Netflixシリーズ「新聞記者」(1月13日(木)より全世界同時配信)のワールドプレミアイベントが行われ、主演の米倉涼子、綾野剛、横浜流星、藤井道人監督が登壇した。
Netflixシリーズ「新聞記者」ワールドプレミアイベント
■日時:1月10日(月・祝/成人の日)17:00~17:40
■場所:イイノホール
■登壇:米倉涼子、綾野剛、横浜流星、藤井道人監督 ※敬称略
進行形の政治問題やスキャンダルに真正面から切り込み、日本社会を覆う同調圧力、分断、メディアの機能不全などを観客に鋭く突きつけた映画『新聞記者』が、日本アカデミー賞最優秀賞主要賞を始め日本中で高い評価と賛否両論を巻き起こした2019年から約3年。今度は舞台を映画館からNetflixに移し、制作・スターサンズ×藤井道人監督のコンビはそのままに、キャストを一新したセルフリブート版として帰ってきた。幕が落とされ、キャスト・監督が「新聞記者」の大きな文字の前に現れると配信が待ちきれない観客の熱い拍手で迎えられた。
本作の主人公で、不屈のジャーナリスト魂を持つヒロイン・東都新聞社会部記者の松田杏奈を演じた米倉涼子は、抜群のスタイルが映える美しい白のセットアップスーツで登壇。「松田杏奈という新聞記者をやらせて頂きました米倉涼子です!今日はどうぞ、よろしくお願いいたします」と丁寧に挨拶。米倉はMCから出来上がった作品を見た率直な感想を聴かれると「このドラマは『私を見て!』というより、みんながあって、監督が創造した空気があっての”新聞記者”というのが私の見解です。”新聞記者”というタイトルだけど、みんながどんな風に生きていってどんな風に我慢して、どんな風に夢を見て一歩を踏み出すか、というドラマです。ぜひ考え抜いてもらいたいと思います」とキャスト・スタッフのチームワークで作り上げた作品だと振り返る。
続いて国民に尽くすという理想を持ちながらも運命に翻弄されるエリート官僚・村上真一を演じた綾野剛は「全編を通して自分も学ぶところがたくさんありました。演じた僕らでさえもたくさんの気づきを教えて頂いたような気がしていますね。何より藤井組という最高のチーム力を踏襲しているので楽しんで見てもらえたら幸いだなと思います」と『ヤクザと家族 The Family』、「アバランチ」に続いて3作目となる藤井監督とのタッグに期待が膨らむコメント。
Netflix版で新たに追加されたキャラクター・就活中の大学生木下亮を演じた横浜流星は「ドラマとは思えないほどクオリティの高い作品になっていると感じましたし、僕自身も亮と同じで政治とか世の中の出来事に対して少し他人事な部分があったけど、この作品を見て若者目線が入ることによって自分事として捉えられると感じたし、改めて色んなことを考えるきっかけになりました」と等身大の正直な思いを明かした。
また、映画版に引き続き監督を務め、新聞記者、官僚、ごく普通の大学生という3つの視点から物語を紡いだ藤井道人は「それぞれが主演として世の中にたくさんの作品を生み出している人たちが一個のチームになって一個の作品を作りだすエネルギーは本当に強くて、世代とか時代とか全部飛び越えて良いものを作ろうという純粋な時間はかけがえのない体験でした」と豪華キャストの競演から生まれた唯一無二の作品づくりを振り返った。
藤井組には初参加となった米倉は「藤井監督とお会いするのが初めてだったので、どういう撮影スタイルなのか分からないまま飛び込んでいって、本当にドキドキしました。スタッフさんも特に若い方が多かったのですが、最年長に近いくらいの年齢なのに引っ張っていけない自分がいて。そして粘り強さでいったら右に出る者がいない藤井監督、辛い時もありました(笑) けれどこの監督に委ねようと思ったのは、どんな質問にもすぐ返ってくる、意見がある。そんな監督に出会えて幸せだなと思いました。皆さんが思われる”元気で強くてパワフルな米倉涼子”として我慢した部分も多かったです。いち早く作品を見て、自分が出てないところで本気で泣いてた自分がいる、という不思議な体験もさせて頂きました」と藤井組での挑戦を振り返ると、監督も「平常運転でしっかり頑張らせて頂きました(笑)」と米倉への信頼を覗かせた。
