる存在です。
ストーリー
無類のギャンブル好きなゴウ(沢田研二)は妻の淑子(宮本信子)と娘の歩(寺島しのぶ)にも見放されたダメ親父。そんな彼にも、たった一つだけ愛してやまないものがあった。それは「映画」―――。行きつけの名画座の館主・テラシン(小林稔侍)とゴウは、かつて映画の撮影所で働く仲間だった。50年ほど前、若き日のゴウ(菅田将暉)は助監督として、映写技師のテラシン(野田洋次郎)をはじめ、時代を代表する名監督(リリー・フランキー)やスター女優の園子(北川景子)、また撮影所近くの食堂の娘・淑子(永野芽郁)に囲まれながら夢を追い求め、青春を駆け抜けていた。そして、ゴウとテラシンは淑子にそれぞれ想いを寄せていた。しかしゴウは初監督作品の撮影初日に転落事故で大怪我をし、その作品は幻となってしまう。ゴウは撮影所を辞めて田舎に帰り、淑子は周囲の反対を押し切ってゴウを追いかけて行った。
2020年。歩の息子の勇太(前田旺志郎)が、古びた脚本を手に取る。その作品のタイトルは、「キネマの神様」。それはゴウが初監督の時、撮影を放棄した作品だった。勇太はその脚本の面白さに感動し、現代版に書き直して脚本賞に応募しようとゴウに提案する。
過去の自分と再会した時、ゴウの中で止まっていた夢が再び動き始める―。これは”映画の神様”を信じ続けた男とその家族に起きる奇跡の物語。
作品タイトル:『キネマの神様』
出演:沢田研二 菅田将暉 永野芽郁 野田洋次郎 / 北川景子 寺島しのぶ 小林稔侍 宮本信子
監督:山田洋次
脚本:山田洋次 朝原雄三
原作:原田マハ「キネマの神様」(文春文庫刊)
配給:松竹
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/kinema-kamisama/
公式Twitter:@kinema_kamisama
公式Instagram:https://www.instagram.com/kinema_kamisama/
コピーライト:(C)2021「キネマの神様」製作委員会
2021年8月6日(金)全国ロードショー
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