『ルート29』公開記念舞台挨拶で綾瀬はるか、サプライズで大沢一菜にフォトアルバムをプレゼント

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映画『ルート29』の公開記念舞台挨拶が11月9日、東京・TOHOシネマズ 日比谷にて実施され、綾瀬はるか、大沢一菜、市川実日子、森井勇佑監督が登壇した。

デビュー作『こちらあみ子』で第27回新藤兼人賞金賞はじめ数多くの賞を受賞した森井勇佑監督が、詩人・中尾太一の「ルート29、解放」からインスピレーションを受け、映画の舞台ともなった姫路から鳥取を結ぶ一本道の国道29号線を約一ヶ月間旅をし、脚本を完成させた本作。その独創的なストーリーは、他者とコミュニケーションを取ることをあまりしない主人公トンボが、風変わりな女の子ハルを連れて旅に出た先でのさまざまな出会い、そこで次第に深まるハルとの絆によって、からっぽだった心に喜びや悲しみの感情が満ちていく時間を綴ったロードムービーだ。

舞台挨拶のこの日、本編上映後にステージに登壇した綾瀬が、観客に「皆さん見終わった後ということで……不思議な映画だったでしょうか?(笑)」と問いかけると、会場は一気に笑顔に包まれた。

MCより、今回の作品で「印象に残ったことは?」と質問された綾瀬は、「1カ月半くらいかけて鳥取から順番に、国道29号線を旅するように歩いて撮っていったので。その時は暑くて大変でしたが、大きな家族みたいになって。ヌーの移動みたいな感じだったのも思い出深いですし(笑)、この作品で(東京国際映画祭の)レッドカーペットを歩けたのもうれしかったです」とユーモラスな表現で振り返った。

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綾瀬はるか

そんな綾瀬だが、本作の役づくりにあたって、プライベートでも親交のある市川に相談したこともあったという。その時のことについて、市川が「元がキラキラしているので、のり子はとにかくキラキラを消した方がいい、ということは言いました」と振り返ると、綾瀬も「撮影の初日だったのでそういう話もしたし。あとはタバコを吸うシーンがあって。台本にはパンッとくわえると書いてあったんですが、わたしはタバコを吸ったことがなくて。だから(市川が)うちに来て、歩きタバコのやり方を一緒に練習しました。そこで『それ不自然じゃない?』といった感じで指導してもらいました」と明かし、市川も「(綾瀬の)タバコを持つ手が不自然なので笑っちゃって。練習にならなかった。そんなはじまりでした」と告白した。

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市川実日子

さらに綾瀬が「これまでは、たとえばアクションなら稽古を積んで、監督が細かく厳しく、立ち位置も決めたりして積み上げていくということが多かったんですが、森井監督はとにかく、わたしのこれまでの20何年の経験をそぎ落とすという作業をしていく、という感じがあって。無にならないといけないんだなと思いました」と語り、「むきたまごになったような感じです」と独特な表現を付け加え、会場をドッと沸かせた。

また市川について、綾瀬は「初日の夜も役について一生懸命話したりして、プロデューサーさんみたいな感じなんです(笑)お芝居だけでなく、芸能のお仕事についてまでも幅広く話をしたりしました」と絶大なる信頼感を寄せている様子。のり子という役を演じるにあたっての、市川からのアドバイスは「誰もいない部屋にひとりでいる感じじゃない?」ということだったという。それには綾瀬も「わたしがいつもひとりで部屋にいる時って、のり子みたいな感じだよなと思った」と深く共鳴したようで、森井監督も「それを翌日(の撮影の時に)に言ってもらったんですよ。それはすごくいいなと思った」としみじみ語った。

一方、市川は「以前から役をまとっていないような、この方(綾瀬)の素材そのものというか。部屋にひとりでいるような役を観てみたいなと思っていたので、今回、脚本を読んで、すごい楽しみだなと思っていました」と告白。綾瀬も「試写会の後で実日子ちゃんが、すごくいいこと言ってくれたんです。自分で言うのもあれだけど……」と言いよどむと、市川も「何言ったんだろう?」と思い出せない様子。その様子に「もう大丈夫です」と話題を遮ろうとする綾瀬だったが、森井監督らは市川の感想を「聞きたいですね」と興味津々。そこで意を決した様子の綾瀬が市川の耳元でその内容をささやくと、あらためて市川が「綾瀬さんの心がきれいな人なんだな、ということが分かるような映画だと言ったそうです」と明かし、観客の笑いを誘った。

