『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(11月3日(金)公開)の完成披露上映会に、主演の深川麻衣、井浦 新、穐山茉由監督が登壇した。
『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』
完成披露上映会 概要
日時:10月10日(火) 18:30~19:00(30分) ※本編上映前舞台挨拶
登壇者(※敬称略):深川麻衣、井浦 新、穐山茉由監督
会場:TOHOシネマズ日本橋 スクリーン7
本作は、元SDN48で現在作家として活動する大木亜希子による同名実録私小説の映画化。
深川演じる元アイドルの安希子は、仕事なし・男なし・残高10万円で人生に詰んだどん底アラサー。メンタルが病み会社を辞めた安希子は、友人のヒカリ(松浦りょう)から勧められ、井浦演じる56歳サラリーマン・ササポンとルームシェアすることに…。一軒家で同居生活をスタートさせた安希子とササポンの、奇妙だが愛おしい日々が描かれる。
やさぐれ感がありつつも、チャーミングに安希子を演じた深川自身も、乃木坂46に所属していたことに加え、設定年齢も近い。役を演じるにあたっての思いを聞くと、深川は「原作を読んで、まずものすごく強く共感しました。30歳前後は女性にとっては特に、人生の転機や揺らぎやすい年代でもあると思います。私も乃木坂46を卒業してから今の仕事になり、セカンドキャリアという面では同じで。“もしうまくいかなかったらどうしよう、評価が得られなかったらどうしよう”という焦りや不安は抱えていたので、とても共感できました」と安希子に寄り添った。
そんな安希子と同居する赤の他人のおっさん・ササポンを演じ切った井浦は、脚本を読んだときの印象を聞かれると「第一印象で温かい気持ちになれる作品だなと思いました。ササポンは実在する人物なんですけど、読めば読むほど妖精のような存在で…」と言うと、隣の深川も同意の笑みを浮かべた。井浦は続けて、「どうやって文字の妖精から人間にしようかと。僕がササポン役をやるのは一つの大きなやりがいだなと感じました」と語った。
撮影にあたって、深川も井浦も穐山監督と丁寧にすり合わせを行ったという。深川は「安希子の空回り具合、詰んでる具合をどこまでどう出すか、監督とすり合わせながら撮影しました。メイクのことで言うと、二日酔いでちょっと失敗をして、そのまま家に帰ってきてメイクも落とさず寝てしまった次の日の落ち具合(がこだわり)。コメディになりすぎない塩梅で、リアルなマスカラの落ち具合を細かいけど研究しました」と熱弁した。
ササポンのトレードマークであるステテコも、とにかくこだわり抜いたという。「どこかの量販店やデパート、スーパーに行けば、もしかしたら売っているかもしれないだろうステテコを、わざわざ特注で作っていただいたんです」と井浦が明かすと、会場からも驚きのあまりザワつきが。穐山監督も「そうなんです。スタイリストさんとスーパーなどで見てもらったんですけど、グッとくるものがなくて。特注のステテコを作りました」と語った。
井浦によると「初日にはだいぶちゃんと使い古されたように加工してあって。“何年目のステテコだな”という状態でした」と体になじむ仕様になっていたという。その他ササポンの眼鏡もわざとゆがませているなど、造形の細部へのこだわりまで明かしていた。
同居生活を送る安希子とササポンのやり取りは劇中いくつも見られ、そのたびに心が温かくなったり、ほっこりとさせられる。思い出のシーンやエピソードについて話が及ぶと、深川は「お茶の間で二人がスイカを食べているシーンが大好きなんです。長い会話だったんですけど、すごく自然な流れで空気感をつなげたまま撮影してくださって。内容ややり取りもすごくグっとくる、安希子が心を開く瞬間でもあったので大好きなシーンです」と振り返り、愛おしそうに微笑んだ。
続けて井浦も「僕もスイカのシーン」としながらも、意外な撮影の苦労もあったという。「おうちのシーンは基本二人なんですけど、大体長回しで頭から最後まで撮っていくんです。毎回“長いな”と思いながらやっていました(笑)。でも俳優としては止めないでやっていくほうが集中力もキープされているし、一番いい状態の集中度をもってお互いセッションできるので好きなんです」と思い出を語り、「監督の映画作りの妙や、一連でやらせたのにこんなに編集いれたんだなとか、いろいろな角度で楽しめると思います」とリピーター向けの映画の楽しみ方も提案していた。
そしてイベント終盤では、本作のタイトルにかけて「あ、今、詰んだな…」と思うエピソードを3人が発表することに。
