半蔵門ミュージアム(東京・千代田区)では、8月28日(水)から12月1日(日)まで、特集展示『堅山南風「大震災実写図巻」と現代作家が描いたみほとけ』を開催。「大震災実写図巻」は、1923年9月1日に発生した関東大震災の発生直後から復興に向かうまでの様子が、3巻・31図に描かれた作品。公開は、1981年の熊本県立美術館での展示以来、約40年ぶりとなる。入場無料。
堅山南風(1887~1980)は、熊本県出身の日本画家。14才(1902年)の時に熊本で開催された日本美術院展の横山大観、菱田春草の作品に感銘を受け、7年後の1909年に上京して、歴史画家・高橋広湖のもとで学ぶ。1913年には、それまで4回落選していた文部省美術展に初入選するが、その時最高賞に推したのが横山大観であった。翌年には横山大観に入門し、以後は大観が中心となり再興された日本美術院展で活躍。81才(1968年)の時に文化勲章を受章。93才で亡くなるまで、写生にもとづく花鳥画、肖像画や宗教画など多くの作品を残した。
「大震災実写図巻」は、南風38歳の時に手がけた3巻・31図からなる大作。
1923年9月1日の地震当日は日本美術院の展覧会初日であった。自宅に戻った後に地震にみまわれた南風は、師・横山大観の安否を心配して、巣鴨の自宅から上野の大観宅まで歩いて向う。その往復の間に見た惨状が目に焼きつけられていたことは違いなく、またその後の混乱や人々の生活、復興に向かうまでの様子が、順を追って3巻・31図にまとめられている。
南風自身が、「かかる非常の時に吾等を慰め且つ精神上の苦痛より救い玉ふは、大慈悲の観世音菩薩である」と語っているごとく、本巻の31図は観世音菩薩の姿で絵巻がしめくくられている。
この「大震災実写図巻」が、会期中3期に分けて展示される。
上巻展示:8月28日(水)~ 9月29日(日)
中館展示:10月2日(水)~10月27日(日)
下巻展示:10月30日(水)~12月1日(日)
本特集展示ではあわせて、仏教に主題を求めた作品を数多く制作している現代作家の絵画作品が展示される。異なる作風の日本画家が描いたみほとけの姿もあわせてご覧いただける。
(杉本哲郎『パドマパニー(蓮華観世音菩薩)』『魔女誘惑』、石川晴彦『観音』、関口正男『笛(音声菩薩)』、畠中光享『蓮華手』などを展示予定)
イベント情報
詳細はホームページhttps://www.hanzomonmuseum.jpをご覧ください。
●第7回半蔵門ミュージアム講演会「関東大震災と画家―堅山南風を中心に―」
日時:2019年9月8日(日)14:00~15:30(受付開始 13:30~)
講師:島田 康寬氏(美術史家・美術評論家)
会場:半蔵門ミュージアム3階ホール
定員:80名(対象 中学生以上)
※申込終了
●第1回江戸歴史文化講座「江戸城の歴史」
半蔵門ミュージアムは、江戸城跡に建てられた皇居の近くにある美術館です。「半蔵門」も江戸城門の一つでした。そうした立地を生かし、当館学芸員による江戸歴史文化講座を実施していきます。初回のテーマは、江戸城の歴史です。
日時:2019年10月20日(日)14:00から約1時間
会場:半蔵門ミュージアム3階ホール
定員:40名(対象 中学生以上)
※事前申込不要(当日先着順)
●スライドレクチャー
常設展示の大日如来坐像やガンダーラ仏伝図浮彫り、および特集展示の作品について、当館学芸員がスライドによる解説をいたします。
日時:2019年10月6日(日)、11月3日(祝)いずれも14:00から約30分間
定員:40名(対象 中学生以上)
会場:半蔵門ミュージアム3階ホール
※事前申込不要(当日先着順)
半蔵門ミュージアム 基本概要
半蔵門ミュージアムは、真如苑が所蔵する仏教美術を一般に公開するために設立した文化施設です。中核となる地下1階の展示エリアは、運慶作と推定される真如苑真澄寺蔵《大日如来坐像》(重要文化財)や上醍醐普門院の旧本尊で醍醐寺中興の祖・義演ゆかりの《不動明王坐像》(平安~鎌倉)、ブッダの生涯の様々な場面を表したガンダーラ仏伝図の浮彫りなどを紹介する常設展示と、テーマを変えて仏教絵画や経典などを紹介する特集展示で構成されています。また3Fシアターでは映像『大日如来坐像と運慶 祈りと美、そしてかたち』、『ガンダーラの仏教美術 ~釈尊の生涯を辿る~』がご覧いただけます。
場所:〒102-0082 東京都千代田区一番町25 友心アネックス
<交通のご案内>
東京メトロ半蔵門線「半蔵門駅」下車 4番出口(地上1階)左すぐ
東京メトロ有楽町線「麹町駅」下車 3番出口から徒歩5分
JR中央・総武線「四ツ谷駅」下車 徒歩15分
開館時間:10時~17時30分(最終入館は17時)
休館日:毎週月曜日・火曜日
※月曜日・火曜日が祝日・振替休日にあたる場合も休館
年末年始(12月29日~1月4日)。その他、臨時休館あり
入館料 :無料
館長:西山 厚(帝塚山大学客員教授、奈良国立博物館名誉館員)
問い合わせ:半蔵門ミュージアム事務局 TEL:03-3263-1752
公式サイト:https://www.hanzomonmuseum.jp