『劇映画 孤独のグルメ』の大ヒットを記念して、御礼行脚と称した大阪での舞台挨拶が1月24日、TOHOシネマズ 梅田にて行われ、本作で井之頭五郎を演じ、監督・脚本も務めた松重豊が登壇した。
久住昌之原作、谷口ジロー作画によるハードボイルド・グルメ漫画「孤独のグルメ」を実写化した人気ドラマシリーズが、劇映画となった本作。
今回、松重からのサプライズプレゼントとして、入場時に“五”種類の“五郎語録”がランダムで書かれた割りばしが配布され、上映前からファンの熱気が高まる中、松重が登壇すると会場は盛大な拍手に包まれた。
日も落ち、映画の鑑賞後でお腹を空かせた観客へ、松重は「これから夕食に出かけて映画の感想を言い合いながら舌鼓を打っていただければ」と挨拶。長年作品を通して全国各地のグルメを訪れてきた松重は、映画に出てくるオニオングラタンスープの気分の方には、近くにはないけれど天満橋あたりのロイヤル・ホスト、ちゃんぽんには中央軒、韓国グルメには鶴橋に直行…などと、劇場近くや大阪各地のグルメスポットを紹介し、会場を笑わせた。
ラーメンの話になると、映画のこぼれ話が。オダギリジョー演じるラーメン屋店主の制服は、実は一風堂NY店のもの。今回のラーメンも「一風堂に全面協力をしていただきまして、店の前にキッチンカーを寄せていただいて、おいしいラーメンを作っていただいた。一風堂梅田店、すぐ近くにありました!」と、さらに笑いを誘ったかと思うと「この映画はとにかくどういうものが食べたくなる、その間にいろんな登場人物の人間模様が描かれていて、そういう気持ちを温めていただいた上で、おいしいスープを飲んで、体まであったまっていただく、そういう映画になっております」と映画への想いも重ねた。
大阪の印象を問われると、「(池乃)めだか師匠と鉄板焼きを食べたのと、野球の下柳さん(元阪神タイガース投手)と平野の串揚げを食べたんです。めちゃくちゃおいしい。この辺だったらどこでも出張してくれるって言うんで、なにか撮影があったら絶対呼ぼうと思っているんだけど、その機会が訪れないので、『おばちゃん元気かな?』って今度聞いてもらっていいですか?」と告白。
その後のティーチインでは、松重自ら質問した観客のもとへ足を運び、【井之頭五郎】の名刺をもってひとりひとりに感謝の想いを伝えた。
質問の中で、なぜ映画の舞台に五島が選ばれたのか、という問いには「九州の人間にとっても、五島は行ってみたい憧れの場所なんです。映画に出てきた五島ちゃんぽんなんかでも、独自の進化を遂げたものが多くて、それと同時に五島は隠れキリシタンの聖地であったり、アジアの中継点でもあって、西洋とつなぐ起点になるようなものあったりして、ちょっと憧れるんですよね。景色も日本なんだけど異国を漂わせていて。日本の中でももっともっと日本の人にも知ってほしい。今回奈留島という【みかん屋食堂】さんで撮影をしたので、非常に行きづらいところなんですよ!この映画の聖地巡礼をされる方がいらっしゃるので、フランスにしても、五島にしても、どこも行きづらいぞと!でもねどこに行ってもあの女将さんが実際に品物を運んでくれるので、ぜひ五島に行ってみてください」と、映画のロケ地の素晴らしさを語った。
また、松重と同じく1月19日が誕生日という男の子が手を挙げ、松重に「お誕生日おめでとうございます」とお祝いを伝えると、会場から温かい拍手が起こった。松重との年齢差はなんと52歳となるが、数字にちなんで映画に登場する五郎の車のナンバーが「563(ご・ろう・さん)」というプチ・エピソードが明かされた。
ロケ地にちなんだ質問は続き、フランスについての話題が出ると、映画での1食目・オニオングラタンスープが出てくる【ル・ブクラ】にも行ったというファンの報告に「本当に!?あそこはフランスの中でも行きづらい場所でしょ?」と松重も驚きを隠せない様子。
続けて、「今回僕が無茶言ったんで、パリに行くことになったんですけども、僕生まれて初めてパリに行ったんですよ。スープってなにを探せばいいのか分からなかったんですけれど、向こうの日本人シェフに聞くと、オニオングラタンスープがフランス料理の中でも基本中の基本で、それがおいしいとなると、どの料理を食べてもおいしい店だって言われてて。【ル・ブクラ】にたどり着くまで、3日間で、昼に4回、夜に4回と、みんなで二班に分かれて食べ歩いて、あそこが一番おいしかった!場所もいいし、マダムも雰囲気いいし、それでお願いしますと。でも向こうで『孤独のグルメ』って言ったって、フランスの人は誰も知らないので、結構大変だったんですけど、こうやって聖地巡礼されると嬉しいです。ありがとうございました」と喜び、感謝を伝えた。