そして、そんなふたりの仲良しぶりを目撃したという大沢は「はじめて市川さんと会ったときはモデルみたいなだなと思ったんですが、トンボさん(綾瀬)とふたりで投げキッスをしながら遊んでいた時は、かわいいふたりだなと思いました」と明かし、会場を笑いで包んだ。「投げキッスなんかしてたっけ?」と思案顔の市川だったが、「初日から一カ月くらい開いてて、久しぶりだったから投げキッスをしたんだ(笑)」と納得した様子。そんな大沢との共演は「『こちらあみ子』という映画を観て、なんて魅力の塊の方なんだろうと思っていたんですけど、実際にお会いすると背が伸びていて大きくなられて。カッコいい方なんだなと思いました」としみじみ。その言葉に大沢も「20cmくらい伸びました」と照れくさそうに返答。綾瀬と市川も驚いた様子だった。

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大沢一菜

昨年、猛暑が続く中での撮影から始まり、ここ数カ月のプロモーションを経て、トンボ(綾瀬)とハル(大沢)の旅路もここでひと区切りとなる。そこでこの日、会場では綾瀬と大沢の撮影風景をコラージュした、特別メイキング映像「二人の夏休み」がスクリーンで上映された。

優しい時間の流れの中で、徐々に距離を近づけていくふたりの姿を描いた映像を観た綾瀬は「最初に映像を観た時に涙が出ました。いろいろと思い出して、本当にトンボとハルがいたのかなという感じがあって。年も違うのに、そういう違いをそんなに感じさせないような不思議なふたりだなと思って見ていました」としみじみ。大沢も「最初に観たときはすごく感動したから、1日に5回くらい観てます!」とお気に入りの映像であることを明かした。

そんな大沢のために、撮影から今日まで一緒に旅を続けてきた綾瀬が、サプライズでフォトアルバムを作成。アルバムを受け取った大沢は「宝物にします」と笑顔。綾瀬が「どういうのが好きなのかなと考えながらつくりました。ただもうちょっと絵を描き加えたいので、後で引きとらせていただいていいですか?」と付け加え、会場を沸かせた。

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(左から)綾瀬はるか、大沢一菜

そんな和気あいあいとした舞台あいさつもいよいよ終盤となり、最後のメッセージを求められた登壇者たち。まずは市川が「この映画は2回観ましたが、1回目はこの世界観に馴染む時間で、もう1回観た時に、人と人が出会い、人がもともと持っている本当のやさしさを感じて。そして人と人が出会うと必ず別れがあって、でもそれは決して悲しいことではなく、人はそれぞれの世界を持って生きているんだなと思ったんです。だからもう1回観ていただけたら、また違った風景が広がる映画なんじゃないかなと思います」と語ると、大沢が「わたしは昨日、公開日に映画を観てきたんですが、映画館で観ると、音楽や音にすごく魅了されたり、演技で(魅了されて)画面に入っていくのが好きなので、皆さんももう1回観てください」と語りかけた。

さらに綾瀬が「生きてるのか、死んでるのか分からないような不思議な人も出てきて、でも個々がそれぞれの意志を持っていて、みんながそれぞれに生きています。あまり死の世界も、現実の世界も、意外に区切りがないんじゃないかなと感じたり、あとは(大沢)一菜ちゃんが演じるハルがいつも自由で、いろんな変な人が出てきても否定せずにスッと受け入れてくれる。シンプルな言葉の中にやさしさがあって、わたしもハルみたいになりたいなと思う映画でした。また良かったら観に来てください」とメッセージ。

最後に森井監督が「この映画には、共鳴できる力があると思っていて、今回、トンボとハルというふたりが共鳴し合うことを描きたいと思ってつくりました。このふたりが過ごした特別な時間を、皆さんと共有できたらいいなと思ってつくりましたので、ぜひどこかでまた観ていただければ」とコメントした。

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森井勇佑監督

ストーリー
鳥取の町で清掃員として働いている女性・のり子(綾瀬はるか)は、いつもひとりぼっち。ある日、仕事で訪れた病院で、入院患者の理映子(市川実日子)から「姫路にいる私の娘をここに連れてきてほしい」と頼まれた彼女は、何かに突き動かされるように姫路へと向かう。のり子が見つけることができた少女・ハル(大沢一菜)は、森の中で秘密基地を作って遊ぶ風変わりな女の子だった。初対面ののり子の顔を見て、「トンボ」というあだ名をつけるハル。さまざまな人たちと出会いながら、姫路から鳥取まで一本道の国道29号線を進んでいく2人の旅がはじまった。

『ルート29』
出演:綾瀬はるか 大沢一菜 伊佐山ひろ子 高良健吾 原田琥之佑 大西力 松浦伸也/河井青葉 渡辺美佐子/市川実日子
監督・脚本:森井勇佑
原作:中尾太一「ルート29、解放」(書肆子午線)
主題歌:「Mirror」Bialystocks(IRORI Records / PONY CANYON)
製作:東京テアトル U-NEXT  ホリプロ ハーベストフィルム リトルモア
配給:東京テアトル リトルモア
(C)2024「ルート29」製作委員会

公式サイト:route29-movie.com/
公式X:@route29movie

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