【レポート】『せかいのおきく』着物姿の黒木華、寛一郎&佐藤浩市親子と池松壮亮ら豪華出演陣が完成披露試写会に登壇!

阪本順治による映画監督30作品目にして初の時代劇映画『せかいのおきく』(4月28日(金) 公開)の完成披露試写会が4月5日に都内映画館で行われ、主演の黒木華、共演の寛一郎、池松壮亮、佐藤浩市、企画&プロデューサー&美術監督の原田満生、そして阪本順治監督が登壇した。

目次

完成披露試写会 概要

日程:4月5日(水)
場所:テアトル新宿
登壇者(敬称略):黒木華、寛一郎、池松壮亮、佐藤浩市、原田満生(企画・プロデューサー・美術監督)、阪本順治(監督)

主人公・おきく役の黒木は循環というテーマを含んだ本作について「お話をいただいたときはウンチの話だとは知らなかった」とジョークで笑わせながら「凄くロマンチックな青春物語で撮影が楽しみでした」と興味津々。おきくを演じる上で阪本監督からは「おきゃん」というアドバイスがあったそうだが「普段聞かない言葉なので、どういうことだろうかと監督に聞きながら演じていきました」と撮影を振り返った。これに阪本監督は「おきゃんって聞かない?要するに、ずけずけと大人にモノを言ったりする、活発な人という意味です」と解説していた。

中次(ちゅうじ)役の寛一郎は「環境問題もさることながら、もう一つのテーマである“循環”と言うところに興味を持ちました。僕が演じた中次はある世代の代表的役柄でもあるので、自分の立ち位置を考えながら演じました」と回想。矢亮(やすけ)役の池松は「社会問題と映画を結び付けられることができるということを映画で見せていけるのは素晴らしいこと。この企画自体が素晴らしい取り組みだと思った」と意義ある参加だと述べた。

撮影中、寛一郎と池松には裸の付き合いがあったという。池松が「体が汚れるところがあって、そんなシーンの撮影後には2人でお風呂に入って体を流したりした」と振り返ると、寛一郎は「毎日一緒にお風呂に入るのが日課でした。撮影で使ったウンコは実際に発酵させているので臭いんです」と苦労も。これに原田は「撮影で使われているものは、段ボールやお麩で作りました」と舞台裏を紹介した。

おきくの父・源兵衛(げんべえ)役の佐藤は、長男である寛一郎が横にいることにソワソワしているのか、「この並びが嫌だなあ。恥ずかしいなあ」と阪本監督の背後に隠れようとしたりするも「見たことがあるようでない時代劇が出来た」と胸を張る。常連の阪本組だが「あの時代を生きる若者たちと時代の終わりを悟りながら消えていく者たちの人間ドラマが上手く取り込まれていて、僕はその世界の中で楽しく遊ばせていただきました」と充実した表情を浮かべた。

企画&プロデューサー&美術監督の原田は本作誕生の経緯を「自分が大病を患ったり、コロナ禍になったり、価値観が崩壊する中でどうやって生きてどのように映画と向き合っていこうかと思った時期に、環境問題への関心が生まれた。循環というテーマで映画を作れないかと思って立ち上げたYOIHI PROJECTの第1弾となる映画が本作」と説明した。

本作はロッテルダム国際映画祭のプログラマーから「今までの時代劇にはない全てがある」と称賛された。これに阪本監督は「海外では日本の時代劇というと侍が馬に乗って街道を駆け抜けるイメージがあるが、最下層に生きる若者を主人公にしたという点が目新しかったのではないか」と分析しながら「淡い恋愛を含めた娯楽作品にしなければと思うと同時に、コロナ禍の閉塞感もあって、やけクソでクソ真面目に撮りました」と言葉に力を込めていた。

江戸時代のいのちの巡りを描き、現代そして未来へ大切なテーマを運んでくれるような本作にちなんで「100年後にも絶対に残っていて欲しいもの」をそれぞれ発表。黒木は「映画・舞台」、池松は「平和」、佐藤は「劇場」と返答した。一方、寛一郎は「DNA」と書いて「今回のテーマである“人が受け継ぐ”という意味もそうだし、横に父がいるのでなんですが、このいまいましいふざけた佐藤家のDNAが100年後も残っていて欲しいと思って」とひねくれつつもサラブレッドとしての誇りを口にし、父・佐藤は「コラ!」と叱りながらも表情を緩めていた。

最後に主演の黒木は「映画を愛している人たちが集まって3年かけて作った作品。愛と希望の詰まった作品なので、色々な方に伝わったら嬉しいです」とヒットを祈願していた。

イントロダクション
物語の背景には、糞尿を肥料として農業に用いるなど、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の最先端にあった江戸時代の日本の風景が重ねられている。日本を代表する美術監督であり、本作で企画・プロデュースを務めた原田満生は「この映画で観る人の環境意識が変わるとは思わないが、こんな時代があったことを多くの人たちに、特に若い世代の人たちに知ってもらいたい」と語っている。

ストーリー
日本が世界の渦に巻き込まれていく江戸末期。寺子屋で子供たちに読み書きを教えているおきくは、ある雨の日、厠(寺所有の公衆便所)のひさしの下で、雨宿りをしていた紙屑拾いの中次(ちゅうじ)と、下肥買いの矢亮(やすけ)と出会う。武家育ちでありながら今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事につく中次と矢亮。侘しく辛い人生を懸命に生きる三人はやがて心を通わせていくが、ある悲惨な出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失ってしまう…。

作品タイトル:『せかいのおきく』
出演:黒木華 寛一郎 池松壮亮 眞木蔵人 佐藤浩市 石橋蓮司
脚本・監督:阪本順治
製作:FANTASIAInc./YOIHI PROJECT
制作プロダクション:ACCA
配給:東京テアトル/U-NEXT/リトルモア

映画公式サイト:sekainookiku.jp
映画公式Twitter:@okiku_movie
「YOIHI PROJECT」公式サイト:yoihi-project.com
コピーライト:(c)2023 FANTASIA

2023年4月28日(金) GW全国公開

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