『ローマに消えた男』で数多くの国内外の賞を受賞したロベルト・アンドー監督最新作、『修道士は沈黙する』が3月17日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開中。
イタリアの政界を背景にした風刺劇『ローマに消えた男』のロベルト・アンドー監督は今回、“物質主義vs精神主義”を題材に選び、バルト海に面したリゾート地の高級ホテルで開かれるG8(先進国首脳会議)を舞台にしたスタイリッシュで知的なミステリー。
このたび、本作『修道士は沈黙する』の公開を記念し、ジャーナリストの堀潤氏のトークイベントが4月5日に行われた。
『修道士は沈黙する』公開記念トークイベント概要
【日 程】4月5日(木)21:30~22:00
【会 場】渋谷Bunkamura 6Fル・シネマ(渋谷区道玄坂2-24-1)
【登壇者】堀 潤 さん(ジャーナリスト・キャスター)
観客の前に拍手で迎えられると、「なかなか、難解な映画ですね、僕は2回観ました。あれはどういうことだったのか、どういう解釈があるのか非常に悩みました。」とトークを開始。
MCより最初に観た時の率直な感想を求められると、堀は「倫理観とは何なのかというのが経済でも社会でも、ある宗教家に背負わせることによって私たちを導いていくような映画でした。私たちがもう一回問いただすべきものは、自分自身の倫理観の仕組みの中に一人の加担している当事者にもなりえるということ、と想起しながら観ることに結果的にはなりました。」と答えた。また、映画の重要な要素である“告解”については、「映画の中にあった告解のシーンはいじらしくも非常に抽象的な私たち自身の、心の内側を描いているのかなと思いました。」と述べた。
また、印象に残ったシーンについて、「鳥のシーンは印象的に残っています。鳥のさえずりが聞こえるシーンの見方は二つあると思っています。一つ目は、本来我々は何物にも縛られることなく、自由である。支配的構造の一要因ではなくて、飼いならされている何かではないはずなんだ、その声は聞こえているのか、というまさに小さなさえずりの描き方です。二つ目は大きな力、大きな仕組みの歯車が回っている中でまさにペットのように飼いならされてしまう、私たちはしっかりと思考しているのかといった小さな声の描き方です。こういった両面性があるのかなとかなり深読みしながら観てしまいました。」と自身の見解を述べ、「監督といつかお会いすることがあったらぜひディスカッションしてみたい。」と明かした。
トークがさく裂する中、ジャーナリストとしてG8の会議を取材した経験を聞かれると、堀は「NHK最後の2年間、経済番組を担当していたのでスタジオとG8の現場とを中継でつないだりはしました。」と自身の経験を語り、最後に映画を観終わった直後の熱気ある観客からの質問にも丁寧に答え、トークを締めくくった。
美しきドイツの高級リゾートホテルを舞台に繰り広げられる知的ミステリー
ストーリー
バルト海に面した高級リゾート地ハイリゲンダムで開催されるG8財務相会議の前夜、国際通貨基金専務理事のダニエル・ロシェは各国の財務相に加えて、異色の3人のゲストを招いて自身の誕生祝いを開催する。会食後にロシェはゲストの一人、イタリア人修道士ロベルト・サルスを自室に呼び、告解をしたいと告げるがその翌朝、ビニール袋を被ったロシェの死体が発見される。自殺か他殺か?告解を受けたサルスは口を噤む中、警察の極秘捜査が続けられていく。発展途上国の経済に大きな影響を与えかねない重要な決定を発表する記者会見の時間が迫ってくる。各国財務相の政治的駆け引きに巻き込まれたサルスは、ロシェの葬儀で自らの思いを語り始めるのだった。
作品タイトル:『修道士は沈黙する』
出演:トニ・セルヴィッロ/ダニエル・オートゥイユ/コニー・ニールセン/モーリッツ・ブライプトロイ/マリ=ジョゼ・クローズ
監督・原案・脚本:ロベルト・アンドー
原題:Le confessioni /字幕:寺尾次郎
後援:イタリア大使館/在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
特別協力:イタリア文化会館 協力:ユニフランス
2016年/イタリア=フランス/イタリア語・仏語・英語/カラー/108分/シネスコ/ドルビーデジタル
配給:ミモザフィルムズ
公式サイト:shudoshi-chinmoku.jp
コピーライト:(c)2015 BiBi Film-Barbary Films
2018年3月17日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開中