『美晴に傘を』公開記念舞台挨拶レポート 升毅・田中美里、撮影時のエピソードを披露

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左から宮本凜音、田中美里、升毅、日髙麻鈴、渋谷悠監督

1月25日(土)、映画『美晴に傘を』公開記念舞台挨拶がYEBISU GARDEN CINEMA にて実施され、イベントには、主演の升毅、共演の田中美里、日髙麻鈴、宮本凜音、そして本作が長編映画デビューとなる渋谷悠監督が登壇した。

登壇者たちが登場すると会場は割れんばかりの拍手が起こり、しばらく拍手が鳴り止まないほどの熱狂に包まれた。
まずは、劇中の衣装のワンピースで登場した田中に注目が集まり、田中は「四十九日に着たワンピースを今日も着てきました。透子として撮影で着たときは恥ずかしくなかったのですが、田中美里としてはちょっと露出が激しくて、今は少し恥ずかしく思っています(笑)」と少し照れながら挨拶。

升も「YEBISU GARDEN CINEMA満席のお客様に集まっていただき、本当にありがとうございます。マヨラー善次役を演じた升毅です」と自身の演じたキャラクターに絡めて茶目っ気たっぷりにご挨拶し、拍手喝采の中イベントはスタート。

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『美晴に傘を』場面写真
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『美晴に傘を』場面写真

本作は聴覚過敏のある自閉症を持つ美晴が色々な音を言葉にしていくのだが、美晴を演じた日髙が「本編を見終わったばかりのフレッシュな皆さんの心の声が耳の中に入ってきそうで、美晴の気持ちに戻ったようです」とコメントすると、司会の境鶴丸より「今、この劇場はどんな音がしますか?!」と無茶振りも。日髙は驚きながらも「いろんな音が聞こえてきます!」と実際に会場を擬音で例えてみせた。

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『美晴に傘を』場面写真

トークパートでは、日髙が「一昨年の9月ぐらいに、余市で撮影をした作品なのですが、本当にご撮影現場が温かくて、初めて作品を見たときにその雰囲気がスクリーンの向こう側からも伝わってくるくらい、心がほっこりしました」とコメントすると、美晴の妹・凛役を演じた宮本も「2年前の撮影時、私はまだ中学2年生でした。私が一番幼くて大人の方々に囲まれての撮影で緊張しましたが、それと同時に、皆さんが家族のように迎え入れてくださったので、とても安心しながら自分の最大限のパフォーマンスができたので、すごくありがたかったです」と撮影時を振り返った。

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『美晴に傘を』場面写真

そして、本作が初の長編映画デビューとなる渋谷監督は「“作品を作る”ということはキャストやスタッフ、この物語自体を信じることだと思うのですが、“公開する”ということは、観客の皆さんの感性を信じることなのだなと思います。皆さんに響いたものが言葉になって、更に伝わっていって…ということを信じることが公開するということなのだなと感じております」と公開を喜ぶコメントを贈った。

そして、司会の境より、升が演じた善次について「非常に寡黙な中に、孤独感や色々なものを表現しなければいけない難しい役だったと思うのですが役作りはいかがでしたか?」と問われると、升が「監督やスタッフの皆さんもそうですし、共演者の皆さんも物語の仲の人物として現場にいてくれたので、僕はその中に入るだけだったので、自分の役作りとして苦労や難しいことはありませんでした。全て周りの方が作ってくれたように思います」と回答。
すると、登壇者一同から「いやいやいや!」と一斉に声が上がり、田中は「引っ張っていただきました!」と返し、とても和やかなムードに。

田中は続けて、「升さんが歩きながら詩を読むシーン、泣いちゃうんです。大好きなシーンです」と告げると、升は「良いシーンですよね。余市の繁華街で撮影をしていて、周りのお店の皆さんにも協力していただいていたので、『1発で撮ろう!』というシーンだったのですが、スタッフさんの足音が入ってしまう…となって、みんな靴を脱いで音を立てないようにそっと歩きながら撮影をしたんです。そしてカットがかかり、OKが出た後に、その道にポツンとスタッフさんの靴下が落ちているというね!(笑)」とまさかのエピソードを明かしてくれた。

