映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』(公開中)の舞台挨拶に、ダブル主演を務めた黒木華、柄本佑、堀江貴大監督が登壇した。
イベント概要
日時:10月3日(日)15:15~15:45
登壇者(敬称略):黒木華、柄本佑、堀江貴大監督/MC:奥浜レイラ
会場:新宿ピカデリー シアター3
公開から約1ヵ月が経ち、客席が100%に戻った後の舞台挨拶に、堀江監督は「こんなにたくさんの方に観て頂けるのがうれしいです。」と挨拶。続いて佐和子を演じた黒木も「こうやって皆さんと空間を共有できることが本当にうれしいなと思います。今日は楽しんで帰ってください。」と話し、続いて柄本も「舞台挨拶は3回目になりますが、すごいですね。1席あけじゃない感じ。」と久しぶりに満席になった劇場を見て喜びを口にした。
周囲から届いた感想や反響について問われた堀江監督は「この作品は、田舎が舞台で、あまり人がたくさん出てこない、静かな映画だと思いますが、それが緊張感を強いることなく、お客さんが笑っていたと知り合いから聞いて、ああ劇場で笑いが起きる映画なんだと思い、うれしかったです。」と語る。
そして、佐和子が素晴らしい、何考えているかわからないのに俊夫への愛情も感じる、といったキャラクターへの反応・感想を聞いた黒木は「金子大地さん演じる新谷先生とのシーンでは一緒にいられるのがうれしい、という素直な表現を意識しました。俊夫(柄本佑)さんといるときは、その動きを見ながら、この人は今何を考えているんだろうと考えながら演じました。」と述懐。また佐和子を演じる上で細かく注意した部分を聞かれると「トンネルを抜けたあとの表情は、細かく目線を変えていました。」と明かし、柄本も「セッティング中も細かく段取りして、このセリフまでは目があってて、どこかのタイミングで目をそらして…といったことをやりましたよね。あのシーン、“俺めっちゃカッコよく嘘ついてるな”って気持ちで演技してました(笑)」と佐和子が俊夫を問い詰めるシーンでの2人のやり取りを明かした。
そんな詰められる“俊夫”について、柄本は「それにしても俊夫君、詰めが甘すぎるよね」と指摘。俊夫を演じるにあたって意識したことを聞かれると、いつもそんなに理詰めでは演技しないと話した上で「今思ってみたら、俊夫を象徴する表現としてあるのが、いよいよ佐和子と話し合ってくると言って2階に上がるシーン。佐和子先生は俊夫にいつも感謝してるんですよ、って新谷に言われて、ピタっと箸が止まる。そこで実は俊夫はオクラをもっていて、監督に、オクラを食べてから上がるか、食べないであがるかを聞いたんですが、そしたら食べましょうと。俊夫はオクラを食べてからあがるようなやつ。そんなだから不倫もしちゃう。そういう人間性だったのかなと思います。」と具体的なシーンを交えて憎めない俊夫について振り返った。
さらに、新谷先生(金子大地)が佐和子の実家に現れたシーンの段取りでの俊夫の座り位置について、黒木が「そこ座る?」と笑いをこらえていたことを明かすと、「俊夫はやらかしてるから、絶対あそこに座っちゃいけないんだけど、まじめに間違えていく男だからああなりました。」と語り、黒木は「旦那だっていう自覚はまだあるんだ(笑)」とツッコみながら、俊夫は本当に目の前のことに素直に反応する人なんだと感じたと話した。
本作の虚実の境目を曖昧にする演出の一環である、劇中の衣装でのこだわりについて聞かれた堀江監督は、佐和子が新谷先生と俊夫に会う時で服装の色合いが変わっていたり、俊夫が冷や汗を流すシーンではあえてグレーのTシャツを使用して汗が目立つようにしたことを話すと、黒木は「ピアスも夫の前ではしてないんですよ。スカートもはいてない。」と話し、柄本は「そういうことしてるのね、あなた。」と軽妙に返し会場を沸かせた。
そして、そんな佐和子の変化に気づく佐和子の母親(風吹ジュン)が、俊夫の不倫を最初から知っていたかどうかの話になると、堀江監督は「最初はすべてに気づいてるわけじゃないけど、千佳(奈緒)が来た時には気づいてる。だから手にはカマを持っている(笑)」と細かな演出を明かし、柄本と黒木は「全然気づかなかった(笑)」と声をそろえた。
そんなキャスト同士の絶妙なチューニングが魅力の本作について、セリフの掛け合いについて聞かれると、堀江監督は「やっぱりおふたりが演じると、僕のイメージよりもっと面白いかたちであらわれてくる。佐和子が先生、私の隣に座っていただけませんか?と言うシーンは僕自身、心が動かされたし、本当にいいなって思った。さらにその先の俊夫の「うそ」っていうセリフが、“うそ~ん”だったので、転げ落ちました」と笑顔で振り返り、黒木は「先生、私の隣に座っていただけませんか」のセリフの言い方について、「あまり深くは考えてはいないですね。佑さんとの掛け合いで出てきた感じです。」と自然にその表現になったと語る。
