映画『向田理髪店』が(10月7日(金)より福岡・熊本先行公開、14日(金)より全国公開)より、撮影のメインロケ地となる福岡県大牟田市で、主演の高橋克実、富田靖子、白洲迅、そして森岡利行監督による舞台挨拶と先行プレミア上映会が開催された。
映画『向田理髪店』先行プレミア舞台挨拶 (上映前)
日程:10月1日(土)
場所:セントラルシネマ大牟田 スクリーン2
(福岡県大牟田市岬町3-4 イオンモール大牟田内1F)
登壇者(敬称略):高橋克実、富田靖子、白洲迅、森岡利行監督
特別ゲスト:関 好孝大牟田市長
本作は、寂れた元炭鉱町「筑沢町」にある理髪店の親子の葛藤を軸に、過疎化、少子高齢化、介護、結婚難など、どこの地方も抱える深刻な問題に直面しながらも懸命に生きる人々の姿を通して、現在の日本で忘れられてしまった家族の絆、人とのつながりの大切さを観る人に思い出させてくれる心温まる物語となっている。
そんな本作が生まれた街・大牟田に久しぶりに訪れた感想を求められると、向田理髪店の店主・向田康彦を演じた高橋は「撮影が去年の12月に2週間あって、寒かったというイメージがあったんですけど、今日は天気もよくてポカポカしていて去年の12月とは印象が全然違いますね。僕は暖かいほうがよかったなと思いました」と本音を吐露して笑いを誘った。
同じく“大牟田、暖かーい”と思ったという康彦の妻・向田恭子を演じた富田は「映画の中でも映画の撮影シーンがあるんですけど、そこで薄くてかわいいワンピースを着させていただいて、頑張って撮影させていただきました。世界遺産でもある三池炭鉱で、血を流している人を発見して『きゃー』とか言ったりもしていますが、“世界遺産でこんなことさせていただけるなんて感謝です”って思いながら、寒いながら撮影したのを思い出しました」と回顧。
康彦の息子・向田和昌を演じた白洲は「ただいま」と挨拶をし、「本当に寒かったので僕はラーメンばかり食べていました。寒くなくてもラーメンばかり食べていたと思うんですけど(笑)、東洋軒には3・4回くらい行きましたし、福龍軒にも行きましたね。なので、映画の撮影の思い出というとほぼほぼ大牟田ラーメンですね」とにっこり。続けて、「大牟田ラーメンってすごく美味しくて、博多よりもちょっと濃い目というか…。あっ、ラーメンの話はこれ以上やめておきます。(話が)止まらなくなっちゃうので(笑)。本当に美味しかったです」とラーメン愛を語った。
改めて、本作の見どころを尋ねられると、高橋は「今日、来ていらっしゃる方の中にも出演されている方が多分いらっしゃると思います。聞いた話によりますと、のべ700人の大牟田の方々に参加していただいたとのことで、まずは自分が出ているところ、あとは参加していない方でも“自分もこんなことあったなあ”と身近に感じられるシーンだけで構成されていて、押し付けがましくなく、自然に“なるほどね”って気持ちになれる映画ですので、その辺を見ていただければと思います」アピールした。
富田は「息子が父親を超えるといいますか、男同士の何かがあるんですね。また息子がお父さんにいいことを言うんです。それを私は隣で『うん、うん』って聞いているだけなんですけど、とても幸せでした。なので、父親と息子のやりとりと、この2人が何を感じているのか、映画を見ながらみなさんも感じてくださったら嬉しいなと思います」とコメント。
白洲は「さっき僕ら3人で取材を受けさせていただいて、同じように見どころを聞かれたんですけど、3人ともネタバレになってしまうようなことばかり答えてしまって、(見どころが)たくさんありすぎて内容まで喋りたくなっちゃうんですけど、息子的にはこの親父と母ちゃんがすごく素敵な言葉をかけてくれるんですね。そのワードが2人とも同じなんですけど、僕はあのシーンがすごく好きです」と目を輝かせ、「そこは(映画を見て)楽しんでもらって、自分の親に会いたくなったり、実家に帰りたくなってもらえたら成功なんじゃないかなと思っています」と語った。