観客との会話を楽しむかのように進む質問の中では、松重が「最近は撮影中にお店の人とやりとりしながら、『本当はこれも食べてほしかった』っていう事がよく出てきたりするので、『じゃあそれ追加で頼みましょうか』って、どんどんメニューを増やしていったりしているんですね。お店の方とずっと番組を一生懸命作っている気がするんで、スタッフの努力なんですけれど、お店から苦情が来たことが一度もないんです。コロナもあって飲食店が大変な時に、こういう映画を見て、飲食店に対してのエールが僕らからメッセージとして伝えられるかなと思うので、そういう気持ちを込めて、僕は一生懸命、食べるだけですけど、なんとか頑張らせていただきます」と明かす一幕もあり、作品作りへの姿勢もうかがわせた。
そして、ドラマと映画の音楽の違いについての質問には「今までドラマの劇伴をやられている、The Screen Tonesさんも今回の映画に参加されていますし、映画用に全部録り直していただいて、映画のリズムとトーンで井之頭が食べているところを作っていただいて。後半、志穂さん(演:内田有紀)の感情のリズムをピアノの音で表したかったんですね。最初は淡々と短音で、ちょっと感情が揺れ動いたりしたところで、少しリズムが出てくるとか、最後に向かって、大きく動いてアンサンブルになって、志穂さんの気持ちをピアノで連動して表したかったんですね。それで、Kan Sanoさんっていう素晴らしいピアニストの方に、志穂さんの気持ちの流れをピアノで表現していただくっていうことをお願いしました。後半は劇映画として、人の気持ちの流れというものをベースに考えたんです。『神様のメロディ』という曲なんですけれど、2~3日前に配信ができるようになりましたので、ぜひお確かめください」と、食だけに留まらない、作品へのこだわりを語った。
質問が終わると、なんと観客向けに松重の1分間のフリータイム撮影が実施されることに。はじめは手を振るだけと思いきや、30秒ほど経つとおなじみの「腹が…減った!」の心の叫びを思わせる表情と佇まいを披露し、会場を笑いで包んだ。
最後に、会場に集まった観客全員を背にフォトセッションを行い、松重から「貴重なお時間をありがとうございました。大阪に来て、こんなに多くの方に観ていただいて、喜んでいただいて、心が穏やかになります。まだまだお客さんにいっぱい見ていただきたいと思っていますので、ぜひ『面白かったよ』とまわりに拡散していただければ有難いと思います。そして2度目をみたら、また不思議なところが面白くなってきて、謎のダニエル(映画で何度か登場する不思議なキャラクター)は何者なんだろうっていう、彼が母親の墓参りに東京に帰ってきたっていうのは、どういうことなんだろうと、深堀りしてみても面白いと思いますので、二度三度見ても面白い作品になっていると思います。これからもこの『孤独のグルメ』の作品を含めて皆さんで見守り続けていただければと思います。本当にありがとうございました」と感謝のメッセージを贈り、舞台挨拶は終了した。
ストーリー
井之頭五郎は、かつての恋人・小雪の娘、千秋からとある依頼の連絡があり
飛行機の機内で腹を減らしながらフランス・パリへ向かう。
パリに到着し、空腹をいつものように満たし、千秋と共に依頼者の祖父の元へ向かう。
そこで、千秋の祖父である一郎から、「子供の頃に飲んだスープがもう一度飲みたい。食材を集めて探して欲しい。」とお願いされる。
わずかな地名をヒントに、五郎も行って食材を探してみることにしたのだが…。
フランス、韓国、長崎、東京。究極のスープを求めて、五郎は世界へ漕ぎだす!
しかし… スープ探しのはずが、行く先々で様々な人や事件に遭遇。
次第に大きな何かに巻き込まれていく…。
大海原 ▶ サバイバル ▶▶ 謎の集団 ▶▶▶ 命の危機!?
「孤独のグルメ」史上最長のサバイバルロードムービー。
どうした…五郎!!
旅路の中で彼は気付く。
「腹が…減った!」
『劇映画 孤独のグルメ』
出演:松重 豊 内田有紀 磯村勇斗 村田雄浩 ユ・ジェミョン(特別出演) 塩見三省 / 杏 オダギリジョー
監督:松重 豊
脚本:松重 豊 田口佳宏(「孤独のグルメ」シリーズ)
主題歌:ザ・クロマニヨンズ「空腹と俺」
制作:共同テレビジョン FILM
配給:東宝
(C)2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会
公式サイト:https://gekieiga-kodokunogurume.jp/
公式X:https://x.com/tx_kodokugurume
大ヒット公開中