綾野は「作風はシリアスな部分もありますが、ちゃんと支え合って立っていられる現場でした。本来美味しいはずのご飯が美味しくなくなっていくのはラッキーだなと思ってました」と綾野節で回答。すかさず米倉が「それってなんでって聞いてほしい?」と突っ込むと、綾野も「美味しいと思っているご飯が(追い詰められていく)村上として生きているとどんどん味がしなくなっていくんです…」と綾野の演じる役への没頭ぶりが改めて明らかになった。
また監督と話し合ったことについて聞かれた横浜は「藤井さんに自分が描きたい役目を託したいと言われて。若者目線ということで亮の考えに共感できる部分があったので、皆さんにも感情移入してもらえる役柄だと思いました。皆さんにそういう風に思ってもらえるように逆に変に作りこみすぎずに素直にいるというのを意識していました」と自身の演じる藤井監督の分身のような亮を、横浜自身もまた等身大で演じたことを明かした。
ここで「成人の日」にちなみ、まさに今なにかに挑戦しようとしている観客たちから事前に質問を募り、キャストと監督がダイレクトに答えるというQ&Aタイムに突入。
まず最初の質問は【ずっと看護師を目指していて、看護学生になれたんですけど実際に勉強してみると、周りと比べてしまって自分向いてないんじゃないかなって思って落ち込みます。自分が俳優業に向いてないと思った瞬間はありますか?その際、どうやって乗り越えましたか?】という看護学生からの質問。
これに対し米倉は「私は自分がこの仕事が天職なのかどうかは、まだ確信したことはないんです。ただやってやれ!という思いと、せっかくやり始めたことはやり通したい思い。あと隣の芝が青く見えるタイプで自分に納得できなくて『あの人の方がいいなぁ、悔しいなぁ』と思って生きてるタイプ。まだまだ自分には足りないと思っていて、自分に向いてないのかな?と思ったことも超えてやろう!という思いで悔しいと思いながら生きています。どんな居場所でも楽なことはきっとないと思っているし、ぶち当たってみないと分からない壁に当たって、泥まみれになった方が大人になった時に楽になる気がする」と自身の経験も織り交ぜた的確なアドバイスを披露。
また横浜も「僕も今の自分に満足しないからこそより頑張れるし、自分の代わりなんていくらでもいるので、自分も十代の頃は比べてしまうこともあって、その都度向いてないんじゃないかって思うこともありました。ただ、自分が決めた道だし、単純に芝居が好きだし、辞めるっていう選択肢はなくなりました。時間はどんどん過ぎていくので、落ち込んでる暇も比べる暇もなくて、全力を尽くしているうちに、そういうことは僕は考えなくなりました。応援しています!」と等身大の答えで質問者の背中を押した。
2問目は綾野に向けた【現在役者を志し日々、レッスンを受けているのですが、その中で脚本読解を課題に挙げて取り組んでいます。綾野さんが台本を受け取って読解に入る中で最も重視している点はどこですか?また、今作において綾野剛さんが演じた村上真一という役の最も大切しなきゃいけないなと感じた部分はどこでしょうか?】という同じ俳優の卵からの質問。
これに対し綾野は「好きな風に読んだ方がいいと思います。脚本は数学のように答えがあるものではないので、今日まで生きてきて体感してきたことだけで読んでいいと思います。自分自身を否定する必要はなく『僕はこう思った』という部分がより大事だと思いますし、それを僕は受け止めたいと思います。本作は村上から何かが伝わっていくのではなく、村上を通して松田や亮の眼差しから最終的に感じ取ってもらうような感情を線に繋いでいたので、僕から何かを発信していくというよりかは最終的には未来を生きる若者でもある亮に行きつくにはどうしたらいいかと考えて役を生きていました」と具体的な例を挙げた的確な答えで後輩の疑問を解決。
藤井監督へは【漠然と映画やドラマなどの映像作品に携わる仕事をしてみたいと思うのですが、明確な職業が決まっているわけではありません。どういった視点からこの業界を調べたり、考えたりしたら自分のやりたい職業が見つかるのでしょうか】という進路に悩む学生からの質問。
これに対し藤井監督は「僕は元々脚本家になりたくてこの業界に入ったのですが、脚本が全然上手くならなかったのでとりあえず大学の映画サークルに入りました。そこでの映画作りがすごく楽しくて、録音も撮影も助監督もやって…気づいたら映画監督になっていた、という感じです。今でも監督が向いているとは思わなくて、夢は脚本家だったりするのですが、映画は楽しいので、飛び込んでみて学んでみてください」と手探りながらも前に進む行動の大切さを語った。