トップバッターの穐山監督は「安希子と同じくらいの20代後半のとき、結婚に憧れていて結婚しようとしたんです。けど、自分から婚約破棄をしてしまった」と爆弾発言(?)。深川が思わず「え~~!」と目を見開くが、穐山監督は「それが一番大変…自分でびっくりしました。ヘビーな話ですみません(笑)」と言うと、井浦も「笑っていい話(笑)?」と突っ込んだ。
続く井浦は「どのヘビーなエピソードを出そうかなあ…?」と笑顔で思案。そして「せっかくなので、この作品にちなんだ詰んだ話を。ササポンが劇中でピアノを弾くんです。それが本当に大変で…!テクニカルな部分が自分の中で納得できない状態で現場に行く状況、わかります?」と深川に振ると、深川も「耐えられないですね!」と同意。井浦は「消えてなくなりたいじゃないですか。家で練習しているときは1回も成功しなくてどうしよう、と。でも監督は“絶対に本人にやってもらいたいので!”と言い張るので、自分も悔しいから絶対当日までに弾けるようにします、とやりました」と本作に懸ける熱い意気込みも伝わるエピソードを語った。
そして深川は、「“わ、詰んだ!”と本当に思ったのは、仕事で東京の青い海と書いて“青海駅”に集合だったんです。でも青い梅の“青梅駅”に間違えて行ってしまって…!集合場所で誰も人影がなくて“あれっ”となって確認して、違うことに気づいて慌てて青海駅に向かいました。電車で2時間くらい距離があるんですけど、2時間地獄で…」と身振り手振りを交えてトーク。井浦は「青梅まで時間あったけど気づかなかったの!? 東京の海サイドが東京の山サイドに行っちゃったね(笑)」と優しくコメントした。
最後に、来月に迫った映画公開に向けて、穐山監督は「アラサーの女性だけでなく、現代で生きる人の生きづらい気持ちの背中をちょっと押してくれる映画です。幅広い方に観ていただけたらうれしいです」と語った。
井浦も「皆さんにとっての大切な何かを見つけることや、一生懸命生きる力になるような、この作品自体が寄り添えるような、何かのきっかけになるような作品になれたら、大変幸いです」と心を込めた。
そして、深川が「映画を観てくださった方から“こんな毒を吐いている主人公はいない”という言葉をいただくんです。人としての弱い部分や心の底のドロドロした部分、そういう気持ちはダメなのかなと抑えてしまいがちだけど、弱い自分もそのままでいいんだよと丸ごと肯定してくれるような映画になっています。今はSNSとかもいろいろあって、比べたくなくても勝手に情報が入ってどうしても人と比べてしまう状況が多いと思うんです。けど、一人一人そのままでいいんだよと伝えてくれるような映画です。安希子と同じように大小あれど詰んでいたり、壁に当たっている方がいたら、少しでもその方の気持ちを楽にしてくれる映画だといいなと思います。感想お待ちしています!」と呼びかけると、場内からは温かい拍手が起こった。
ストーリー
元アイドルの安希子(深川麻衣)は、幸せで充実した人生を歩んでいると自分に言い聞かせながら、仕事もタフにこなしているつもりだったが、ある日の通勤途中、駅で足が突然動かなくなってしまう。
メンタルが病んで会社を辞めた安希子は、家賃5万円の風呂なしアパートで、仕事ナシ、男ナシ、残高10万円の現実を前に、「人生詰んだ…」という思いに包まれていた。そんなとき、友人のヒカリ(松浦りょう)から勧められたのが、都内の一軒家で一人暮らしをする56歳のサラリーマン、ササポン(井浦新)との同居生活。
意外な提案に安希子は戸惑いながらも、ヒカリの「家賃は、風呂付きで3万円」との言葉に背中を押されて、まさかのおっさんとの奇妙な同居生活をスタートさせ…。
作品タイトル:『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』
出演:深川麻衣
松浦りょう 柳ゆり菜 猪塚健太 三宅亮輔 森高愛 / 河井青葉 柳憂怜
井浦新
原作:大木亜希子「人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした」(祥伝社刊)
監督:穐山茉由
脚本:坪田文
主題歌:ねぐせ。「サンデイモーニング」
音楽:Babi
製作幹事:KDDI
制作プロダクション:ダブ
配給:日活/KDDI
公式サイト:tsundoru-movie.jp
公式Twitter:@tsundoru_movie
公式Instagram:@tsundoru_movie #つんドル
コピーライト:(C)2023映画「人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした」製作委員会
11月3日(金)全国公開
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