そして、森岡監督は「エキストラで大牟田の方々に出ていただいて、普通は歩いたりするだけなんですけど、お芝居もしていただいているんですね。そこも見逃さないでほしいなと思います」と明かし、「あとは裏で商工会の青年部のみなさんが手伝ってくださって、本当はスタッフがやらないといけないことも全部やっていただいて、雨が降るシーンとかも手伝ってもらっていい画が撮れたので、本当に感謝しています」と頭を下げた。
また、撮影で初めて大牟田を訪れたという高橋は、その際の大牟田の印象を聞かれると「知っていることといえば三池炭鉱とか炭鉱節くらいだったんですけど、海の向こうの真ん中に島があって、『あそこが炭鉱なんです』って言われて意味がわからなくて、『あそこまでずっと掘っているんです』って聞いてとてもびっくりした思い出があります」と振り返り、「僕も田舎(出身)なんですけど、昔は栄えていて今は静かな感じが、自分が生まれたところもそんな感じなので、懐かしいというのが来たときの印象でした」としみじみと語った。
さらに、大牟田市長・関氏が映画公開を祝って劇場へ駆けつけ、高橋へ花束を贈呈すると「本当に素晴らしい映画を作っていただきました」と感謝し、すでに本作を見たそうで「3つだけお伝えしたいと思います。高橋克実さんが(筧美和子演じるスナックのママに)『年上の人が好き』と言われて鼻の下を伸ばすシーンがあります。それがとても感動しました。そして後半に白洲さんが駅で言われるセリフに涙しました。最後に素晴らしいエンディングが待っています。本当に素晴らしい映画です。みんなで応援しましょう」と呼びかけ、観客から拍手を浴びた。
ストーリー
向田康彦(高橋克実)は妻の恭子(富田靖子)と親から継いだ筑沢にある理髪店を営んでいた。理髪店の客は近所の老人たちがほとんど。仕事が終われば、近所にあるスナック「昭和下町」で中学からの同級生でガソリンスタンドを営む瀬川真治(板尾創路)や電気店を営む谷口修一(近藤芳正)と移り変わってゆく町の愚痴を口にする毎日。そんなある日、東京で働いていた息子の和昌(白洲迅)が帰郷し、会社を辞めて店を継ぐと言い出す。和昌の言葉を聞き、恭子は素直に喜ぶが、康彦は自分の過去が頭を過ぎり、不安を感じる。和昌はそんな康彦の思いを知らず、ゆくゆくはカフェを併設する店にするという夢を語り、理容師学校へ通うための費用を稼ぐために近くの運送会社でバイトを始める。
久しぶりの親子の生活を続けてゆくなかで、市役所で商工会の経営者を集め、地域振興に関する会議が開催される。会議では中央官庁から出向してきた佐々木良平(田中俊介)が和昌をはじめ若者世代からの今後、筑沢の活性化のための意見を聞く。コミュニティFM開設などの意見が上がる中、康彦は過疎化の進む筑沢の現実を終末医療に例え、地方振興の名のもとに和昌など若者たちを煽る佐々木に疑問を投げかける。しかし、和昌は自分たちの想いを否定する康彦へ反発。不穏な空気が流れる中、谷口のとりなしでどうにかその場は丸く収まるが、その後、和昌は康彦がいう街の現状を目の当たりすることになってゆく。
やがて人気アイドル・大原零(矢吹奈子)主演の映画撮影が筑沢で行われることになり、一気に街が活気づく。この撮影をきっかけに康彦を始め、街の人々も変わり始めた――。
作品タイトル:『向田理髪店』
出演:高橋克実
白洲迅 板橋創路 近藤芳正 / 富田靖子 ほか
脚本・監督:森岡利行
製作・配給:キャンター
公式サイト:mukouda.com
twitter:@mukouda_movie
Instagram:@mukouda_movie
コピーライト:(c)「向田理髪店」製作委員会
10月7日(金)より福岡+熊本先行公開
10月14日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
関連記事:
■ 高橋克実初主演映画『向田理髪店』ポスター・予告編・場面写真が解禁!キャストコメントも到着 ―10/14(金)全国公開