田中が演じた透子は、善次が喧嘩別れしたまま亡くてしまった息子・光雄の妻という役どころで、光雄の死後、善次を突然訪れるのだが、透子の話になると、田中は「このワンピースを着て四十九日にいくシーンで、(善次と)鏡越しでやりとりするところがすごく好きなんです」と語り、監督からすごくスピード感を大事にしてほしいとリクエストがあったというが、画面上では善次と透子が映っているが、実際には善次の姿が見えない位置であったため「対面して話すのとはまた違って、声だけ聞いてのお芝居だったので難しかったです」と撮影の裏側を語った。

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『美晴に傘を』場面写真

そして、イベントも終盤。言葉を伝えることを大切にした本作にちなんで皆さんの”大切な言葉”を聞かれると、升は『継続は力なり』という言葉をあげ、「二十歳からお芝居を初めて今年で50年。70歳になるわけですが、ここまで続けてきたからこそ、この作品に出会えて、監督にも共演者の皆さんにも出会えたので、ここから先も継続していくことで、また新しい出会いがあるだろうという気持ちを込めてこの言葉にしました」と語った。
続いて田中は、「この後に恥ずかしいのですが…(笑)」としながら『◯』と書かれたフリップをオープン。「20代の頃から『“◯”とかいて、丸』という言葉が好きですと答えていて、人間的にも柔らかくて嫋やかな女性を目指して、継続しています」と明かした。

日髙は『殻を破り続ける』を挙げ、「撮影当時、私は19歳で二十歳になる一歩手前だったのですが、一歩踏みだす勇気を美晴という役から学びました。私も、現状に甘えずに常に一歩踏み出して挑戦していける20代をおくれたらと思うのでこの言葉にしました。今年巳年なので、殻を破っていきたいです」と意気込みと合わせて語った。
一番年下の宮本が『一期一会』と挙げ、「今回の映画に出演させていただけたことも、素晴らしいスタッフの皆様と、素晴らしい演者の皆様と、素晴らしい観客の皆様とお会いできたご縁を大切にしていきたいなと思って『一期一会』を選びました」と回答すると、登壇者たちからは思わず「一番大人だね」と感心の声が上がる場面も。

イベントの最後には、渋谷監督は「この作品は、一見すると小さな出来事で、ドラマチックな話ではないように思うかもしれませんが、ドラマというのは大きな出来事を描くことだけでなく、登場人物にとって、それが大きな出来事であれば、それは十分ドラマとして成立するのではないかと信じています。もし今日感じるものがあれば、映画のテーマと同じように”言葉”にしていっていただけたら嬉しいです」と観客へ語りかけた。

升は、「僕にとってこの作品は2本目の主演映画です。1本目の『八重子のハミング』の初日舞台挨拶と同じ服を着て来ました。ご覧いただいたお客様たちの力で映画が拡がっていくことができたので、今日ご覧いただいて、心に残ったという方は是非、撮影いただいた写真をSNSにあげていただいて。大いに『助さん』いや『格さん(=拡散)』していただけると非常にありがたいです!」と締めくくり、会場中が笑いに包まれたままイベントは終了となった。

『美晴に傘を』
出演:升 毅 田中美里 日髙麻鈴 和田聰宏 宮本凜音 上原剛史 井上薫 阿南健治
脚本・監督:渋谷 悠
プロデューサー:大川祥吾 渋谷真樹子
撮影監督・共同プロデューサー:早坂 伸
助監督:西 貴人
制作プロダクション:アイスクライム キアロスクーロ撮影事務所
配給:ギグリーボックス
(C)2025 牧羊犬/キアロスクーロ撮影事務所/アイスクライム

公式サイト: http://miharu-movie.com/

YEBISUGARDEN CINEMAほか全国公開中

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