一方、柄本は「脚本にはウソ、って書いてあって、最初からあのイメージだった」と話し、「なんともいえない感じだよなとはずっと思ってて。あれなんだろう…?俺「うそ~ん」って言ってます?」と監督や観客に確認する一幕も。本作のラストシーンは、最後に誰が隣に座っているのか、観る人にゆだねるところがある作品だからこそ、「俊夫は、ただ絶望しているのではなく、この状況に一瞬笑っちゃってるのか…それが表現できたらいいなと思っていた。」と話した。
また、佐和子の「新谷先生が隣にいると安心する」という、教習所で初めて運転ができたときに新谷先生にかけたセリフについて、恋している状態なのか、つい言ってしまったのか、その絶妙な言い回しについて聞かれると、堀江監督は「あのシーンで恋に落ちてるのか、違うのか。黒木さんは段取りで両方やってくださって。こんなに変わるのかとびっくりした。結局、意図せず言う方をやってくれた。」と明かし、それを聞いた柄本は「でも意図せず言っちゃったら、もう始まってますよね。」と指摘、黒木は「だって俊夫さん隣にいてくれないんですもん(笑)」と反論し、場内は和やかな笑いで包まれた。
そして気になるラストシーンの解釈の話になると、黒木は「それぞれ皆さんで決めてほしいのですが、隣に誰がいるかは監督と話をしました。一応秘密にしておきたいですね。」と自身の解釈はあえて明かさず、柄本は「佐和子が俊夫に最後のあれをするのは、救済措置なのか、足枷せなのか。監督の答えではひとつあったんですが、けっこう割れましたよね。」と捉え方がキャスト・監督の中でもそれぞれ分かれたことを明かした。
舞台挨拶の最後に、堀江監督は「本日は観ていただきありがとうございました。2回以上きてくれている人がいて嬉しいです。観る時、気分によって、感じ方の違う映画になっていると思います。2回目、3回目と来ていただけるとうれしいです。まわりの方にもぜひすすめてください。」と挨拶。
さらに黒木も「本日は本当にありがとうございました。見所がたくさんある映画だと思うので、ぜひ何回でも観て頂いて、こう思う、ああ思う、というように感想を言い合っていただけたらなと思います」と改めて何度でも映画を楽しんでほしいとメッセージを送り、柄本は「今日は本当にありがとうございました。初日舞台挨拶はひと席空けで、フルで入っていただいた人の目の数ってすごいなと(笑)。すごい熱量がありますね。熱気で汗がとまらなくてね。やっぱり映画っていいなと。何度みていただいてもこちら側は構いませんので、何回でも観て、友達と語っていただけたら。」と呼びかけ、温かい拍手の中、舞台挨拶は幕を閉じた。
ストーリー
結婚5年目の夏。夫が不倫をした。それはよくある夫婦の出来事、のはずだった…
漫画家・佐和子の新作漫画のテーマは…「不倫」
そこには、自分たちとよく似た夫婦の姿が描かれ、佐和子の担当編集者・千佳と不倫をしていた俊夫は、「もしかしたらバレたかもしれない!」と精神的に追い詰められていく。さらに物語は、佐和子と自動車教習所の若い先生との淡い恋へ急展開。
この漫画は、完全な創作?ただの妄想?それとも俊夫の不貞に対する、佐和子流の復讐なのか!?恐怖と嫉妬に震える俊夫は、やがて現実と漫画の境界が曖昧になっていく…
爽快?嫉妬?絶句!?みる人の数だけ答えがある!夫婦の数だけ、【事件】がある!
TSUTAYA CREATORS’PROGRAM FILM 2018 準グランプリ受賞作品
作品タイトル:『先生、私の隣に座っていただけませんか?』
出演:黒木華 柄本佑/金子大地 奈緒/風吹ジュン
脚本・監督:堀江貴大
劇中漫画:アラタアキ、鳥飼茜
主題歌:「プラスティック・ラブ」performed by eill
製作:「先生、私の隣に座っていただけませんか?」製作委員会
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
2021/日本/119分/5.1ch/ヨーロピアン・ビスタ/カラー/デジタル
映倫区分:G
配給:ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト:https://www.phantom-film.com/watatona/
公式Twitter:@watatona_2021
公式Instagram:@watatona_2021
コピーライト:(C)2021「先生、私の隣に座っていただけませんか?」製作委員会
9月10日(金)より新宿ピカデリー他全国公開
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