『Viva Niki タロット・ガーデンへの道』のトークイベント付き完成披露試写会が9月10日(火)、東京の日比谷図書文化館 日比谷コンベンションホールにて行われ、ナレーションを務めた小泉今日子、黒猫同盟として小泉とエンディング曲を制作している上田ケンジ、そして松本路子監督が登壇した。
オノ・ヨーコや草間彌生をはじめとした世界で活躍する女性アーティストを撮影してきた写真家・松本路子が初監督を務めた本作は、20世紀を代表するアーティスト、ニキ・ド・サンファルの作品を訪ねて世界を旅するドキュメンタリー映画。
イベントのこの日、小泉は黒猫同盟の活動の時につけているという猫耳カチューシャで登場。会場が大きな拍手で包まれる中、撮影・脚本も手掛けた松本監督は「ニキというひとりのアーティストの生涯を辿ることで、自分自身の来た道も辿ってみたいという思いで、この映画を作り始めました。私は50年間、写真家として仕事をしてきましたが、映画を撮るのは初めてです。ニキの作品は動く彫刻や大きな建造物が多く、これは写真ではなく動画で撮ってみたい、冒険してみたいと気持ちがありました。何とか完成して、今日皆さまに映画を観ていただけることがとても嬉しいです」と挨拶をした。
松本監督の写真集の感想を、小泉がポッドキャスト「ホントのコイズミさん」で語っていたことをきっかけに、松本監督がナレーションを依頼し、今回のコラボレーションが実現。
小泉はその経緯について「私が仕事を引き受けるときに一番心が動かされるのは、作っている人の想いや純度が伝わってくること。松本さんからメールをいただいて、私にできることがあるのであれば、という思いで参加させていただきました。でも録音が終わると「上手にできたのかな?」と、どんな仕事でも不安になります」と明かした。
その言葉を受け、松本監督は「すごく素敵なナレーションなんです。小泉さんと私はこれまでにまったく接点はなかったけど、「ホントのコイズミさん」で優しくて柔らかくて、それでいて凛としている声を聞いて、直観的に「小泉さんしかいない!」と思ってオファーをしました」と語り、微笑み合った。
黒猫同盟が手掛けたエンディング曲「Viva Niki」について、上田は「世界を旅するアイリッシュブズーキという珍しい楽器を使っています。ニキと共通点があると思って、まずこの楽器で作ろうという発想からできた曲です」と語り、「オリエンタルな音階を入れました」と明かすと、小泉も「一曲のなかにいろいろな表情がありますよね。旅をしているみたいに感じる曲になったよね」とコメントした。
フェミニズムという観点からのみでなく、生涯にわたって既成概念と闘ってきたアーティスト、ニキ・ド・サンファル。自身のアーティスト活動と共通することはあるかという質問に、小泉は「ニキの射撃アートは対象物を撃ちながらも、自分自身を撃っている。私たち創作活動をする者は、定期的に自分を撃って壊さないと、次のものは生まれないんです」と共感を示し、「アーティストがあの作品を観たらそのように感じるんじゃないかな」と語ると、上田も「明日何も思い浮かばなくなったらどうしようという恐怖心といつも戦っていますね」と同意した。
最後に松本監督は「ニキの作品は遊び心に満ちていて、その背後に哲学的なものが感じられる」「撮影のために33年ぶりにタロット・ガーデンに訪れたのですが、当時、建設を手伝っていた村の若者たちが、切符売りやメンテナンスをしていたんです。未だにタロット・ガーデンを守っているということに感動しました。ニキは「タロット・ガーデンは人を幸せにする場所」と呼んでいますが、私自身も幸せを貰いました」とニキの作品の魅力を熱く語った。
小泉も「ニキ本人もとても魅力的な方だと思いました。本当にタロット・ガーデンへ行って冒険してみたいです。みなさんもタロット・ガーデンへ旅行に行かれてみてはいかがでしょうか」と観客にメッセージを送った。
『Viva Niki タロット・ガーデンへの道』は9月25日(水)より東京都写真美術館ホール、9月27日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開。
ストーリー
20世紀を代表するフランス生まれの造形作家、ニキ・ド・サンファル。彼女は創作活動の集大成として、イタリア、トスカーナに20年の歳月をかけて彫刻庭園「タロット・ガーデン」を創り上げた。ニキと10年以上にわたり交流してきた写真家、松本路子が、その奇跡の庭園を訪れ、これまでに撮影した貴重な写真や新たに撮り下ろしたニキ作品の映像、関係者へのインタビューを通して、ニキの歩んだ道を辿る、日仏二人のアーティストの軌跡が交差した至福のドキュメンタリー。
『Viva Niki タロット・ガーデンへの道』
監督・撮影・脚本:松本路子
ナレーション:小泉今日子
編集:池田剛
音楽監修:青柳いづみこ
オリジナルエンディング曲:黒猫同盟(上田ケンジと小泉今日子)
製作:ニキの映画を創る会
助成:ポーラ美術振興財団、クラウドファンディングPLAN GO、藤田晴子の会、上野千鶴子基金
後援:ニキアート財団 グラフィックデザイン:辛嶋陽子
2024年/日本/日本語/76分/カラー&モノクロ/1.78:1/ステレオ
配給:ミモザフィルムズ
(C)2024 Niki Film Project All Rights Reserved.
公式サイト:https://nikifilm-project.com/
9月25日(水)より東京都写真美術館ホール、9月27日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開
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