また「成人の日」ということで自身の20歳の頃に話が及ぶと、米倉は「時は戻せないからやりたいなとちょっとでも思ってることはすぐにやってみた方がスッキリする。若いうちにやりたいと思ったことは続けて欲しいし、間違ってたと思うことは辞めたらいいし。いいことも悪いことも何か始めないと何も進まないから、一歩出る勇気を持てたらいいなと思う」と大人目線で後悔しないアドバイス。
一方、綾野は「いっぱいご飯食べて!食べるパワーは生きるパワーに直結していると僕は思ってて。仕事がない時もとにかく食べるということはしてました。あと仲間を見つける。仲間に教えてもらったことが自分の夢になったっていい。僕だって自分が俳優になるなんて思ってなかった。大好きな仕事を見つけてくれた人がいたので、それが大事だと思います。まずは食べよう!」とシンプルな事から始めていくことの大事さを語った。
まだ20歳がたったの5年前だという横浜は「まだ言える立場じゃないですけど、いまこの瞬間を大事にして欲しいなと思います。どんどん時間は過ぎていくし何が起きるか分からないので、今を全力で楽しんでくれたら嬉しいなって思います」と今の正直な思いを明かした。
最後に藤井監督も「大学生の時に出会った仲間と会社を立ち上げて仕事をやっているので、青春がずっと続いています。若い時の何者でもない自分と一緒にいてくれた人たちと楽しいことができていて、今横にいる人を大事にすることで10年後20年後に楽しかったねと言えるんじゃないかと思います」と具体的なアドバイスで新成人たちの背中を押した。
イベントの最後は藤井監督から「コロナの中で一丸となって作り上げて、一人の人間としてどう生きるのかを真摯に向き合って素晴らしい俳優とスタッフとともに妥協なく作り上げた作品です。日本の皆様、そして世界の皆様にどういう風に届くのか自分もとてもドキドキしてるのですが、これが終わりではなく始まりになるように思いを込めて撮りました」と全世界配信が目前に迫った今の気持ちを素直に表現。
続いて横浜は「皆さんと共に魂を込めて作った作品ですので、沢山の方にこの作品が届くことを祈っています。この作品を見て感じることは人それぞれ違うと思いますが何かを残すことができたら嬉しいです。そして感じたことを大事にしてほしいなと思います」と思いのこもった作品をアピ―ル。
綾野は「とても楽しかったです。新聞記者を通して、何かを始めようとしていることをたったひとつでもいいので気づいて受け取ってもらえたら嬉しいです。本作にとって一番大切な部分を僕たちはきっと横浜流星という役者に託したんだなと改めて話を聴いて思いました。それぞれ色んな見方がありますが楽しんで頂けたら幸いです」と未来を生きる若い世代へバトンを託した。
そして最後は米倉から「藤井組が思いを込めて作った作品です。想像以上に素晴らしい作品になってると思います。どうやって生きていこうとか我慢していこうとか、一人の人としての生き方を考え直すような作品になっていると思います。13日からの配信を楽しんで頂ければと思います!」と本作の座長として作品を最大限にアピールし、イベントは締めくくられた。
Netflixシリーズ「新聞記者」は2022年1月13日(木)、全世界独占配信。
作品タイトル:Netflixシリーズ「新聞記者」
出演:米倉涼子
横浜流星/吉岡秀隆 寺島しのぶ/
吹越満 田口トモロヲ 大倉孝二 田中哲司 萩原聖人/
柄本時生 土村芳 小野花梨 橋本じゅん でんでん/
ユースケ・サンタマリア 佐野史郎
/綾野剛
監督:藤井道人
脚本:山田能龍、小寺和久、藤井道人
音楽:岩代太郎
撮影:今村圭佑
照明:平山達弥
録音:根本飛鳥
美術:部谷京子
衣装:宮本まさ江
編集:古川達馬、前田径成
エグゼクティブプロデューサー:坂本和隆、高橋信一
企画・プロデュース:河村光庸
プロデューサー:佐藤順子、山本礼二
製作:Netflix
制作プロダクション:スターサンズ
Netflix作品ページ:https://www.netflix.com/新聞記者
1月13日(木)、Netflixにて全世界同時独占配信
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