【レポート】『アップグレード』トークイベントに清水崇監督×大森望氏登壇!ジェイソン・ブラムへのプレゼン秘話とは?

アップグレード

世界が注目するクリエイター ジェイソン・ブラム×リー・ワネルが贈るSFアクション『アップグレード』が10月11日(金)より渋谷シネクイント、新宿シネマカリテにて公開となる。

この度、本作の公開を記念して、映画監督の清水崇氏と翻訳家・書評家の大森望氏を招いたスペシャルトークイベントが開催された。本作のプロデューサー・“恐怖の工場長”ジェイソン・ブラムに清水監督がプレゼンした際の裏話や、大森氏のによるSF映画愛溢れるトークイベントに会場は盛り上がりを見せた。

目次

『アップグレード』 スペシャルトークイベント 概要

日時:9月26日(木)
登壇者(敬称略):清水崇(映画監督)、大森望(翻訳家・書評家)
場所:アキバシアター

頭から上は常人と変わらないにも関わらず、AI「STEM」に身をゆだねることで機械的かつ斬新なアクションが繰り広げられる前人未到のハイ・ディメンション・SFアクション『アップグレード』。試写会で本作を2回も観たというほど本作に惚れ込んだ清水監督「単純にシンプルに面白かった。古き良き80年代が舞台のストレンジャー・シングスとかブームになっていますけど、ブームになっている割にそうじゃなくね?っていう感じもあるんです。実際に80年代に青春を過ごしてきたので、『アップグレード』はその当時の匂いがするんです。ターミネーターやロボコップのような」とその理由を熱く話した。

大森氏「AIをテーマにしたものってまたここ最近凄く流行ってて。ターミネーター以降ですけど、AIの反乱ものっていう作品はたくさんあるのでまたそのパターンだろうなと思ってたら、新しいアイディアがいっぱい入ってて、体の中にAIがいて自分の体の制御が乗っ取られるっていうアイディアがとても面白くて、それがアクションの見せ方と結びつくところが肝かなと思います。普通の人間にはできない気持ち悪い動きをかっこよく見せる映画」と分析。さらに「今日的な問題で主人公が全身まひになってどうするかっていう時に、実際に研究して脳の意志の力で体をある程度動かしたりコミュニケーションを取れるようにするというのは現実に開発されている。そしてその少し先を行っている映画」と説明を加えた。

気に入った描写について大森氏「主人公のグレイが冒頭でファイヤーバード=不死鳥という名の車を修理しているんだけれど、今度は事故から自分が不死鳥のごとく蘇る話になるっていうのが描かれている」と指摘し会場のお客さんを驚かせた。またグレイにAIのSTEMを埋め込む巨大企業の科学者エロンについては、AI(人工知能)技術を駆使してテスラ車両の自動運転化を進め、脳とコンピュータを接続させる事業を手掛けるスタートアップ企業を設立した「イーロン・マスクがモデルだろう」と推測した。

ハリウッド作品としては制作費が約5億円というかなりミニマムな予算で制作されたことを聞いた清水監督「凄いです、巧いんですよ」と予算の少なさを感じさせない演出を称賛。大森氏「ジェームズ・キャメロンはお金がないからいかにしてアイディアと自分の得意なSFの部分と話の面白さで作ったのがターミネーター、それに似ている」と過去の名作と比べた。俳優に着けたカメラの映像などを駆使した斬新なアクションシーンも見どころだが、大森氏は「アクションに新しい次元の動きを付け加えた感じ」清水監督「凄いアクションなのに体が操られてるから顔が戸惑ってて、すごい演技だなと思った」と印象を語った。

リー・ワネル監督がターミネーターやロボコップを参考に本作の製作に取り組んだことについて「両作品の要素を持っているんだけれど、これはサイボーグ化されてもチップ自体が自律的な意志を持っているのが面白い」大森氏。主人公の相棒となる人工知能の“STEM”については、清水監督がこの映画で1番ツッコミたい部分らしく「ほんとにクマムシみたいな造形だし、どうしてブチっと潰さなかったんだ!でもそこが好き」と笑いを誘った。

AIが人間の能力を上回ってしまうシンギュラリティ(技術的特異点)という概念について…2045年問題とも言われているが、これについては森氏「人間が追い付けないAIはすでにできている。2045年問題はAIとAIが会話しだして人間が到底追いつけないところに行ってしまい、滅ぼされてしまうんじゃないかと危惧される一面もある。いろんな映画で描かれてきたし、SFの元祖も人類が作ったものに滅ぼされてしまうこと。でもAIがそうする必要性は無いし、もちろん人間の立場ではそう考えてしまう」と見解。

今やジャンル映画界に欠かせない存在の「ブラムハウスプロダクションズ」を立ち上げた“恐怖の工場長”ジェイソン・ブラムに清水監督は会ったことがあるらしく「5年くらい前に日本の原作のものでプレゼンしに彼の自宅に行ったんだけど、彼も乗り気でやろうということになった」そうだが、「彼がこれでやろうと提示した予算ではできない」と念願のタッグは叶わなかったそう。終始笑いの絶えないトークイベントとなった。

アップグレード

2018年 サウス・バイ・サウスウエスト ミッドナイターズ部門 <観客賞> 受賞
第51回 シッチェス・カタロニア国際映画祭
オフィシャル・ファンタスティック・コンペティション部門 <観客賞> 受賞

ストーリー
近未来。グレイ・トレイス(ローガン・マーシャル=グリーン)は妻のアシャ(メラニー・バレイヨ)と仲睦まじい日々を送っていた。しかしある日、謎の組織に襲われ、最愛の妻を失い、自身も全身麻痺の重症を負ってしまう。失意の中、巨大企業の科学者がある提案をされる。彼の目的は、実験段階にある「STEM」と呼ばれる最新のAIチップを人体に埋めることだった。手術の結果、グレイは再び体を動かすことができるようになる。そればかりか、「STEM」に身をゆだねると人間離れした動きができるようになり、人間を超越した身体能力を手に入れてしまう。さらに、「STEM」は頭の中の相棒としてグレイと対話するようになる。身体能力を<アップグレード>されたグレイは手に入れたこの力を駆使して「STEM」と共に妻を殺害した組織に復讐を誓うのだが―。

アップグレード

作品タイトル:『アップグレード』
出演:ローガン・マーシャル=グリーン、メラニー・バレイヨ、スティーブ・ダニエルセン、アビー・クレイデン、ハリソン・ギルバートソン、ベネディクト・ハーディほか
監督・脚本:リー・ワネル
製作:ジェイソン・ブラム
2018年/アメリカ/カラー/スコープサイズ/英語/原題:UPGRADE/95分
配給:パルコ

公式サイト:UPGRADE-MOVIE.JP
公式Twitter:@UPGRADE_MOVIE
コピーライト:(C)2018 UNIVERSAL STUDIOS

10月11日(金)より渋谷シネクイントほか全国ロードショー

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製作:ジェイソン・ブラム×監督:リー・ワネルが贈るSFアクション『アップグレード』10月11日(金)公開決定!

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