映画『ビニールハウス』(3月15日(金)公開)の日本最速上映会が、2月29日(木)シネマート新宿にて開催され、主演を務めるキム・ソヒョンと、監督・脚本・編集を手掛けたイ・ソルヒ監督が上映会後のトークイベントに登壇した。
まず本作の脚本を読んで出演を決めたというキム・ソヒョンは、貧困や孤独、高齢者をめぐる介護や認知症といった社会問題を鋭く切り込んだ本作について「他人の話とは思えませんでした。過去に自分が感じたことがこの物語に込められているように感じましたし、未来の自分のことかもしれないというふうに思い、涙を流しました」とコメント。
本作が長編初監督作となるイ・ソルヒ監督は、キム・ソヒョンに特別な演技指導はしなかったと明かし、「このような俳優さんに再び出会えるかなと思うくらい、ムンジョンのことを深く理解していて、とても驚かされました」と応えた。キム・ソヒョンは「ムンジョンは不幸に見えるかもしれませんが、ムンジョンの人生を受け入れながら、幸せでいたいという自分の気持ちを重ねていたんです。なので辛く感じられなかったんです」とムンジョンのキャラクターを分析。
イ・ソルヒ監督は「私自身、ビニールハウスがたくさんある園芸団地で生まれ育ったので、馴染みのあるビニールハウスを題材に選びました。タイトルも『ビニールハウス』にしたのは、ムンジョンを代弁しているようなものだと思ったんです。黒いビニールで覆われているビニールハウスは中が見えそうで見えない。透明なようでよくわからないという感情をムンジョンを通しても感じてもらいたいと思ったんです」とコメントした。
また第27回釜山国際映画祭で3冠を獲得するなど、2023年の韓国映画賞に旋風を巻き起こしたことに対してキム・ソヒョンは「脚本を読んだ時点で、賞をいただくような作品になると感じました。賞をいただけたのは監督が素晴らしいシナリオを書いたからであり、私はそれに乗っかって賞をいただけているのではないかと思います」とコメント。さらにイ・ソルヒ監督について「良い友人に出会えたなと思います。期待できる監督として今後ますます活躍していってほしいと心から願っています。本当に愛しています」と告白すると、イ・ソルヒ監督は「私も愛しています」と応え、仲睦まじいやりとりに観客から拍手が巻き起こる一幕も。
さらに会場に集まったキム・ソヒョンのファンからの質問コーナーで、日本で行ってみたい場所を聞かれると、キム・ソヒョンは「東京タワーです。東京タワーが描かれたとても好きな映画があり、東京に来る度に東京タワーに訪れています。そして寿司が大好きです(笑)」と解答。さらに19歳になる愛犬との生活について「ムンジョンのように、私も介護人として愛犬をケアする人生を過ごしています。幸せに余生を全うできるように見送りたいと思っています」と明かした。
イ・ソルヒ監督は今後の展望について、「私は実は面白い人間なので、コメディを撮ってみたいと思っていたんです。自信があったので、コメディの脚本をプロデューサーに見せたのですが、これはダメですねと言われてしまい、再び犯罪スリラーの脚本を書いています(笑)。皆さんにはたくさんの期待を寄せていただけたら嬉しいです」とトークを締めくくった。
ストーリー
ビニールハウスに暮らすムンジョンの夢は、少年院にいる息子と再び一緒に暮らすこと。引っ越し資金を稼ぐために盲目の老人テガンと、その妻で重い認知症を患うファオクの訪問介護士として働いている。そんなある日、風呂場で突然暴れ出したファオクが、ムンジョンとの揉み合いの最中に床に後頭部を打ちつけ、そのまま息絶えてしまう。ムンジョンは息子との未来を守るため、認知症の自分の母親を連れて来て、ファオクの身代わりに据える。絶望の中で咄嗟に下したこの決断は、さらなる取り返しのつかない悲劇を招き寄せるのだった――。
『ビニールハウス』
出演:キム・ソヒョン、ヤン・ジェソン、シン・ヨンスク、ウォン・ミウォン、アン・ソヨ
監督・脚本・編集:イ・ソルヒ
2022年/韓国/韓国語/100分/カラー/2.39:1/5.1ch
原題:비닐하우스
字幕:大塚毅彦
配給:ミモザフィルムズ
(c) 2022 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:https://mimosafilms.com/vinylhouse/
公式X:https://twitter.com/vinylhousefilm
3/15(金)よりシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
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